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心地よい秋風に包まれる工房。仕事場から見える紅葉が、思わず仕事の手を止めてしまうほど美しいという。
処暑 しょしょ
大文字の送り火も過ぎ
ひんやりとした秋の気配
処暑(8月23日ごろ)とは「暑気止息(しょきしそく)する」という意味で、ようやく暑も収まり、実りの秋へと移りつつあります。こちらのうつわは凹型の型の上に土を置き、上から手で押さえて成形します。料理を盛る面を手で整えてつくるので、〝このぐらいの広さの見込みにすると、料理が盛りやすい〟など加減しているのだそう。
秋分 しゅうぶん
こっくりとした織部の釉薬が
秋の深まりを感じさせる
土もののうつわが恋しくなる秋本番。「これは料理を盛る面を成形するのに、凸型の型を使っている」という織部の皿です。中国の三彩(さんさい)からイメージを得て、アレンジしたそう。「染付が多いと評されますが、それだけで一年の食卓を彩ることはできなくて、秋冬には温かみのある土ものをつくりたくなるんです」。
村田 森 むらた しん
1970年京都生まれ。1993年に京都精華大学陶芸科を、翌年に同研究科を卒業。荒木義隆氏に師事後に独立。2003年に京都・雲ケ畑に築窯し、年間10回以上個展を開いてきた人気作家でありながら、2016年に新作の発表を停止。2020年に、現代美術家の村上隆氏とともに陶芸専門店「となりの村田」(https://tonarinomurata.com/)を立ち上げ、二十四節気をテーマにした392点のうつわの受注生産を始める。
撮影/篠原宏明、小池紀行 構成/植田伊津子、後藤淳美(本誌)
※本記事は雑誌『和樂(2023年2・3月号)』の転載です。
※表示価格はすべて税込価格です(「となりの村田」https://tonarinomurata.com/)。
※掲載商品には1点ものや数量が限られているものがあり、取材時期から時間がたっていることから、在庫がない場合もあります。