和樂の新年号といえば、付録にカレンダーがふたつ付いていたことで業界に衝撃(?)を与えてきました。しかし、2018年11月1日発売の12・1月号では、ふたつ分のアイディアとセンスをひとつに注力! 日本美術の魅力を極めた特別付録「若冲(じゃくちゅう)&其一(きいつ) 名作カレンダー2019」が完成しました!!
和樂がこれまで取り上げてきた日本美術のエッセンスを集約したカレンダーのクオリティは、編集部内でも大評判! 今号の付録がいかにすごいのか、5つのキーワードでご紹介します。
和楽新年号、絶対買いの特別付録ポイント!
1.人気再燃必至の若冲&基一に注目したカレンダー
2.若冲&基一の人気作品がずらり
3.美しき奇想のポイントをクローズアップ
4.名画で月ごとの自然美を堪能
5.富士山の名画3作品による年賀状も!
表紙には若冲の「群鶴図」、裏表紙には其一の「群鶴図屛風」(エツコ&ジョー・プライスコレクション)。おめでたくユニークな鶴の競演!
ここがすごい! ポイント1
2019年に人気再燃必至の若冲&其一に注目
伊藤若冲と鈴木其一をクローズアップしたのは、ふたりがすでに日本美術を代表するスター絵師であるのはもちろん、2019年にはさらに話題沸騰となるのが間違いないからです。そう言い切る根拠は、2019年2月9日(土)~4月7日(日)に東京都美術館で開催される特別展「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」にあります。
美術史家・辻惟雄(つじのぶお)さんの1970年刊の著書「奇想の系譜」で紹介された奇想の絵画や絵師たちは今や、以後の日本美術ブームのリーダー的存在になっています。その代表的絵師である若冲と其一は、特別展を機に再び注目が集まるのは必至! ユニークな点でも人気の面でも奇想の双璧であるふたりの名画を7作ずつ取り上げたこのカレンダーで、2019年の美術ブームを先取りしてください!
3月は若冲の「虎図」(エツコ&ジョー・プライスコレクション)。かわいい表情に目が行きがちだが、切り抜いて掲載した虎の毛並みや濃淡の緻密な筆致はまさに圧倒的。
ここがすごい! ポイント2
若冲&其一の人気の秘密がよくわかる!
カレンダーに使用した若冲&其一の作品をお知らせする前に、ふたりの簡単なプロフィールをご紹介します。
伊藤若冲は江戸時代中期に京都・錦市場にあった青物問屋の長男として生まれるも、絵を描くことが大好きで、家業よりも身の回りの動植物の写生に熱中し、ほぼ独学で作画を習得。30歳後半には家業を弟に譲り、念願の絵師となりました。それから間もなく、江戸絵画の最高傑作「動植綵絵(どうしょくさいえ)」を完成させ、極彩色の作品から墨画まで多種多様な技法の名画を数多く残しました。若冲の存在は、昭和の後半から知られるようになり、その人気は特別展のたびに盛り上がり、今年(2018年)パリで開催された「若冲」展では、「動植綵絵」全33幅がヨーロッパで初めて公開されたこともあって、入場待ちの大行列ができたほど。世界的な人気を得るまでになっているのです。
対する鈴木其一は、江戸時代後期の江戸琳派(えどりんぱ)の酒井抱一(さかいほういつ)に師事し、優れた画力を身につけながら、鮮烈な色彩感覚とエキセントリックと称されるダイナミックな構図の作品を残した絵師。その作風はフェノロサやフリーアなど海外の美術愛好家の心をとらえ、2016年にサントリー美術館で開催された「鈴木其一 江戸琳派の旗手」で、その魅力が広く知られるようになり、今は若冲に次ぐ日本美術の新星として人気急上昇中。今押さえておきたい絵師のナンバーワンです。
2月は其一の「椿図屛風」(フリーア美術館)。門外不出とされる日本美術の名画は、アメリカでは琳派の代表作として名高い。
Freer Gallery of Art and Arthur M. Sackler Gallery, Smithsonian Institution, Washington, D.C.: Purchase – Charles Lang Freer Endowment,F1974.36
ここがすごい! ポイント3
若冲&其一の美しき奇想のポイントをクローズアップ
「若冲&其一 名作カレンダー」の表紙は縁起物の鶴をテーマに、表は若冲の「群鶴図(ぐんかくず)」、裏は其一の「群鶴図屛風」。それぞれの美しい彩色の中に、どこか不思議で面白い奇想の魅力が伝わってきます。
そして、各月のカレンダーに配したのは、時とともに趣を変えていく日本の自然の美しさを、奇想という独特の視点で切り取った若冲と其一の名画の数々。しかも、丸や四角の窓でクローズアップしたり、主題だけ切り取ったりと趣向を凝らして、作品の中で最も重要な部分を際立たせています。
ふたりが描いた自然のモチーフは、まさに日本ならではの繊細な美の極致。季節の移ろいが感じられ、時をいつくしむ心をも養ってくれるほど。これほどこだわった付録は、なかなかあるものじゃありません!
5月は其一の「藤花図」(細見美術館)。画面いっぱいに房を描いた其一の藤の花は、自然美と装飾性が見事に融合した傑作。アール・ヌーヴォーにも影響を与えたとされる。
ここがすごい! ポイント4
若冲&其一の名画で月ごとの自然美を堪能できる
気になる各月の作品ラインナップをご紹介します。
1月:鶴と竹梅という縁起物尽くしの「竹梅双鶴図(ちくばいそうかくず)」若冲
2月:アメリカで琳派の代表作とされる「椿図屛風(つばきずびょうぶ)」其一
3月:猛獣なのになんともかわいい「虎図(とらず)」若冲
4月:雅なお花見の情景に心も踊る「桜町中納言図(さくらまちちゅうなごんず)」其一
5月:グラフィックデザインにも凝った「藤花図(とうかず)」其一
6月:若冲らしさが存分に味わえる「紫陽花双鶏図(あじさいそうけいず)」若冲
7月:意外なモノトーンが新鮮な「若冲画帖(じゃくちゅうがじょう) 玄圃瑶華(げんぽようか) 未草(ひつじぐさ)、鶏頭(けいとう)」若冲
8月:夏らしい鮮やかな自然がみなぎっている「夏秋渓流図屛風(なつあきけいりゅうずびょうぶ)」其一
9月:もの思う季節にふさわしい墨画「葡萄図(ぶどうず)」若冲
10月:移ろう季節の美しさをたたえた「四季花鳥図(しきかちょうず)」其一
11月:木枯らしの音まで聞こえてきそうな「芒野図屛風(すすきのずびょうぶ)」其一
12月:縁起のいい鳥で一年を締めくくる「雪芦鴛鴦図(せつろえんおうず)」若冲
それぞれクローズアップした作品の全図は最終ページにまとめて掲載していて、作品解説もついています。
7月は若冲「若冲画帖 玄圃瑶華 未草、鶏頭」(芸艸堂)。若冲みずから版木を彫った、季節ごとの植物と昆虫や爬虫類などを組み合わせた48図の拓版画は、デザイン性も抜群。
ここがすごい! ポイント5
富士山の名画の年賀状もついてくる!
さらに、特別付録はもうひとつ、日本のお正月に欠かせない富士山の名画3作品による「二〇一九年 富士山名画年賀状」がついています。
富士山の名画を数多く残した横山大観(よこやまたいかん)と片岡球子(かたおかたまこ)、そしてデザイン的に描いた酒井抱一の三者三様の富士山の年賀状で、新年を寿(ことほ)ぐ心を送りましょう!
「二〇一九年 富士山名画年賀状」は、横山大観「群青富士(ぐんじょうふじ)」(静岡県立美術館)、片岡球子「初冠雪(はつかんせつ)の富士の山」(高崎タワー美術館 株式会社ヤマタネ寄託)、酒井抱一「絵手鑑(えてかがみ)」(静嘉堂文庫美術館)の豪華3作品入り!
和樂12・1月号は売り切れ必至!
文・写真/山本毅