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2025.12.29

まるで小宇宙!?「茶道会館」で体験する〝一期一会のお茶のみ〟。美容家・石井美保の「和魂美才」vol.13

美容家・石井美保さんが、日本文化と和装の魅力を伝える連載「和魂美才」。今回は東京・高田馬場にある茶道会館で茶会の体験をしました。 茶道文化振興会の北見先生の指導を受けたのち、四季に合わせたおもてなしを存分に堪能した石井さん。その感動を伝えます。

日常から離れて小宇宙へ。茶会の心得

冬のある日、雨上がりの澄んだ空気の中、石井美保さんが体験したのは「小間」と呼ばれる小さな和室での茶会。ぴしっと背筋が伸びた、裏千家教授の北見先生が点てるお茶を心ゆくまで楽しみました。非日常の世界をのぞいてみましょう。

露地ろじを進む石井美保さん。少しずつ世俗から離れる。

蹲踞つくばい手水ちょうずを使う。柄杓ひしゃくに水を汲み、左手、右手の順にすすぐ。

石井美保(以下、石井):実は私、中学校のときは3年間、茶道部に所属していました。でも、ほとんど覚えておらず、毎回お菓子をいただくのだけが楽しみだった記憶が……。

北見宗雅(以下、北見):お菓子の楽しみはもちろん、茶道はおいしくお茶を味わう時間でもあるのです。あまり堅苦しく考えなくても大丈夫ですよ。

石井:とても気がラクになりました。とはいえ、茶席に入る前からお作法があるのですね。

北見:はい。客として茶席に入る前は、いわば「みそぎ」の準備が必要です。飛び石をあしらった露地に歩を進めながら世俗を離れ、手水を使って心身ともに清らかな気持ちで席にのぞみます。

石井:確かに、日常から離れて清廉な気分になりますね。

四季に合わせた亭主のおもてなしを感じる

今回、茶会を体験した「溜庵たまりあん」。

「溜庵」の外観。四畳半の小間こまで、赤い土壁がステキ。

小さな躙口にじりぐちより、頭のほうからにじり入る。扇子を前に置くのが作法。

席中に入り、床の前まで進んで扇子を置き、お辞儀をしてから掛物、花、花入の順に拝見。一礼をしてから席につく。

石井:躙口がとても小さいのですね。本当に〝小宇宙〟に入るような感覚がありました。

北見:扇子をまず前に置きますね。この扇子がとても重要で、扇子はあおぐものではなく、「結界」を表しているのです。

石井:え、「結界」ですか?

北見:もともとは仏教用語で、修行の場を区切る「聖域」の意味ですが、茶道では茶室の聖なる空間と、俗世を隔てる境界のこと。
と同時に茶席に入る前や、床の掛物拝見などの際に膝前に扇子を置くのは、自分と相手の間に境目をつくることで、自分と相手に対して敬意を示す意味とへりくだる意味があります。

石井:扇子1本にそんな深い意味があるなんて、知りませんでした。でも、北見先生に教わったように、躙口で扇子を前に置くと、これから静謐な〝小宇宙〟に入ります、と気分が切り替わるのがわかりました。

北見:亭主と客、または客同士の間でも扇子を置くことで、ことばを交わさなくても敬意を示すことになります。

石井:お互いに尊敬の心、へりくだる心が〝おもてなし〟に通じるのですね。

北見:神聖な茶室という空間で、どうすれば客人に喜んでいただけるかと、亭主側は相手を思いやる心が大切です。

石井:季節を取り入れた掛物、花とそれに合わせた花入など、しつらいもひとつひとつ意味がありそう。

北見:本日、石井さんのためにしつらえた茶席です。この一期一会が大事だと考えています。

石井:ありがとうございます。

菓子と薄茶をいただき、心まで澄みわたる

シュンシュンとお湯が沸く音と、北見先生の茶筅を振る音が耳に心地よく響く中、茶会が進みます。季節を意識した緑と白が鮮やかなお菓子の後にいただく一服は、本当に美味。美保さんの感動を伝えます。

おも菓子は新春をイメージした「松の白」。吉祥寺・亀屋萬年堂製。

菓子切を使って主菓子をいただく。お茶を飲む前に食べ切るのが基本。


亭主席でお茶を点てる北見先生。

緑が鮮やかなお茶は、「宝尽の白」(伊藤園詰)。

お茶をいただく。茶碗は両手でしっかり持つ。

石井:本日はありがとうございました。日々忙しく過ぎゆく中、異次元でゆったりした時間を過ごすことができました。

北見:茶会を楽しむということは、さまざまな形で四季を感じることができる時間だと思います。季節に合わせた着物の装いもそうですし、茶席に入る前には外の景色を楽しんだり、茶室に入ってからはそのしつらえに季節を感じたり。

石井:お湯が沸く音や、北見先生が柄杓から茶碗にお湯を注ぐ音、茶筅でお茶を点てる音なども心に響きました。

北見:日常からふっと離れる時間は貴重ですよね。

石井:お菓子もお茶もおいしくいただき、見ることも香りを楽しむことも、清らかな音も、研ぎ澄まされた空間での体験。五感で楽しめました! ありがとうございます。

茶道会館の何気ない風景にも心が洗われるよう。

北見雅子:茶名・宗雅(そうが)
裏千家正教授、茶道文化振興会講師、伝統芸術振興会「子どものための日本文化教室」講師、みやび流和装道教授、華道師範、書道六段、剣道二段。茶道誌、教本のモデルの他、テレビやラジオ、雑誌などへの出演・指導経験も豊富。

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石井美保

美容家、トータルビューティーサロンRiche代表。深い美容愛とさっぱりした物腰で、幅広い層にファンが多い。自身の経験に基づく美容法とコスメ選びは、常に注目を集めている。

インタビュー・本文/國藤直子(STRIPE) 写真/目黒智子 着付け/星山奈保子 ヘア/高倉里美 撮影協力/茶道会館
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