魯山人とは何者だったのか!?

魯山人とは何者だったのか!?

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魯山人の器も魅力だけれど、その人生がまたスゴイ!

北大路魯山人・・・この名を知らない人はあまりいないと思います。が、同時に、「では、魯山人とは何者だったのか?」と聞かれると、正確に答えられる人も、あまりいないのではないでしょうか?とはいえ、「ろさんじん」という言葉の響きは、なぜか特別なもので、私たちの心を強く揺さぶります。

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北大路魯山人は、明治16(1883)年、京都上賀茂神社の社家に生まれました。その後、里子に出され、養家を転々とするなど、幼少期は苦労の連続だったといいます。そんな中でも、食に対する関心は強く、子供の頃から自ら工夫して美味しいものをつくることに長けていたようです。

同時に、書にも才能をみせた魯山人。転機が訪れるのは36歳の時。古美術骨董を扱う店を共同で始めますが、そこで、店で扱う器に料理を盛りつけ、ふるまうようになるのです。その料理、器との取り合わせの妙は、評判に評判を呼び、会員制の「美食倶楽部」へと発展していきます。さらに大正12(1932)年、関東大震災で店舗を失った後、この会員制組織は、会員制料亭へと進化。それがあの!伝説の「星岡(ほしがおか)茶寮」なのです。

星岡茶寮には、時の名士、文化人たちが続々集結、会員に名を連ねるようになります。そんな規模の拡大とともに、既存の器だけでは対応しきれなくなりました。そこで魯山人は、料理を盛りつける器を自ら制作するべく「星岡窯(せいこうよう)」を鎌倉に開き、陶磁器制作に力を注いでいくことになったのです。

美しい食器を語らずに、食は語れない

魯山人の有名な言葉に、「器は料理の着物」という言葉があるそうです。それだけ、料理と、それを盛りつける器への愛情とこだわりがあった人なのです。

また魯山人は、「日常生活に雅とか美とかをわきまえ、それを取り入れて楽しめるものは、たとえ貧乏暮らしであっても金持ち性であると言えよう」とも言っています。

魯山人の名言がカッコいい!

晩年まで、星岡窯で作陶に取り組んだ魯山人。昭和30年頃には、人間国宝の認定を受けることになるのですが、それを辞退。そのときの言葉が、「作家は作品が永遠にものを言うのだから、勲章なんてアクセサリーはいらない」というものだったとか。カッコよすぎます!

魯山人は昭和34(1959)年に76歳で亡くなります。時はまさに、量産品の食器、化学製品としての器の登場の幕開け期でもありました。その時代の流れを、魯山人先生はどのように感じていたことか…

「北大路魯山人の美和食の天才」

2016年4月に三井記念美術館で開催された「北大路魯山人の美和食の天才」は、そんな魯山人の魅力にじっくりと触れられる展覧会でした。

内覧会に足を運んだアンドリュー橋本が、その様子をご報告します。

総展示数123点!豪快な鉢!華やかな絵付けに圧倒される!

本展覧会は、2015年、京都国立近代美術館、足立美術館で開催された展覧会の巡回展。アンドリューも、京都国立近代博物館で拝見し、大変感動した展覧会だっただけにとっても楽しみにしていました。

書、篆刻、絵画等々、様々なジャンルで異才を発揮した魯山人ですが、今回は「食器」をメインにしての展示。総数123点にも上る膨大な器の数々に圧倒されます(30点ほどが前後期の展示替えになるため、一度に123点がみられるわけではありません)。

出展された器の多くは、星岡窯で制作されたものだということです。

展示作品も豪快な大きさ、形状のものも多く、陶磁器に造詣の深くない人にも楽しめる展覧会になっていました。

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「椿鉢」や「雲錦鉢」(ともに足立美術館)のど迫力!!!!!ともかくその形状、描かれた絵の華やかさに、魅了されてしまいます。

超モダン!この漆の器のカッコよさはなんだ!

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今回の展覧会でアンドリューがとても心引かれたものに、漆器があります。「魯山人と漆器」ということにアンドリューはあまり十分な認識がありませんでしたが、「日月椀(じつげつわん)」という、代表的な文様の器があり、今回の展示の中でも異彩を放っていました。

黒塗りの椀に、金と銀で描かれた円(つまりは太陽と月)。このモダンさには、アンドリュー完全ノックアウトでした。

なんでも、昭和18(1943)年、第二次世界大戦の戦況が厳しくなっていた折に、火の使用制限がかかって陶磁器を焼くことができなくなり、漆器の制作を始めたのだそうです。

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内覧会冒頭の記者会見で、同館の赤沼多佳氏は、食の多様化の中で、プラスチックの器が登場したり、量産型の洋食器が登場したりで、食器を真剣に考えて食事をすることが少なくなってきたけれど、本展覧会が日本の伝統的な食について考えるきっかけになって欲しい、という主旨のご挨拶をされました。

和食が世界遺産となって注目されていますが、「食」を考える上で、「食材を盛りつける食器の持つ意味」を考えるきっかけとなる展覧会でもあるのだ、と思いました。

三井記念美術館の美術展というと、茶室「如庵」をどのような取り合わせで展示しているのかが毎回楽しみですが、今回は、床に「閑林」という書、そしてこれまたモダンな漆膳「露堂々」、さらには魯山人らしさが凝縮した織部の扇面の鉢「織部扇面形鉢」(足立美術館)が展示されていました。

三井記念美術館

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