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清元栄寿太夫

CULTURE

今月の歌舞伎座は尾上右近さんが清元太夫として裃姿で初お目見得、凛々しい姿をお見逃しなく!!

もうご覧になったでしょうか?! 今月の歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」の昼の部『十六夜清心』では、和樂INTOJAPANで連載中の歌舞伎俳優・ケンケンこと尾上右近さんが清元栄寿太夫として初お目見得です。その美声と凛々しい姿は必見! また昼の部の『お江戸みやげ』、夜の部『法界坊』では、役者としても奮闘中! ケンケンのインタビューを織り交ぜながら、その様子をお届けしましょう。

清元栄寿太夫まずは、『お江戸みやげ』のお紺。女形の歌舞伎役者に恋するかわいい女の子です。恋人の坂東栄紫役は中村梅枝(右)。

『十六夜清心』の幕開きでは初お目見得の口上が!

清元栄寿太夫これが口上の読み上げのシーン。舞台上手の板塀がパタンと開くと清元連中が現れます。

“清元栄寿太夫初お目見得”との口上もあり、いつもとは若干異なる幕開きとなった『十六夜清心』です。が、「従来、『十六夜』では清元の銘々を紹介する読み上げはあります。でも、初めて観る人にとっては、まるで初お目見得のために演出されたと思えるような演出があるのは不思議なところです…。すごくいろんなことがタイミングとして重なったわけで、本当にありがたいことだし、感謝の思いがあります。二筋道でやっていきたいという中で、今回、清元太夫として出させていただいた演目が『十六夜』でした。『十六夜』は語り物で、清元はナレーションのように十六夜と清心と二人の心情を語るという役割を担っています。そこに本当に色っぽいメロディーが乗っかり、清元の持ち味が最大限に引き出されたような演目なんです。最初に読み上げで太夫の名前を呼んでいただいたり……他の邦楽や曲と比べて、清元はちょっとお役に近いような扱いでとらえられている演目なんです」と、ケンケン。

清元栄寿太夫清心(菊五郎)と、十六夜(時蔵)の二人を月が見守ります。舞台上手にある山台には、父・延寿太夫と並んで、今年2月に七代目として父の前名である栄寿太夫を襲名した右近がワキを語ります。

栄寿太夫が「朧夜に〜」と、清元「梅柳中宵月(うめやなぎなかもよいつき)」の唄い出しを聴かせると、花道から十六夜が駆け込んできます。鎌倉極楽寺の僧・清心(尾上菊五郎)は、遊女・十六夜(中村時蔵)に対する女犯の罪で寺を追われています。十六夜は清心の子を身ごもったことを知り、郭を抜け出して、稲瀬川のほとりで出会った二人は川に身を投げて心中します。十六夜と清心の再会から心中までは、清元の名曲『梅柳中宵月』の語りに合わせ、まるで舞踊のような美しい展開となります。情趣あふれる清元と、清心の名ぜりふで知られる河竹黙阿弥の名作。本来は絶望的な心中の場面が、清元の美しい音色によって情緒豊かな美しい場面に映し出されます。いやあ、それにしても張りのある美声です。

清元栄寿太夫舞台上手にある山台には、父・延寿太夫と並んで、今年2月に七代目として父の前名である栄寿太夫を襲名した右近がワキを語る。

「清元のワキ唄は清心の心情を唄う、清心の心情を担当するナレーションのようなところがあるわけで、それを担わせていただけるというのは、おこがましくもありますが、やはりうれしいという気持ちが大きく…今まで役者として修業させていただき、そしてこれからもお世話になり続ける菊五郎のおじさんの清心の唄を自分が唄えるということは役者としても自分の人生観で深く感じるものがあります」と、ケンケン。

清元栄寿太夫三味線には兄の清元斎寿も並び、親子3人揃っての出演です。

さて、前月のケンケンは名古屋公演に出演していたため、終演後に新幹線で東京に向かい、清元の稽古をしてからすぐに名古屋に戻るという超ハードな毎日でした。しかし、ケンケンは「なかなか有意義でしたし、特別な時間の過ごし方をしているときってすごく幸せで、目標に向かっているなという自覚にもなるし、とにかくいい時間でした。そしてやっぱり教えを受けて稽古の回を重ねることで安心していくところもありましたしね」と、和やかな表情。

太夫は、唄うお役という感じです。

清元栄寿太夫裃も似合っています。ともかく、この美声をお聞き逃しなく!

役者と太夫の両立。実際に体験した感想を聞いてみると、「唄うお役という感じ。初役という感じです。役者と清元の太夫、僕がどちらもやっているということをもっと知ってくださる方がいらっしゃるようになるとうれしいですし、それを通じて清元というものにもっと深く関心を持ってくださるようになればいいなと思う。そのきっかけから入ってきたときに、きちっとした清元を見せられる立場にならなきゃいけない。その2つの責任があります。でも、責任は感じたからといってうまくなるわけじゃないから、信念をもってやならなければなりません」と、ケンケン。

清元栄寿太夫『十六夜清心』を終えて、楽屋でほっと一息つくケンケンにインタビュー。

「菊五郎のおじさんをはじめ先輩方のお許しとご理解があってこその今回の公演です。栄寿太夫として初お目見得が叶うということ。そして、清元栄寿太夫として、尾上右近として、二筋道で舞台に出させていただくこの興行においてはやはり先輩方のお許しがあってこその僕の夢が実現したのであって、先輩たちの気持ちを裏切らないように最後まで勤めたいなという思いがまず大きいです。いちばんそれが大事なことだと思っています。そして、もっともっと大きな、もっともっと数多くの感謝しなきゃいけない何かがあるはずなんです。それはもう計り知れないものだから、僕は全力でやるということでしかお応えするという姿勢は示せない、そう思っています」

清元栄寿太夫鏡前で『隅田川続俤』のおくみの化粧を始めるケンケン。

「そもそも、僕はいろんなことに好奇心を持ってやってみたいと思う気持ちを持ち続けたいと思うタイプの人間です。それを理解してくださって受け入れてくださっている先輩皆様に対して誠意を見せていくということは、歌舞伎界に自分が身を置くということにおいても、やはりプロ意識として持っておくべきことです。子供みたいに素直に純真にはしゃぐ自分と、大人としてきちっとわきまえなければいけない点と、どちらも大切にしていきたいと思っております」。さて、『十六夜清心』は、たっぷり色事を見せて心中ののち、その後の二人が描かれるところがもう一つのみどころです。

夜の部もケンケンは女形で大活躍!

清元栄寿太夫夜の部『隅田川続俤』の手代要助実は松若丸(中村隼人)と、おくみ(尾上右近)。

清元栄寿太夫大喜利の「双面水澤瀉」にもおくみで出演。

文/新居典子 撮影/桑田絵梨

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