3月になって、いよいよ本格的に春の訪れが間近となってきましたね。毎年暖かくなってくると、冬の寒い間ちょっぴり寂しくなりがちな美術館や博物館の客足も徐々に戻ってきます。2019年も卒業式・入学式といった桜の季節からゴールデンウィークにかけて、各美術館・博物館で開催される上半期イチオシの展覧会が一斉にスタートします。
INTOJAPANでは、毎月読者の方にオススメの注目展覧会を紹介していますが、今回は特別編として2019年6月頃までぐっとリサーチの網の目を広げ、全国各地のミュージアムで開催される「2019年上半期オススメの展覧会」を厳選して20展お届けしたいと思います。
それでは早速行ってみましょう!
オススメ1「新・北斎展 HOKUSAI UPDATED」(東京)
北斎ブームが続く中、毎年のように全国各地で「北斎展」が開催されていますが、本展では約480点もの大量の作品が集められ、約70年にわたる葛飾北斎の画業のほぼすべてが俯瞰できる「北斎展」の決定版のような大展覧会。浮世絵を見慣れた人は、ひょっとしたら「また北斎か・・・」と食指が動かないかもしれませんが、状態の良さ、肉筆画の出品数(約60点)、豊富な初公開作品など、本展は目の肥えた上級者であっても十分満足できる画期的な展示となっています。
また、今回の展覧会で集められた作品の大半は、北斎研究の第一人者にして、日本屈指の大コレクターだった故・永田生慈氏が収集した「永田コレクション」からの出品です。永田氏の遺志により、永田コレクションは今後永久に島根県外で展示しないことが決まっており、本展は永田氏が蒐集した優品を東京で見ることができる最後のチャンスなのです。展示替えも頻繁に行われ、会期前半と後半ではほぼ全点が入れ替えられるので、タイミングを図って複数回の鑑賞をおすすめします!
展覧会名 「新・北斎展 HOKUSAI UPDATED」
場所 森アーツセンターギャラリー
会期 2019年1月17日(木)~3月24日(日)
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オススメ2「北斎―永田コレクションの全貌公開〈序章〉」(島根)
六本木にて「新・北斎展」が開催される中、島根でも同時に故・永田生慈氏の浮世絵コレクションを公開展示する展覧会を開催中。今後、約2年に1度のペースで永田コレクションを順次少しずつお披露目していく予定とのことで、今回がその第1弾となります。
「新・北斎展」との違いは、葛飾北斎の作品だけでなく、魚屋北渓(ととやほっけい)や蹄斎北馬(ていさいほくば)ら北斎の有力な弟子たちが残した貴重な「摺物(すりもの)」や「肉筆画」も併せて専用展示室にて展示されていること。北斎ワールドをより深く体感したい人は、「新・北斎展」とセットで見て回ると、相当な北斎通になれるはず!
展覧会名「北斎―永田コレクションの全貌公開〈序章〉」
場所 島根県立美術館
会期 2019年2月8日(金)~3月25日(月)
公式サイト
オススメ3「松方コレクション展」(東京)
戦前、川崎造船所(現・川崎重工)を率いた実業家・松方幸次郎が蒐集した数々の西洋美術の名品は、金融恐慌や戦争での混乱など様々な紆余曲折を経て、第二次大戦終了後375点が国立西洋美術館へと収蔵され、同館のコレクションの礎となりました。1916年~1927年の間、彼がヨーロッパへ渡航して現地で行った収集活動では、モネやゴーギャン、ロダンの彫刻、近世イギリス絵画や中世の板絵、浮世絵に至るまで、幅広いジャンルの作品を買い集めたといいます。
本展は、国立西洋美術館開館60周年を記念し、松方が収集したゴッホ「アルルの寝室」や、近年再発見されたモネ「睡蓮、柳の反映」などの話題作を含め、約160点の絵画作品や歴史資料を展示。松方コレクションに関する最新の研究成果とともに、たっぷりとハイレベルな西洋美術の名品の数々を堪能できる展覧会になりそうです。
展覧会名 「松方コレクション展」
場所 国立西洋美術館
会期 2019年6月11日(火)〜9月23日(月・祝)
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オススメ4「フェルメール展」(大阪)
約68万人の来場者で大盛況だった東京展(上野の森美術館)に続いて、現在大阪展が開催中。大阪展でしか見ることができない「恋文」をはじめ、フェルメールの作品が6点集結。また、ハブリエル・メツー、ピーテル・デ・ホーホ、ヤン・ステーン、ヘラルト・ダウなど、フェルメールと同時代に活躍したオランダの風俗画家たちの貴重な作品も多数登場。見どころは決してフェルメール作品だけではありません!
東京展ですでに一度観た、という人にも再度の鑑賞がおすすめ。大阪市立美術館のゆったりとした広大な展示空間で、東京展との「見え方」の違いを楽しむのも良いですね。GWにかかると混雑必至なので、できるだけ早めの鑑賞推奨です!
展覧会名 「フェルメール展」
場所 大阪市立美術館
会期 2019年2月16日(土)~5月12日(日)
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オススメ5「伊藤若冲展」(福島)
東日本大震災からの復興を祈念して、大コレクター、ジョー・プライス氏のコレクションを核として2013年夏に「若冲が来てくれました」展が開催されて以来、福島県立美術館にて6年ぶりに再度大規模な若冲展が開催。今回も「百犬図」「老松鸚鵡図」「象と鯨図屏風」などの傑作を始めとして、国内外から約100点の作品が集結します。
1788年の「天明の大火」によって自身も自宅やアトリエ、作品の数々を失い、避難生活を余儀なくされた若冲が復興への願いを込めて描いたとされる西福寺「蓮池図」にも要注目です。
展覧会名 「東日本大震災復興祈念 伊藤若冲展」
場所 福島県立美術館
会期 2019年3月26日(火)~5月6日(月)
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オススメ6 特別展「国宝 一遍聖絵と時宗の名宝」(京都)
踊り念仏で知られる、鎌倉時代に開かれた仏教宗派・時宗。その宗祖が、全国各地を行脚(遊行)して念仏札を配り布教活動を行った一遍上人(いっぺんしょうにん)です。その一遍上人が各地を遍歴した生涯を描いた鎌倉時代の絵巻の大傑作・国宝「一遍聖絵」が関西で17年ぶりに全12巻公開となります!
「一遍聖絵」以外にも、師・一遍の遊行に同行し、一遍の死後には各地で時宗教団を整備するなど、時宗を大きく発展させた知られざる二祖(二代目)・真教の功績を紹介する展示や、時宗寺院に伝えられた名宝の数々が一挙公開されるなど、多数の見どころを揃えた春の特別展。東京国立博物館の東寺展と合わせ、この春屈指の仏教美術展です。
展覧会名 特別展「国宝 一遍聖絵と時宗の名宝」
場所 京都国立博物館
会期 2019年4月13日(土)~6月9日(日)
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オススメ7「藤田美術館展」(奈良)
私立美術館では国内最多となる9点の国宝を所蔵する藤田美術館。2022年4月まで改装工事のため長期休館中となる機会を活用し、同館が所蔵する秘蔵の東洋美術コレクションを一挙展示する、注目の展覧会です。国宝「紫式部日記絵詞」、国宝「玄奘三蔵絵」などの物語絵や、快慶の「地蔵菩薩立像」といった仏像、室町時代に描かれた国内現存最古の詩画軸・国宝「柴門新月図」など9点の国宝全点、53点の重要文化財全点を展示。
中でも一番の注目は、世界で3点しか現存しない国宝・曜変天目です。展覧会では、曜変天目を360度どの角度からもじっくり鑑賞するための専用ルームが用意される予定。茶道具、仏教美術など日本美術の粋を集めた銘品を奈良国立博物館の広大な展示空間でゆったり味わえる好企画です。
展覧会名 「国宝の殿堂 藤田美術館展」
場所 奈良国立博物館
会期 2019年4月13日(土)~6月9日(日)
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オススメ8「東寺展」(東京)
金碧に輝く仏像群が美しい、密教美術の最高峰である東寺・講堂「立体曼荼羅」。これを構成する全21体の仏像中、過去最高の15体(国宝11体、重要文化財4体)が出品される史上最大規模の仏像曼荼羅が東京国立博物館にお目見え。東京国立博物館の美しいライティングの元、特に国宝の11体に関しては全方位360度から観られるように美しいライティングと共に展示される予定。講堂内ではなかなか見ることができない角度・目線から国宝仏像をじっくり鑑賞できる非常に貴重な機会です。
それ以外にも、東寺の信仰と歴史をたっぷり感じられる美術品や文物が多数登場予定。かつて平安京の羅城門に安置されていたとされる国宝「兜跋毘沙門天立像」(とばつびしゃもんてんりゅうぞう)や、密教の灌頂(かんじょう)儀礼で用いられた平安時代屈指の仏画である国宝「十二天屏風」など、東寺が所蔵する至宝の数々が並ぶ予定です。仏教美術好きにはたまらない展覧会になりそう。
展覧会名 特別展「国宝 東寺-空海と仏像曼荼羅」
場所 東京国立博物館
会期 2019年3月26日(火)~6月2日(日)
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オススメ9「奇想の系譜展」(東京)
1970年に発売されて以来、50年以上にわたって世代を超えて読みつがれてきた辻惟雄氏の名著「奇想の系譜」。同書に登場する江戸時代の人気絵師、伊藤若冲・狩野山雪・曽我蕭白・歌川国芳・長沢芦雪・岩佐又兵衛の6名に、新たに鈴木其一・白隠慧鶴の2名を加え、8名の個性派実力絵師の名品が国内外から110点集結。
迫力ある大型の屏風絵やゴージャスな絵巻物が多数並ぶ他、わずか3cm四方の極小の作品や、奇抜なモチーフや斬新な構図の作品が目白押し。展覧会初出品となる作品や、貴重な国外からの里帰り展示なども多く、日本美術好きなら絶対見逃したくない展覧会の一つです。
展覧会名 「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」
場所 東京都美術館
会期 2019年2月9日(土)~4月7日(日)
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オススメ10「ギュスターヴ・モロー展」(東京)
パリの国立ギュスターヴ・モロー美術館の全面協力のもと、「出現」「エウロペの誘拐」「一角獣」など、14年ぶりに同館所蔵の名品群が来日。最愛の女性から、歴史や文学を彩るファム・ファタル(宿命の女)まで、「女性像」をテーマとした作品展示が楽しめます。また、生涯独身だったモローの実生活において、身近な存在だった母ポーリーヌや、30年近くもモローに寄り添い続けた最愛の恋人・アレクサンドリーヌ・デュルーとの交流を伝える素描や手紙なども展示。モローの作品だけでなく、画家の人間性にも鋭く迫る展示内容は必見です!
展覧会名 「ギュスターヴ・モロー展 ― サロメと宿命の女たち ―」
場所 パナソニック汐留ミュージアム
会期 2019年4月6日(土)~6月23日(日)
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オススメ11 特別展「文房四宝-清閑なる時を求めて」(大阪)
中国の文人にとって、自らの修練の場であり、心を休め俗世間の喧騒から離れられる貴重なパーソナル空間でもあった「文房」。自らの聖域としたその書斎スペースに欠かせない道具として、文人たちが特にこだわった4つのアイテムが、「文房四宝」と言われた筆・墨・硯・紙でした。
本展では、これら「文房四宝」をはじめ、印材・筆架・筆筒・水滴・玉など、貴重な明・清の文房具コレクション約150点を展示。大阪市立東洋陶磁美術館ならではの静謐な雰囲気の中、じっくりと文人たちの世界に思いを馳せることができそうです。
展覧会名 特別展「文房四宝-清閑なる時を求めて」
場所 大阪市立東洋陶磁美術館
会期 2019年4月6日(土)~6月30日(日)
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オススメ12「バレル・コレクション展」(東京、愛媛)
イギリス、スコットランド出身の実業家だった”海運王”ウィリアム・バレルが生前蒐集したフランス印象派の優品や、地元・スコットランドの優れた画家たちの絵画作品を9000点以上収蔵したバレル・コレクション。ちょうど同館が改装につき長期休館となる機会を活用して、原則・国外不出とされた貴重なコレクション80点が奇跡的に日本初上陸。
ドガの知られざる傑作「リハーサル」をはじめ、ゴッホ、ルノワール、セザンヌ、クールベ、ブーダンら近代西洋絵画の巨匠たちが残した傑作をたっぷり味わえる展覧会になりそうです。何と出展された80点中、76点が日本初公開!目の肥えた上級者でも思わず唸ってしまう傑作と出会えるかもしれません!なお、東京展の後は静岡展(8月7日~10月20日)、広島展(11月2日~2020年1月26日)も開催予定。
展覧会名 「印象派への旅 海運王への夢 バレル・コレクション」
場所 Bunkamura・ザ・ミュージアム(東京)
愛媛県美術館(愛媛)
会期 2019年4月27日(土)~6月30日(日)東京
2018年12月19日(水)~2019年3月24日(日)愛媛
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オススメ13「ラファエル前派の軌跡展」(東京)
ターナーやラファエル前派と交友を持ち、「近代画家論」を著した19世紀イギリス・ヴィクトリア時代を代表する評論家ジョン・ラスキン。その生誕200年を記念して、ラスキンの絵画研究を軸に、ターナーやラファエル前派(ロセッティ、ミレイ、バーン・ジョーンズら)ウィリアム・モリスら、ラスキンと同時代の作家たちの作品を展示します。
海外の所蔵先に幅広いコネクションを持つ三菱一号館美術館らしく、油彩画や水彩画、素描、ステンドグラス、タペストリ、家具など英米の美術館から幅広く集めた約150点の展示で、ラファエル前派の精神的指導者となった批評家・ジョン・ラスキンの評論活動が美術史に与えた影響を探ります。19世紀イギリスで花開いた様々な芸術運動の下、芸術家たちが残した美しい作品群をしっかり堪能するチャンスです。
展覧会名 「ラファエル前派の軌跡展」
場所 三菱一号館美術館
会期 2019年3月14日(木)~6月9日(日)
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オススメ14「快慶・定慶展」(福岡)
2017年に話題となった「運慶展」で運慶やその弟子たちなど”慶派仏師”の魅力をたっぷり味わった人が次に観る展覧会としておすすめなのが本展。通称「千本釈迦堂」という名称で地元の人々に知られる素朴な名刹・大報恩寺が所蔵する仏像や文物などを大特集した展覧会です。
ハイライトは、慶派のスター仏師、快慶・行快(ぎょうかい)・定慶(じょうけい)の3人が制作した美しい仏像群。特に、定慶「六観音菩薩像」は6体全てが専用の撮影スペースから撮影し放題と、定慶が精魂を注いで作り上げた精緻な傑作を思い出として持ち帰れます。昨年の東京展を見逃した人は、九州でリベンジ!
展覧会名 特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」
場所 九州国立博物館
会期 2019年4月23日(火)〜 6月16日(日)
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オススメ15「大徳寺龍光院 国宝 曜変天目と破草鞋」(滋賀)
京都紫野の名刹・大徳寺の塔頭である龍光院は、武将・黒田長政が父・黒田官兵衛の菩提を弔うために、桃山時代の茶人・文化人としても名高い僧侶・江月宗玩(こうげつそうがん)和尚を開祖として1606年に建立されました。それ以来、龍光院は一流文化人が集う文化の発信地として「禅」と「茶」の貴重な名宝が集結。
本展では、江戸時代以来400年間、貴重な所蔵品を散逸せず大切に守り抜いてきた龍光院が、MIHO MUSEUMの美しい展示空間の元でその寺宝の数々を一挙開陳。メイン展示となる国宝・曜変天目をはじめ、茶道具や水墨画の名品を楽しむことができます。過去の傾向を振り返ると、3碗現存するうち、大徳寺龍光院が所蔵する曜変天目が展覧会で公開されるのは非常に珍しく、ぜひこれを機に見ておきたいところです。
展覧会名 「大徳寺龍光院 国宝 曜変天目と破草鞋」
場所 MIHO MUSEUM 北館
会期 2019年3月21日(木・祝)~5月19日(日)
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オススメ16「クリムト展」(東京)
ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館監修のもと企画構成された本展は、「ユディトⅠ」をはじめとして、国内過去最多となるクリムトの油彩画20点以上が集結。また、クリムトが40歳の時に、ベートーヴェンの”第九”からインスピレーションを得て手がけた、全長34メートルを超える壁画「ベートーヴェン・フリーズ」の巨大な原寸大複製も会場内に登場。壮麗な壁画の美しさをたっぷり楽しめそうです。
展覧会では、女性の肖像画だけでなく、クリムトの手がけた個性的な風景画や、同時代にクリムトが交流したウィーン分離派の画家が描いた作品群も見どころです。東京では実に30年ぶりとなるクリムト展は、2019年上半期最注目の西洋美術展と言っても良いでしょう。
展覧会名 「クリムト展 ウィーンと日本1900」
場所 東京都美術館
会期 2019年4月23日(火)~7月10日(水)
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オススメ17「ウィーン・モダン展」(東京)
クリムト展とほぼ同時期に「ウィーン」「20世紀初頭」をテーマとした大きな展覧会が国立新美術館でも開催。こちらもクリムトの油彩画・ポスター・素描など47点をはじめ、シーレ22点、ココシュカ17点など、ウィーン世紀末の巨匠たちが残した傑作が集結。
また、絵画だけでなく建築・工芸・ファッション・インテリア・音楽など、19世紀末におけるウィーンの芸術文化を俯瞰できるような写真や資料、特別映像なども展示。多様な展示品を通して、”芸術の都”ウィーンのきらびやかな芸術世界をしっかり堪能できそうです。東京展では約400点と大量出展で、非常に見応えのある展覧会になりそう。クリムト展とセットで回りたいですね!
展覧会名 「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」
場所 国立新美術館
会期 2019年4月24日(水)~8月5日(月)
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オススメ18 特別展「明恵の夢と高山寺」(大阪)
高山寺の開祖・明恵上人(みょうえしょうにん)と、高山寺に伝わる数々の寺宝を特集した、非常に力の入った特別展です。展覧会では、数々の魅力的なエピソードに満ちた「明恵上人」が19歳~58歳までに自らが見た夢について書いた「夢記」に着目。夢、夢想、夢感など、生涯の大部分にわたる夢の記録から、明恵上人の人物像や人生を振り返ります。
また、高山寺の寺宝として本展では美術ファンから広く愛され、屈指の人気を誇る国宝「鳥獣戯画」全4巻や、不思議な修行風景を描写した国宝・明恵上人像なども展示。国宝ファンにも楽しみな展覧会です。
展覧会名 特別展 「明恵の夢と高山寺」
場所 中之島香雪美術館
会期 2019年3月21日(木・祝)~5月6日(月)
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オススメ19「トルコ至宝展」(東京・京都)
トルコ・トプカプ宮殿博物館が所蔵する歴史遺産・財宝約170点で、トルコの歴史・文化を楽しみながら学べる展覧会。トルコ国民が愛する「チューリップ」をテーマに、オスマン帝国の栄華を今に伝える宝飾品・工芸品・食器・武器・書籍等が展示される他、トルコにわたった明治期の日本美術品が里帰りするなど、日本とトルコの長年の友好関係にも焦点を当てます。出展作品約170点は、ほぼ全点が日本初出品となる貴重な展覧会。東西文化が融合したハイレベルな美術品をたっぷり楽しめる美術展となりそうです。
展覧会名 「トルコ至宝展 チューリップの宮殿 トプカプの美」
場所 国立新美術館 企画展示室2E
京都国立近代美術館
会期 2019年3月20日(水)~5月20日(月)
2019年6月14日(金)〜7月28日(日)
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オススメ20「江戸の奇跡・明治の輝き-日本絵画の200年」(岡山)
日本絵画史において激動の時期となった江戸後期~明治時代の200年を代表して、伊藤若冲、池大雅、曽我蕭白、円山応挙、司馬江漢、渡辺崋山ら江戸後期のスター絵師から、狩野芳崖、菱田春草、横山大観、下村観山、竹内栖鳳ら明治期に傑出した有名画家まで重要文化財16件を含む約180件を一挙特集。日本画好きにはたまらない展覧会になりそう。奇想の絵画展で本格的に江戸絵画にハマったなら、今度は岡山に遠征必至です!
展覧会名 「江戸の奇跡・明治の輝き-日本絵画の200年」
場所 岡山県立美術館
会期 2019年3月15日(金)〜4月21日(日)
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観光とセットで回るのも面白い!
こうして全国各地で本当に面白い展覧会を探していくと、いわゆる”ブロックバスター展”と言われる、東京都心で開催され、何十万人も来館者があるような企画展だけでなく、地方でも素晴らしい展覧会が多数開催されていることに気づかされます。せっかく気候も暖かくなってきたことですし、観光とセットでたまには遠方の美術展に行ってみるのもいいですよね。美味しいものを食べて、観光地を回って、その集大成として展覧会を楽しむ。そんな気楽なスタンスで、ぜひひとつでも多くの素晴らしい展覧会を楽しんでみてくださいね。
文/齋藤久嗣