幕末から明治にかけて活躍した絵師・河鍋暁斎(かわなべきょうさい)。浮世絵をはじめ、肉筆画、本の挿絵や歌舞伎の看板、工芸品のデザインまで、あらゆる分野で才能を発揮しました。そんな暁斎の多彩な作品や下絵を所蔵しているのが、埼玉県蕨市にある「河鍋暁斎記念美術館」。その基本情報から、所蔵作品の魅力、2019年の展覧会スケジュールをまとめてご紹介します。
河鍋暁斎記念美術館とは?
住宅街の一角にひっそりと佇む「河鍋暁斎記念美術館」は、暁斎の曾孫が昭和52(1977)年に設立した美術館です。先祖から代々伝わる下絵や画稿類を中心に、肉筆、挿絵本、版画まで、3000点余りの作品を所蔵。2か月ごとにテーマを変えた企画展を行っているので、何度訪れても暁斎のバラエティに富んだ作品を鑑賞することができます。
注目すべき所蔵作品はコレ
暁斎の多彩な作品を所蔵する河鍋暁斎記念美術館のなかでも、近代日本画の先駆け的名画といえるのが「美人観蛙戯図」です。
団扇を手に、庭で涼をとる美人の物思いにふけっているような表情は、浮世絵のような類型的なものとは異なり、とても自然に描かれていて、近代美人画の幕開きを感じさせます。美人の視線の先にいるカエルたちは、戯画を得意とした暁斎の手によって、まるで人間のようにそれぞれが自然で楽しげに描かれています。
明治初期には珍しかったリアルな美人と、擬人化されながらもカエルらしさを失わないカエル。現実と非現実の世界を同居させたユーモラスな本作の情景は、まさに暁斎の遊び心と画力の賜物です。
2019年 展覧会スケジュール
企画展「暁斎の団扇絵―実用と鑑賞―」
会期:9月1日(日)~10月25日(金)
特別展「暁斎プラスワンシリーズ31」
長野千裕 磁器絵付け―暁斎先生へのオマージュを中心に―展
会期:9月1日(日)~10月25日(金)
特別展「暁斎プラスワンシリーズ32」
匠の技 江戸庶民の愛した『狂斎百図』復刻―摺師 三田村努の世界―展
会期:10月1日(火)~10月25日(金)
企画展「暁斎一門が描くもののけの世界」
会期:11月1日(金)~12月23日(月)
河鍋暁斎記念美術館のミュージアムショップ
河鍋暁斎記念美術館のミュージアムショップには、暁斎に関する図録や書籍、ここでしか手に入らないオリジナルグッズなど、様々な商品を販売しています。また、併設の「cafe musee」には喫茶メニューが揃っているので、展覧会鑑賞後に、ほっとひと息つくことができます。
【ミュージアムショップより】
本日も開催中!
2019年8月18日(日)~25日(日)期間限定
🐸🐸🐸「かえるCafe」🐸🐸🐸
ショップでドリンク☕️をご注文の方に、かえるの折り紙セットをお付けします(有料)。お気軽にお声がけ下さい。https://t.co/CCsDWSoxTj pic.twitter.com/ASlTRqZh8Z— 河鍋暁斎記念美術館 (@kyosaimuseum) August 20, 2019
cafe museeでは、期間限定サービスやイベントを開催していることも。河鍋暁斎記念美術館に行く前に、ミュージアムショップやカフェの情報もぜひチェックしてみてください!
河鍋暁斎記念美術館の利用案内
住所:〒335-0003 埼玉県蕨市南町4-36-4
開館時間:10:00~16:00 (16:00まで入館可)
休館日:毎週木曜日、毎月26日~末日(展示替え期間につき)、年末年始
入場料金:
【企画展のみ開催時】
一般/500円、高校生・大学生/400円、中学生・小学生/200円、65歳以上の方/400円
【特別展開催時】
一般/600円、高校生・大学生/500円、中学生・小学生/300円、65歳以上の方/500円
※学生の方は、学生証を提示
※小学生より小さなお子様は無料
※65歳以上の方は、年齢の分かるものを提示
アクセス:
【徒歩】
JR京浜東北線 西川口駅(西口)より徒歩20分
【バス】
参考:河鍋暁斎記念美術館 公式ホームページ
-2016年和樂8・9月号『ニッポンの名画50原寸探訪!』を再編集-