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2019.09.11

AmazonやNetflixでも!自宅で楽しめるアート映画を10作品選んでみた

この記事を書いた人

ここ数年、VR技術の発達、ネット配信の普及などにより、映画館や自宅で、映像作品を通してアートを楽しむ機会が増えてきています。特に、アメリカ・ハリウッド以外で制作されたアート関連の良質な伝記映画やドキュメンタリーが、配信やDVD/ブルーレイディスクといった形で手に入りやすくなってきているのは、アートファンには喜ばしいことですね。そこで、本稿では「アート・美術」を題材にした非常に多くの映画の中から、特にオススメしたい良作と名作を厳選して紹介してみたいと思います。今回は、

・AmazonやNetflix等大手メディアでネット配信されている
・または、DVDやブルーレイディスクが絶版になっていない
・おもしろくてわかりやすい

この3つの条件を大前提に、初心者でも面白く観ることができて、同時にアートについての教養も身につく良作を10作品選んで紹介してみました。それではいってみましょう。

オススメ映画1「真珠の耳飾りの少女」(2004)

シネマで楽しむ美術鑑賞! アート・美術がテーマのおすすめ映画10選

フェルメールの名画「真珠の耳飾りの少女」をテーマとして制作されたイギリス映画です。徹底的な時代考証により、映画内で再現された17世紀オランダの美しい街並みや登場人物達の服装、室内での生活風景など、フェルメール作品がそのまま映像に再現されたかのような作り込みは驚異的。実際、こだわり抜いた映像美は発表当時も高く評価され、第76回アカデミー賞で撮影賞・美術賞・衣裳デザイン賞の3部門にノミネートされたほどでした。

キャスト陣も豪華で、フェルメール役には演技力に定評のあるイギリス人俳優コリン・ファースが起用され、ヒロイン役の”真珠の耳飾りの少女“グリート”役では、今やハリウッドを代表する女優へと成長したスカーレット・ヨハンソンのデビュー当時の清新な演技が楽しめます。2019年も東京・大阪で開催される「フェルメール展」の予習・復習にも最適。アート映画の面白さをしっかり楽しめるハイクオリティな洋画作品です。

オススメ映画2「百日紅 ~Miss HOKUSAI~」(2015)

シネマで楽しむ美術鑑賞! アート・美術がテーマのおすすめ映画10選

杉浦日向子が1980年代に発表した原作マンガのストーリーをベースにして、葛飾北斎の娘「お栄」こと葛飾応為を主役としたアニメ映画です。映画では、応為がまだ20代前半の時、渓斎英泉、魚屋北渓らと共に北斎のアシスタントとして下町の長屋に住み込みで働いていた時期を取り上げています。

映画でのお栄は、非常に芯が強く男勝りでありながら、女性らしい優しさや几帳面さも持ち合わせた魅力的なキャラクターとして描かれます。浮世絵職人たちの圧倒的な男社会の中でも一歩も退かない強さを見せる一方で、職人としてはまだ半人前。技量自体は十分ながら、人生経験不足からケレン味のある作品が描けず、父・北斎の長屋での工房で寝泊まりするほど仕事に打ち込みつつ、多忙な画家修業を送っています。

ストーリーは多忙な浮世絵職人稼業と、その合間に挟まれる盲目の妹・お猶との心温まる交流など日常系の人情話が中心となっていますが、アニメならではのファンタジー描写も交えて葛飾応為の画業のルーツにもさりげなく迫っている点も見逃せません。

近年アニメ映画制作では世界的に評価を得ているProduction IGが制作しているだけあって、クオリティも抜群。北斎ら浮世絵職人達の生き様や、江戸時代の町人の生活風景や娯楽風俗を情感豊かにいきいきと表現した傑作です。

オススメ映画3「ゴッホ~最期の手紙~」(2017)

シネマで楽しむ美術鑑賞! アート・美術がテーマのおすすめ映画10選
「ゴッホ 最期の手紙」DVD&Blu-ray発売中
DVD 4,800円 (税抜)/Blu-ray 5,800円 (税抜) 販売元:ハピネット
(C) Loving Vincent Sp. z o.o/ Loving Vincent ltd.

ゴッホをテーマとした伝記映画は過去にいくつも制作されていますが、本作が凄い点は、映画史上世界初となる「油絵による長編アニメーション作品」であること。125名ものプロの画家を起用し、アニメの元となる絵を1枚1枚ゴッホの作風を再現しながらキャンバスに描き、最終的には約62,450枚の油絵で約90分の「動く油絵」にしてしまったのです。もちろん、代表作「星月夜」「夜のカフェテラス」「黄色い家」「夜のカフェ」など、ゴッホが生前描いた人気作品もアニメの中でちゃんと出てきますし、タンギー爺さんや郵便夫ジョセフ・ルーラン、そしてゴッホ自らの自画像も登場するなど、ファン必見のカットが無数に用意されています。

肝心のストーリーも出来栄えがよく、37歳にしてオーベルニュの畑で拳銃自殺を図って亡くなったとされるゴッホの謎多き「死」に対して、なぜ彼が若くして死ななければならなかったのか、他殺説なども含めて掘り下げていくサスペンスタッチの推理ドキュメンタリーとなっています。2018年日本公開作品ながら、すでにDVD・ブルーレイディスクも発売され、レンタル・配信も始まっています。圧倒的にゴッホ愛に満ちた驚異の1作。アートファンなら観て損なしの凄まじい内容です。

オススメ映画4「バスキア」(1997)

シネマで楽しむ美術鑑賞! アート・美術がテーマのおすすめ映画10選

近年、テーマや切り口を工夫したバスキアのドキュメンタリー映画公開が続いていますが、本作「バスキア」はそんなバスキア映画の草分け的存在。亡くなって約9年後に制作されたインディペンデント映画ですが、ブレイクする直前からドラッグの過剰摂取で亡くなるまで、バスキアの後半生を包括的に描いた伝記映画として非常によくまとまっています。アンディ・ウォーホール役にデヴィッド・ボウイが起用されていたり、若き日のゲイリー・オールドマン、ベニチオ・デル・トロ、現在世界的に活躍する俳優たちもキャスト陣に名前を連ね、制作されてから20年経過した現在でも非常に新鮮な気持ちで観ることができます。

ちょうど2019年2月現在、ブレイク前である10代の3年間(1988年~91年)に特化して当時の友人や関係者たちのインタビュー等で若き日のバスキア像を振り返るユニークなドキュメンタリー映画「バスキア、10代最後のとき」が上映中。これと一緒に見てから、2019年秋の「バスキア展」(森アーツセンターギャラリー)に臨むと、よい予習になりそうです。

シネマで楽しむ美術鑑賞! アート・美術がテーマのおすすめ映画10選

書いた人

サラリーマン生活に疲れ、40歳で突如会社を退職。日々の始末書提出で鍛えた長文作成能力を活かし、ブログ一本で生活をしてみようと思い立って3年。主夫業をこなす傍ら、美術館・博物館の面白さにハマり、子供と共に全国の展覧会に出没しては10000字オーバーの長文まとめ記事を嬉々として書き散らしている。