1Fでは名品展を開催。定期的に展示替えされます
今回のリニューアルオープンに際して目玉となる「桃源郷展」と並行して1Fの展示スペース全部を割いて開催されているのが、大倉集古館の豊富な館蔵品から名品を選りすぐって展示する「名品展」です。(※以下、紹介する作品はすべて大倉集古館蔵)
この「名品展」では、同館の至宝である国宝「普賢菩薩騎象像」をはじめ、絵画・彫刻・工芸・書跡・染織などの各分野における傑作がバランスよく展示。目の超えた上級者でも納得の名品揃いでした。いくつか特に目についたものを紹介しておきますね。
国宝「普賢菩薩騎象像」平安時代・12世紀
同館を代表する仏像の大傑作。リニューアル前は常時出品していましたが、今後は作品保全のため1年のうち見られる期間が短くなる予定。見られるうちにぜひ!
左:速水御舟「鯉魚」昭和4年(1929)/中:小林古径「木菟図」昭和4年(1929)/右:下村観山「不動尊」大正14年(1925)※~10月14日まで展示
戦前の日本美術院で活躍したエースたちの作品。1930年に、イタリア、ローマで開催された伝説の「日本美術展覧会(通称ローマ展)」に出品された作品です。金泥使いの達人・下村観山(しもむらかんざん)や、琳派・写実主義を折衷して完成に近づきつつある速水御舟(はやみぎょしゅう)、闇夜とピンクの花の対比が美しい小林古径(こばやしこけい)など、傑作揃いでした。
横山大観「夜桜」六曲一双 昭和4年(1929)大倉集古館蔵
横山大観の代表的な人気作品の一つであり、篝火に霞む夜桜を描いた幻想的な構図と、琳派的な豊かな装飾性が美しい作品です。こちらも「ローマ展」に出品された作品。各屏風右隅にワンポイントだけ描かれた、夜空の「群青」の発色が非常に印象的。約90年前に制作された作品とは思えないみずみずしさでした。
国宝・藤原定実「古今和歌集序」平安時代・12世紀 ※~10月14日まで展示
流れるようなかなで書かれた流麗な書跡は、心落ち着く「和」のテイストに溢れた美しさがあります。色変わりの染紙で繋がれた各料紙には、雲母刷りされた花襷文や空刷りの牡丹蓮唐草文なども入れられており、行き届いた手仕事に感銘を受けました。さすがは国宝です!
尾形光琳・乾山「重要文化財・銹絵寿老図六角皿」江戸時代・17世紀 ※~10月14日まで展示
鉄絵での絵付けは尾形光琳が担当、制作は尾形乾山(おがたけんざん)が担当したゴージャスなコラボ角皿。しかも非常に珍しい「六角形」の角皿です。同館で特に著名な名品の一つですね。シブすぎます。
地下スペースにはミュージアムショップが設置
今回のリニューアル工事で増築された地下1Fの一角にミュージアムショップがオープンしていました。ショップでは、「桃源郷展」の図録をはじめ、展覧会関連書籍、絵葉書、クリアフォルダ、一筆箋、メモ用紙、マグネットなどの定番ミュージアムグッズが用意されている他、オリジナルお菓子やハンカチ、お香などの作品にちなんだ小物類も充実。どれも上品でした!
砂糖、水あめ、煮詰めたアメで作った珍しい「有平糖」。ポルトガル伝来の南蛮菓子が発祥の高級和菓子です。
横山大観「夜桜」、普賢菩薩騎象像をイメージして制作されたオリジナルお香。どんな香りがするのか試してみたいです。
地域の新たなランドマークへ!美術館をまるごと楽しめる東洋美術の殿堂
いかがでしたでしょうか?美術館の広報担当の方のお話では、ゆくゆくは大倉集古館を六本木エリアの「ランドマーク」的な存在として外国人観光客も含め、人々に楽しんでもらえる憩いのエリアにしてゆきたいとのことでした。
豊富な館蔵品、水盤に囲まれた美しい建物と、リニューアルされて5年ぶりにパワーアップした大倉集古館から目が離せませんね。ホテルオークラでゴージャスな食事とセットで楽しんでもいいし、1日かけて智美術館や泉屋博古館分館など近隣の美術館めぐりにトライするのも面白そうです。企画展、名品展、建物鑑賞など色々な楽しみ方ができるリニューアルされた大倉集古館、ぜひたっぷり味わってみてくださいね。
展覧会基本情報
展覧会名:「桃源郷展-蕪村・呉春が夢見たもの-」(大倉集古館リニューアル記念特別展)
会場:大倉集古館(東京都港区虎ノ門2-10-3)
会期:2019年9月12日(木)~11月17日(日)
公式HP
※緊急事態宣言の期間中、美術館は臨時休館となります。詳細・最新情報は、美術館のHPをご確認ください。