水墨の風─長谷川等伯と雪舟 出光美術館(※会期は終了しました)
長谷川等伯 『松に鴉・柳に白鷺図屛風』(右隻)桃山時代 紙本墨画 151.8×369.4㎝ 出光美術館蔵
中国・明で初めて本場の水墨表現を学び、日本に水墨画の風をもち込んだ雪舟(せっしゅう)。その後、日本人ならではの感性で水墨画に新たな風を巻き起こした長谷川等伯(はせがわとうはく)。ふたりの画家の、それぞれの画風を楽しめる展覧会。等伯の『松に鴉(からす)・柳に白鷺図屛風』には、鴉の親子が描かれており、かわいいものに情を注ぐ日本人らしい視線も感じられます。中国絵画の名品を交えつつ、水墨画の魅力をたっぷりと。
美人画の系譜 江戸から近代まで 春章・歌麿・松園・深水を中心に MOA美術館(※会期は終了しました)
上村松園 『深秋』 MOA美術館蔵
紅葉を散らす秋風が吹くなか、少し前屈みになって、乱れる着物の裾を押さえる美人。ピュウッと吹いた風と女性らしい仕草、その一瞬を画面に見事に描き留めた、上村松園(うえむらしょうえん)の美人画のなかでも動きのある作品です。勝川春章(かつかわしゅんしょう)や喜多川歌麿(きたがわうたまろ)の肉筆美人画、近現代の美人画の名手、松園、伊東深水(いとうしんすい)を中心に、約70点を紹介する企画展。女性たちの暮らしや、時代の流行を追いながら鑑賞するのも楽しい。
館蔵 夏の優品展─料紙のよそおい─ 五島美術館(〜7月30日まで)
『石山切』(伊勢集) 平安時代・12世紀 五島美術館蔵
「染める」「漉(す)きこむ」「摺(す)る」「撒(ま)く」といった、書で使われる料紙の装飾に関わるキーワードを元に、館蔵の優品を展示。たとえば『石山切(いしやまぎれ)』(伊勢集)は、継紙(つぎがみ)の技法を駆使した華麗な装飾料紙です。それぞれの紙には、蝶、鳥、折枝などを、銀の下絵として施しています。900年の時を経てもその美しさに驚かされる、必見の名品。ほかにも、写経や古筆などの作品あわせて約70点が並びます。
コレクション展Ⅱ 「水に憩う」 大分県立美術館(〜8月1日まで)
福田平八郎 『水』 1958年 大分県立美術館蔵
収蔵品のなかから、「水」をモチーフに制作された作品を精選。日本画からは、絶えず変容する水に取りつかれ、膨大な数のスケッチを行った福田平八郎(ふくだへいはちろう)が、30年にわたる構想の末に辿り着いた作品『水』が展示されます。独自のフォルムと大胆な構図で、揺らめく水の美しさを表現した名作は、夏の美術鑑賞にぴったり。大分出身の日本画家、岩澤重夫(いわさわしげお)の縦182㎝、横1,456㎝もの大作『天響水心』も大迫力!