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蔦重AtoZ
O=大人の絵本「春画」こそ歌麿の真骨頂!
植物や虫を観察して、ありのままに描く力を発揮した『画本虫撰(えほんむしえらみ)』で名を知られるようになった歌麿が、次に取り組んだのが「春画(しゅんが)」。一般の浮世絵より贅沢に摺られ、秘密裏(ひみつり)に流通していた、性の営みを描いた性風俗画です。
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美人画の帝王・歌麿は、女性のほかに虫が好き!?
UTAMAROの名を海外にも広めた春画『歌まくら』
メトロポリタン美術館が所蔵する歌麿唯一の春画シリーズの英語タイトルは『Erotic Print』。ストレートすぎて・・・。
蔦重が企画し歌麿が描いた、12図の春画集『歌まくら』でも、ここに掲載した2図は局部の露出がないもの。アイキャッチ画像に使用した下の図をよく見ると、髪の毛の一本一本が丁寧に描かれ、きものや帯の柄や背景まで丹念に仕上げられていて、格別の美しさです。
このように、『歌まくら』は美術的な価値の高さから、ほかの春画よりも高い評価を得た傑作。海外では歌麿の名が、春画作家として有名になっています。
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春画を徹底解説。エロティックな喜び、北斎も描いたって本当?
これ以上はお見せできません。どうぞご理解ください
しかし、意外なことに蔦重が歌麿と組んだ春画は『歌まくら』1作のみ。春画は、意外にうまみのない商売だったのでしょうか・・・。