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2019.11.13

愛知の秘境・奥三河で受け継がれるジビエと狩猟文化。種類や歴史、絶品料理を紹介

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秋が深まる頃になると、高級フレンチレストランのメニューに登場するジビエ料理。狩猟解禁となる11月15日以降、エゾジカや野ウサギ、山鶉(やまうずら)など新鮮なジビエが手に入るため、それらを楽しみに待っている食通も多く、ボジョレー・ヌーボーの解禁も相まって、一気にジビエムードが広がります。

そもそも『ジビエ』とは、フランス語で野生鳥獣類の食肉のことを指し、中世以降、フランスでは貴族たちが狩猟を楽しみ、それらの食肉を美食として楽しんだことに由来しています。

ルイ14世が好んだフランス料理の最高峰と言われる「王家の野ウサギ」といった煮込み料理をはじめ、高級食材として重宝されていました。

日本人も昔から食べていた猪肉もジビエです!

日本でも古来からジビエ料理はたくさん食べられていました。そもそも旧石器時代から、肉といえば野生の鳥獣類を食べていたわけです。家畜肉を主として食べるようになるのは明治以降なので、そう考えると、今現在、一般に食べている牛や豚、鶏肉より、ジビエと呼ばれる野生の猪肉やシカ肉の方が日本人の食生活の中にはずっと深く根付いていたといえます。

奥三河で暮らす人々に受け継がれてきた狩猟文化

愛知の秘境と呼ばれ、大自然のパノラマが続く奥三河。標高700m~1000mの場所に、人口1,000人ほどの小さな村が点在する山深い郷。このあたりは、旧石器時代や縄文・弥生時代の遺跡が数多く確認されており、様々な出土品があります。大平野遺跡では、鏃や狩りの道具が出土しており、狩猟中心の生活が営まれていたと考えられています。もともと魚などのたんぱく源は手に入りにくい地域でもあったため、昭和に入ってからも、シカ肉や猪肉は貴重なたんぱく源として、食されていました。人々の暮らしの中に、野生動物との共存が日常であり、この地域では、ジビエを食べるのは一つの食文化だったのです。

鳥獣類による農作物の被害が深刻化

ここ数年、ジビエが話題となっている背景の一つには、野生鳥獣類による農作物への被害が深く関係しています。平成28年度の農林水産省の報告では、農作物の被害額は200億円前後と言われ、そのうちの7割がシカ、イノシシ、サルとなっています。中でもシカ、イノシシの被害は増加の一途をたどっており、農業へのダメージは深刻化する一方です。そのため、各自治体で様々な対策が取られる中、捕獲した後、食肉に転換する解体処理施設「奥三河高原ジビエの森」を平成27年に設楽町津具に開設しました。

狩人が支える奥三河高原ジビエの活動

ハンターと呼ばれる狩猟免許を持っている人は、狩猟期間のみ鳥獣類を撃つことができるのですが、鳥獣類害の対象であるシカ、イノシシ、カラスに関しては、1年中狩猟ができるそうです。奥三河高原ジビエの森の代表である村松純次さんも自ら狩猟もしています。

「もともと地元で7~8名だった猟師が、今では協力者も増え、現在20名ぐらいが活動してくれています。そのお陰もあり、昨年は400頭を超える処理頭数となりました。私たちはただ、駆除するために仕留めるのではなく、最後まで食肉として命をいただくことを目的としています。そのPR活動などの影響もあり、多くの方に食べていただく機会が増えてきたのは嬉しいことです」と語ってくれました。

栄養価も高く、アスリートにも人気のジビエ

現在、奥三河高原ジビエの森の活動中心メンバーは約10名、その中で引取りや解体に従事するのは約4名です。みなさん、それぞれの仕事を持ちながら、副業として関わっています。多い時には1日10件近く連絡が入り、捕獲されたシカやイノシシのいる現場へ行き、生きている状態を確認した後、回収し、奥三河高原ジビエの森で、軽量、解体、処理作業を行っているそうです。これらの食肉は、新鮮なうちに地元の宿泊施設やレストランに卸したり、併設する売店で販売されています。最近はこの活動が認知され、名古屋市内のフレンチレストランなどからもオーダーが入るようになったとか。
「新鮮なシカ肉や猪肉は、臭みもなく、山を駆け抜けていて、運動量もあるので脂肪が少なく、栄養価も高いので、アスリートの方にも人気なんです。ブロック肉などを小売しているところはあまり無いので、喜んでいただけています」と村松さん。

地元出身、ペンションのオーナーがジビエ料理でもてなしてくれる


道の駅、つぐ高原グリーンパークの中にある宿泊施設「グリーンメッセージ」では、2018年から夕食のコースメニューに必ずジビエ料理を1品入れているとか。
「皆さん、サシや脂肪がない分、やわらかく食べやすいとおっしゃってくださいます。ここでは、シカ肉のミートローフやロース肉をサラダに加えたりしていますが、最近ではジビエ料理を食べに来たとおっしゃってくれるお客様が増えてきました」とオーナーの小久保さん。「町をあげて、三河ジビエが認知されるよう、イベントを開催したり、一丸となって頑張っています。地産地消の良さが伝わることで、この自然に囲まれた奥三河の魅力も知ってもらうきっかけになればと思っています」

シカ肉のミートローフ ブルーベリーソース

シカ肉のロースサラダ

週末のランチに提供しているジビエカレー

町ぐるみでイベントやマルシェを開き、ジビエ料理をふるまい、助け合い、支えあい、地域を盛り上げていく。増えすぎてしまった鳥獣害から農作業を守るためでもありますが、今後、地域の新しい産業としてもジビエが広がってくれたらと村松さんは語ります。ぜひ、今年は、大自然の中で、ジビエ料理との出会いを楽しんでみませんか。

新城市 道の駅もっくる新城猪ラーメン

奥三河の大崎屋旅館で購入できる鹿のしぐれ煮

奥三河高原ジビエの森
◆住所 愛知県北設楽郡設楽町津具字野向2-1
◆電話番号 0536-83-3100
◆営業時間 平日10:00~15:00、土日10:00~16:00
◆定休日 月曜日、祝日(臨時休業もございますので、遠方からのご来店の際は電話にてご確認ください)
取り扱い商品、:猪鹿フランクフルト:猪鹿ソーセージ:猪スモークハム:鹿スネハム:鹿ジャーキー:猪鹿ブロック肉:猪鹿スライス
公式ホームページ

ペンショングリーンメッセージ
◆住所 愛知県北設楽郡設楽町津具字東山2-156
◆電話番号 0536-83-2343
公式ホームページ

書いた人

旅行業から編集プロダクションへ転職。その後フリーランスとなり、旅、カルチャー、食などをフィールドに。最近では家庭菜園と城巡りにはまっている。寅さんのように旅をしながら生きられたら最高だと思う、根っからの自由人。