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2024.12.28

浮世絵と江戸に遊ぶ一夜「浮世絵読み解きの旅」和樂読者限定イベントレポート【円かの杜】

東京の奥座敷、箱根。古くから人々を魅了してきた温泉街の中でも人気のエリア「強羅」に位置する隠れ家のような温泉宿「円かの杜」にて、「茶炉音(サロン)・ド・和樂」会員様限定のイベントが開催されました。豊かな自然の中で贅沢に芸術を堪能する、スペシャルなイベントをレポートします。

木の温もりに満たされた、強羅の隠れ家「円かの杜」

エントランスに入ると、まず目に飛び込んでくるのは、大きな一枚板の玄関框(小上がり)。「宿に入る瞬間から、木の温もりを感じていただきたいと思い、誂えました」そう話すのは女将の松坂美智子さん。その心遣いの通り、一歩足を乗せた瞬間から優しい木の質感が伝わります。まるで足の裏から疲れた体がゆるりと解けていくような感覚に包まれました。

エントランスだけでなく、レセプションにも大きな一枚板が。こちらは秋田県と山形県を跨ぐ鳥海山の神代欅。火山噴火により2600年もの間地中深くに埋もれ、火山灰により自然と濃色に変化した神代欅は、どっしりとした存在感が光ります。

木へのこだわりは、ロビーや客室、廊下など、宿全体に及びます。杉や欅、檜などの厳選された銘木がふんだんに使用され、家具には円かの杜のルーツである飛騨の匠の手によるものが採用されるという徹底ぶり。木の質感と香りに包まれる心地よさは格別。滞在中すべての瞬間が、木の温もりに包まれた癒しの体験になるのです。

客室は家具や洗面台に至るまで、贅沢に無垢の木材を使用。木の香りに包まれれば、心がほどけていくようです。

館内全てが畳敷きなので、ロビーでも寛ぎ感たっぷり。思い思いの時間を過ごしました。

まるで江戸の街へタイムスリップ?「浮世絵読み解きの旅」

今回のメインイベントは、「浮世絵読み解きの旅」。解説してくださる牧野健太郎さんは、ボストン美術館に所蔵される「スポルディング・コレクション」など約二万点の浮世絵をデジタル化するプロジェクトで日本側責任者を務めた、いわば「浮世絵の伝導師」です。デジタル技術を駆使し、 浮世絵の細部までスクリーンを使い読み解いてくださいました。

浮世絵の細部にまでクローズアップすると、そこに描かれた細かな文字や人々の表情までもが目の前に現れたかのように感じられます。日本橋の朝の風景を描いた「東海道五拾三次之内 日本橋 朝之景」では、棒手振(ぼてふり・行商人)に着目し、当時の魚市場や庶民の生活を解説。「眠そうな表情をしていますね。朝の4時頃なんですよ」「仕事に行きたいのに大名行列がやってきた。『こりゃ大変でぇい~』てことで、仕方なく横に避けているんです」。軽快な語り口にどんどん惹き込まれてしまいます。さらに、このデジタル化が富士山世界遺産認定に繋がったと言われる「富嶽三十六景」のひとつ「神奈川沖浪裏」の解説では、ジャパンブルーとベロ藍(※1)の関係や、北斎の人物像、来年の大河ドラマなどにも触れ、皆さま興味津々で聞いておられました。

ナビゲーターを務めた、円かの杜プロデューサーの立川直樹さんの質問との掛け合いも楽しく、時折起こる笑い声に包まれながら、新鮮な発見に満ちた時間となりました。

(1)18世紀初頭、ドイツ(プロシア)・ベルリンの染色・塗料職人が、赤い顔料をつくろうとしていたときに偶然発見された青色顔料

お酒を楽しむように音楽を楽しむ

浮世絵を楽しんだあとは、同じフロアにある蔵バー「こだま」へ。重厚な土蔵の扉を開くと、仄かな光に照らされた大人の隠れ家といった風情の空間が現れます。

ここで楽しめるのは、お酒だけでなく「音楽」もそのひとつ。60年代後半から、音楽、映画、舞台など幅広いジャンルで日本の洋楽文化形成に寄与してきたプロデューサー立川直樹さんが、この場所のためにセレクトした名盤を楽しむことができます。「ジャンルを超えた古今東西の名盤を置いています。ワインや日本酒をセレクトするように、興味の赴くまま楽しんでいただきたい」。木に包まれた空間で柔らかに反響する音楽に身を任せると、没入感も格別です。


この日は特別に、「茶炉音(サロン)・ド・和樂」会員様のために立川さんが音楽をセレクト、さらに解説まで!円かの杜オリジナルカクテルをいただきながら、至高の音楽に酔いしれる時間を過ごしました。

ここでしか出会えない本棚で、感性の解放を楽しむ

円かの杜でしか体験できない特別な体験といえば、至る所に配置された本棚の数々。ブックディレクターの幅允孝さんがテーマに合わせてセレクトした本を自由に読むことができるのです。

例えば、大浴場へと向かう渡り廊下にあるこちらの棚では、「心と体を落ち着かせる本棚」をテーマに選ばれた本が。強羅の豊かな自然を間の前に、そっとソファに腰を下ろして本に耽る…なんて、とても贅沢ですよね。普段とは違う時の流れの中で、感性が研ぎ澄まされていくようです。

館内のさまざまな場所に置かれた本棚には、王道から洒落の効いたもの、希少な書籍まで。見る者の興味を惹きつける。

上質な素材を活かした料理に舌鼓

この日の夕食は、個室のお食事処で。日本の各地から集められた上質な食材に京料理の精神性を加えた料理の数々は、目にも舌にも美味しく、参加者の皆様からも喜びの声が。お喋りにも花が咲き、思い思いに寛ぎの時間を楽しんでおられました。

また、円かの杜では、環境への配慮と食材の美味しさを最大限に引き出すため、旅館としては世界初となる「水素コンロ」を採用。ガスや炭によるにおいがない水素調理では、食材の香りが引き立ち、より上質な味わいを楽しんでいただけるということです。高温によって短時間で火が入り、中はしっとりジューシーに仕上がるのも特徴です。

悠久の浪漫を堪能する自家源泉

滞在中の楽しみといえば、忘れてはいけないのが温泉です。円かの杜では、異なる二本の自家源泉を所有しているのだとか。内湯と三つの露天風呂を構える大浴場と、全客室に設えられた露天風呂で、そのお湯を楽しむことができます。「大浴場の露天風呂は、箱根の自然を間近に感じられ森に包まれているような感覚になりますね」「客室の露天風呂で何度もお湯を満喫しました」と、参加者の皆様からも大好評。その良質なお湯を思う存分堪能しました。

1月8日には、音楽イベントも

円かの杜では、定期的に音楽を楽しめるイベントを開催しています。1月8日には、エルヴィス・プレスリーとデヴィット・ボウイをフィーチャーしたイベントを開催。同じ誕生日という、不思議な縁で結ばれた伝説のロックスターの世界を味わうスーパーオーディオライブです。
イベント詳細ページ

「茶炉音・ド・和樂」のご案内

『和樂』と『和樂web』では、今後も読者の方にお楽しみいただける、スペシャルなイベントを計画しています。このような特別な企画、プレゼントのご案内は「茶炉音(サロン)・ド・和樂」ご登録のみなさまへお届けします。ぜひお気軽にご参加ください!

基本情報

円かの杜
神奈川県足柄下郡箱根町強羅1320-862
公式ウェブサイト

撮影/根本佳代子

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石川ともみ

神奈川生まれ、東京育ち。数年前、ひょんなことがきっかけ奈良興福寺のご近所さんに。以来、日本文化へ興味が深まり趣味で着物を嗜む。専門はファッション。アート愛が止まらない。大きい建物と小さいもの、旅が好き。
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