Craft
2019.03.28

日々の暮らしを豊かにするアイデアがいっぱい、陶磁器の展覧会

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さまざまなことが切り替わる4月は、何かと新しいことを始めたくなる季節。手始めに普段の暮らしに何か加えてみたいとき、手早く、大きな効果が得られるのが、うつわ(焼き物、陶磁器)選びです。

陶芸の専門店をのぞいてみるのもいいけど、個性豊かに育まれてきた日本のうつわの歴史を知り名品を鑑賞すると、心豊かになるだけでなく、見る目も養われ…自分好みのうつわや生活まで見えてくるようになります。そんなときにぜひ訪れてみたい、この春各地で開催される、陶磁器関連のおすすめ展覧会をご紹介します。

東南アジアでつくられた、おしゃれで素朴な陶磁器

黄金の地と南の海から
―町田市立博物館所蔵 東南アジア陶磁コレクション―
4月13日(土)~6月16日(日)
愛知県陶磁美術館(愛知県)

陶磁器の展覧会には、日々の暮らしを豊かにしてくれるアイディアがいっぱい! 

東南アジア地域は古来、西はインドやアラビア半島から、東は中国や日本から、特産品を積んだ船が往来する海上交易の十字路でした。

東南アジアは当時、木材や香料、生薬のほかに、貴金属や宝石、象牙、タイマイ、真珠、珊瑚などのエキゾチックな奢侈品の宝庫。商人や冒険家、時には海賊を乗せた船には、東南アジア諸国で育まれた陶磁器も積み込まれ、特産品として世界各地に渡っていきました。このような歴史から、東南アジアエリアの海上ルートは別名「セラミック・ロード」と呼ばれ、日本にも多くの陶磁器がもたらされました。

本展では、そんな東南アジアの陶磁器のコレクションで知られる町田市立博物館から選りすぐりの作品を展示。クメール、ベトナム、タイ、ミャンマーでつくられた、味わい深い陶器から洗練された磁器まで、さまざまに発展したうつわの数々は、財宝と陶磁器を求めて東南アジアに集まった古の人々の思いと、大洋を旅した陶磁器のロマンを感じさせてくれます。

陶磁器の展覧会には、日々の暮らしを豊かにしてくれるアイディアがいっぱい! 
青花牡丹文盤 大越国・黎朝 15世紀 町田市立博物館

黄金の地と南の海から
―町田市立博物館所蔵 東南アジア陶磁コレクション―

会期 4月13日(土)~6月16日(日)
会場 愛知県陶磁美術館 本館 第1・第2展示室
住所 愛知県瀬戸市南山口町234
開館時間 9:30~16:30(入館は16:00まで)
休館日 月曜(4月29日、5月6日は開館)、5月7日(火)
観覧料 一般600円
公式サイト 

イギリス人陶芸家、バーナード・リーチとは

没後40年 バーナード・リーチ展 -山本爲三郎コレクションより
3月21日(木・祝)~6月9日(日)
アサヒビール大山崎山荘美術館(京都府)

画家を目指していたイギリス人のバーナード・リーチは、日本で陶芸に出合い、その奥深さに魅了されます。そして、民藝運動を提唱した柳宗悦をはじめ、河井寬次郎や濱田庄司と交流を深めます。その後、濱田とともにイギリスのセント・アイヴスに窯を築き、同地を拠点とします。

リーチは以後もたびたび来日し、京都、栃木県の益子(ましこ)などで作陶を続け、日本やイギリス各地の伝統的な技法を自らの作品にとり入れて、近代陶芸を代表する陶芸家となりました。

本展は、民藝運動を黎明期から支援し、生涯にわたってリーチと親交を結んだアサヒビール初代社長、山本爲三郎のコレクションを中心に、氏の自邸に建てられ初期民藝運動の拠点「三國荘」や、山本が大阪ロイヤルホテル(現・リーガロイヤルホテル大阪)に開設した「リーチバー」ゆかりの作品、民藝運動の作家たちとの交流を示す貴重な作品などを含む、約100点を一挙公開。民藝好きにはたまらない内容です!

没後40年 バーナード・リーチ展
-山本爲三郎コレクションより

会期 3月21日(木・祝)~6月9日(日)
会場 アサヒビール大山崎山荘美術館
住所 京都府乙訓郡大山崎町銭原5-3
開館時間 10:00〜17:00(入場は16:30まで)
休館日 月曜(4月29日、5月6日は開館)、5月7日(火)
観覧料 一般900円
公式サイト

古伊万里や鍋島など、魅力あふれる焼き物が一堂に!

佐賀・長崎のやきものめぐり
4月6日(土)~6月20日(木)
戸栗美術館(東京都)

陶磁器の展覧会には、日々の暮らしを豊かにしてくれるアイディアがいっぱい! 

肥前国(現在の佐賀県、長崎県の一部)は、16世紀末に朝鮮半島から陶工が渡来し、まずは陶器の焼造を開始。それが唐津(佐賀)を中心とした唐津焼で、やがて一帯に製陶技術が伝播します。

唐津焼がつくられていた佐賀鍋島藩領の有田では17世紀初頭に日本初の国産磁器の焼成に成功し、出荷港の名を取って伊万里焼と呼ばれた磁器は、白い磁肌に色とりどりの絵付けで国内外の人々を魅了します。磁器の生産は有田のみならず、隣の武雄や嬉野の志田などにまで広がり、膨大な量が焼造されました。

17世紀後半には伊万里焼の技術を基盤として、佐賀鍋島藩が徳川将軍家への献上を目的に鍋島焼の製作を開始。また、大村藩領の波佐見、平戸藩領の三川内でも磁器がつくられるようになり、肥前国は一躍やきもの大国として飛躍的な進歩を遂げたのです。

本展では、館蔵品の中から佐賀の古伊万里を中心に、鍋島焼や古武雄、志田焼、波佐見焼、三川内焼のほか、現代の有田焼が一堂に。色鮮やかで美しいやきもの数々は、いつまでも眺めていたくなるほどです。

佐賀・長崎のやきものめぐり

会期 2019年4月6日(土)~6月20日(木)
会場 戸栗美術館
住所 東京都渋谷区松濤1-11-2
開館時間 10:00~17:00(金曜は20:00まで 入館は閉館の30分前まで)
休館日 月曜(第4月曜、4月29日、5月6日は開館)、5月7日(火)
入館料 一般1000円(4月27日~5月6日は小中学生入館料無料)
公式サイト

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