万葉集も古今和歌集も!形を変えて残されてきた和歌

万葉集も古今和歌集も!形を変えて残されてきた和歌

恋する気持ちや想いを、古人たちは和歌で表現しました。人々に愛された和歌は、書や工芸などさまざまに形を変えて、大切にされてきたことがわかります。

歌を書く紙にも美意識が宿ります

本阿弥光悦本阿弥光悦「摺下絵和歌巻」(部分)一巻 彩箋墨書 桃山時代・17世紀 34.0×1405.6㎝ 東京国立博物館 Image:TNM Image Archives

平安時代に生まれた「古今和歌集」は後世まで人々を魅了し続けました。桃山時代〜江戸時代初期に書や陶芸、漆芸などにマルチな才能を発揮した本阿弥光悦の「摺下絵和歌巻」は竹、梅、芍薬、蝶、藤などを金泥や銀泥で摺った美しい料紙に「古今和歌集」の恋歌を書いたもの。流麗で奔放自在な筆致は、伝統的な書の世界に新しい世界を築きました。

シビれる!鞍に隠した恋心

時雨螺鈿鞍「時雨螺鈿鞍」国宝 一背 木製漆塗螺鈿 鎌倉時代・14世紀 前輪高30.3㎝、後輪高35.0㎝ 永青文庫

武士の世となった鎌倉時代の美術を象徴するかのような絢爛豪華な装飾の鞍。松に絡みつく、くずの葉の模様の間には、「古今和歌集」にある「わが恋は松を時雨に染めかねて真葛が原に風騒ぐなり」という歌の、「恋」「時雨」「原」が隠し文字のように図柄に溶け込ませてあります。戦という極限の精神状態のときに恋情と共にあるとは、凡人には考えつかない〝キレッキレ〟の美意識です。

木片に書かれた、ロマンティックな恋の歌

万葉歌「史跡紫香楽宮跡(宮町地区)万葉歌木簡」二点 奈良時代 全長79+140×幅22×厚さ1㎝ 右/通常写真 左/赤外線写真 写真提供/滋賀県甲賀市教育委員会

奈良時代、聖武天皇が造営した紫香楽宮の跡から出土した木簡には「阿佐可夜」「流夜真」の文字が見えます。「万葉集」に収録されている「安積山影さへ見ゆる山の井の浅き心を我が思はなくに」という歌が書かれているのです。その裏面には「古今和歌集」の「難波津の歌」が書かれていて、歌集が編纂される前から世に広まっていた和歌ということがわかります。

月夜の下せつない恋心を歌う

俵屋宗達伝俵屋宗達「伊勢物語図色紙」(六段芥川)一幅 紙本着色 江戸時代前期 24.6×20.9㎝ 大和文華館

俵屋宗達筆と伝えられる「伊勢物語図色紙」の六段・芥川。「伊勢物語」の主人公の在原業平は求婚していた姫を外に連れ出しますが、やがて連れ戻されてしまいます。「白玉か何ぞと人の問ひしとき露と答へて消えなましものを」と和歌を詠んで、嘆く業平。月夜の下、姫を背負う業平の幻想的なシーンは一度見たら忘れられません。

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