さわやかな風が吹く、島根県松江の川沿いを歩いていると、どこからかコーヒー豆を焙煎するいい香り。あのカフェでちょっとひとやすみしようか、それともアイスコーヒーをテイクアウトしてこのまま松江城まで散策を続けようか…? 松江散歩の途中でふらっと立ち寄りたい、素敵なコーヒー店をご紹介します。
松江散歩のひと休憩は、小さなコーヒー店で!
国宝・松江城を中心に開けた城下町 松江では、当時のお堀がいまも残っていて、遊覧船や川沿い散策が本当に楽しい!
夕陽の美しさに心うばわれる宍道湖(しんじこ)や松江城を囲む堀川など、水の都として知られる松江の街。町中の風景も出会う人もみな穏やかで、のんびりぶらりな散策が楽しい城下町です。松江といえば、江戸時代の大名茶人・松平不昧公(まつだいらふまいこう)のお膝元であり、いまも茶の湯文化が息づく町として有名……ですが、実は今「コーヒーの聖地」としても注目されていることをご存じでしょうか? 堀川の周辺には、自家焙煎の豆で淹れた香り高いコーヒーを出すカフェが点在しているほか、モーニングがおいしい珈琲店や、昔ながらのシックな喫茶室もあちこちに。どの店も味・器・空間すべてに店主の好みや客への気遣いが行き届いていて、「さすが茶の湯の町!」と思わされるのです。
「LITTLE COURT COFFEE」
さて、そんな中で今回ご紹介したいのは、堀川沿いに建つ「LITTLE COURT COFFEE(リトル コート コーヒー)」。店前の自転車とベンチが目印です。自家焙煎した豆の販売がメインのお店で、常時約15種類の豆を販売しています。店内ではこれらの試飲も兼ねたドリップコーヒーを飲むこともできて、オリジナルブレンドからタンザニアにグァテマラにイタリアンブレンドまで、すべて1杯378円(税込み)。
「LITTLE COURT COFFEE」の淹れたてアイスコーヒー。ごくごく飲めて、苦みも香りもすっきり心地いい。ああ、思い出すとまた飲みたくなる…!
「がぶがぶ飲めて毎日でも楽しめるコーヒーを」と店主・長谷川卓さんが話すオリジナルブレンド「ヒビノカオリ」をいただく…と、うわぁ、なんだろうこのおいしさ! 苦みも甘味も酸味もしっかりあるのに、すっきりと曇りがなくて気持ちのいい味わいです。
店頭では自家焙煎の新鮮な豆を常時15種類ほど販売。オリジナルブレンド・ヒビノカオリ100g 518円~(税込み)など。どの豆もその場で淹れてもらえてイートインできるんです。
この「曇りのないおいしさ」を支えているのは、店頭でほぼ毎日行われているハンドピック。ハンドピックとは、生豆(なままめ)の中から欠けた豆を手作業で取り除き、良質な豆だけを選び抜くこと。LITTLE COURT COFFEEでは手間がかかるこの作業を、焙煎する前と後の2度にわたって行っているそうです。だからこんなに気持ちのいいおいしさなのか…コーヒー好きも満足できるし、「コーヒーが苦手だった方に『おいしく飲めるようになった』と言っていただけた」という話にも納得です。
厳選した豆をこまめにハンドピック。店内には焙煎するときのいい香りが漂っています。
さて、川沿いの町家を改装したというこの店は2階建て。1階はボサノバやレゲエが似合うコーヒースタンドといった雰囲気ですが、2階には落ち着いたカフェスペースもあって、これがまた居心地いいのです。靴を脱いで上がると、畳敷きの部屋にシンプルな木のテーブル。窓際の席からは堀川が見下ろせます。ときおり遊覧船がゆっくりと通り過ぎたりするのもなんだか楽しい。
靴を脱いで上がる2階のカフェスペース。窓際の席からは堀川と柳並木を見下ろせます。「リトル コート(小さな中庭)」という店名がぴったりな、居心地のいい雰囲気。
さて、おいしいコーヒーでひと息ついたら、店頭で販売している「ドリップバッグ」をお土産に買って、散策を続けましょう。松江城にのぼって天守閣から街を一望するのもよし、美しい民藝の器を探しに湯町窯(ゆまちがま)や袖師窯(そでしがま)へ出かけるもよし。お昼は松江でいちばん古い洋食店「レストラン 西洋軒」で名物のタンシチューかオムライスを食べたいし、揚げたてコロッケを求めて食いしん坊たちが行列する町の精肉店「ミートショップきたがき」にも寄りたいし…。そうそう、手仕事の名品が並ぶあのセレクトショップにも行かなくちゃ! 松江の旅はまだまだ続きます。
左/ホット、アイスともにテイクアウトもOK。右/お土産にもぴったりなのがドリップバッグ162円(税込み)。一杯分のコーヒーと、マグカップにのせてそのまま使えるフィルターがセットになっています。種類もいろいろ。
カフェにショップに美味しい処…松江の町は今こんなに楽しい! 取材時、店内で見つけて思わず買ってしまった伊藤知恵さんのイラストマップ。
◆LITTLE COURT COFFEE
住所 島根県松江市片原町104
公式サイト
-撮影/篠原宏明-
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