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2019.05.08

国宝の茶碗「曜変天目」も。藤田美術館展がすごい!【展覧会感想・解説】

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藤田美術館という、日本の私立美術館の中では国内最高となる国宝9点を所蔵する日本美術を専門とする美術館をご存知でしょうか?大阪城跡にほど近い、大阪市都島区の街なかにある、日本・中国・朝鮮などの東洋古美術を専門とする美術館です。

その藤田美術館ですが、老朽化した展示施設の大規模な修繕を行うため、2022年4月まで長期休館中。

となると、最低でも2022年までは藤田美術館の所蔵する仏像や仏画、茶道具などの名品はしばらくお預けになるのかな・・・と思っていたら、2019年春、奈良国立博物館が藤田美術館の「すべて」が観られると言っても過言ではない、素晴らしい特別展「国宝の殿堂 藤田美術館展」を開催してくれました。

国宝・曜変天目はじめ日本美術ファン必見の品満載

チラシにも印刷されている国宝「曜変天目」を始め、藤田美術館の所蔵する国宝9点、重要文化財53点が全て観られるという、日本美術ファンとしては絶対見逃せない2ヶ月間です。これは絶対取材しなくては!ということで、和樂Webとして、奈良まで遠征して見に行ってまいりました。本稿では、展示のみどころや魅力に迫ってみたいと思います!

”国宝の殿堂” 藤田美術館とは?


藤田傳三郎の写真(展示室内解説パネルより引用)

藤田美術館は、明治時代に活躍した実業家・藤田傅三郎(ふじたでんざぶろう)と、息子の平太郎、徳次郎が収集したコレクションを元に、大阪城公園近くの網島地区にて1954年に開館しました。それまで藤田家のコレクションを守ってきた明治時代後期の「蔵」をそのまま活用する形で展示室が造られました。現在では、茶道具・仏画・仏像などを中心として約2000件のコレクションを所蔵しています。

同館は「蔵」の美術館として開館以来60年以上にわたって、茶道具・仏画・仏像などを中心に多くの美術ファンに愛されてきましたが、2017年6月より美術館の建て替えのため長期休館中。2022年4月のリニューアルオープンを目指して改装工事が進められています。

では、長期休館中の間、藤田美術館の所蔵する作品は一体どこにあるんだろう・・・と思いますよね?

実は、リニューアルオープンまでの改修工事中は、奈良国立博物館に同館の全ての所蔵品が一括して預けられているのです。そこで、せっかくなので置いておくだけはもったいないということで、奈良国立博物館は、この機会を活用して作品の調査やコレクションを活用した展示企画などを推進。その集大成の一つが、今回の特別展「国宝の殿堂 藤田美術館展」だったのでした。

本展の凄いところは、約2000点のコレクションの中から、国宝9件、重要文化財53件の全てを含む、選りすぐりの良品ばかりを約130件セレクトして前後期で一気に展観してくれる点です。藤田傅三郎の厳しい審美眼で選びぬかれた古代・中世の貴重な古美術や、茶道具、仏教美術などが一同に会した展示内容は圧巻です。

では、早速そのみどころを紹介していきましょう。

まずは国宝・曜変天目をチェック!


専用の入口が設けられた、曜変天目を観るためだけに設置された特設ルーム

藤田美術館が所蔵する最高の秘宝といえば、やっぱり世界でたった3碗しか現存しない国宝・曜変天目茶碗です。光を当てると瑠璃色に輝く「曜変」と呼ばれる優雅な斑紋は、古来から人々を魅了し続けてきました。

同館が所蔵する曜変天目茶碗は、江戸時代にまず徳川家康が所蔵。これを譲り受けた水戸徳川家を経て、1918年に藤田家へと収蔵されるに至りました。中国・南宋時代に制作されたこと以外、製造された窯の場所や詳しい製造方法などは未だに完全に解明されておらず、謎に包まれたミステリアスな一面も近年特に人気化している一因なのかもしれません。


国宝・曜変天目茶碗 陶製 中国・南宋(12~13世紀)

本展では、その国宝・曜変天目茶碗が主役です。展示室内に曜変天目を最高の環境で鑑賞するための特別な部屋が用意されるなど、準備も万端です。特設ルーム内の四方には、曜変天目茶碗を魅せるために考え抜かれたライティングの下、360度どの角度からも鑑賞ができるようになっています。まさに美術ファンにとっては至福の一時です。

また、特設ルーム入り口には曜変天目茶碗の詳しい解説パネルも用意されています。最近、相次いで中国で発見された曜変天目茶碗とされる破片などの紹介も興味深かったです。


特設コーナー壁に貼られた解説パネルにも最新の知見が!

茶道具のコーナーでは、曜変天目茶碗を乗せるための「天目台」も合わせて展示されています。国宝茶碗とセットになっているだけあって、黒漆にキラキラと螺鈿細工がきらめく天目台も、ひときわゴージャスな雰囲気を醸し出しています。ぜひ、曜変天目がセットされた状態を想像しながら鑑賞してみて下さい。


曜変天目茶碗専用の天目台

曜変天目以外にも多数の注目展示が!

まずは曜変天目をチェックし終わったら、奈良国立博物館の広大な展示室内を見渡してみましょう。東新館・西新館の2つの展示室をフルに活用し、様々な名品がぎっしりと展示されています。どれも素晴らしかったのですが、特に見逃したくない展示をいくつか絞って紹介していきますね。

みどころ1 藤田傅三郎の審美眼で選びぬかれた茶道具や陶磁器の名品

藤田美術館では、歴史的・造形的に評価の高い茶道具をはじめとして、陶磁器の銘品を多数所蔵しています。まずは和製「天目茶碗」の最高級品「菊花天目茶碗」をみてみましょう。


重要文化財 菊花天目茶碗 陶製 室町時代(16世紀)

南宋時代に制作され、中国から輸入された曜変天目茶碗や油滴天目茶碗。現在でも曜変天目を再現しようと各地で職人たちがしのぎを削っていますが、数百年前の日本でもやはりその思いは同じ。

まったく同じものは作れなくても、せめてその口縁部の「すっぽん口」、漏斗形のフォルム、お椀の最下部には釉薬を敢えて掛けないスタイルなど、いわゆる「天目形」に則って様々な「和製」天目茶碗が制作されました。その中でも最高級な優品の一つとされているのが、この菊花天目茶碗。江戸時代に小堀遠州が高く評価したことにより、名作として認識されるようになりました。

続いてその深みのある趣に目を奪われたのがこちらの古伊賀の茶陶「古伊賀花入 銘 寿老人」です。左右が微妙に非対称なフォルムで古田織部以降の侘び茶の美意識を反映しつつ、乳白色、緋色、茶、緑、黒など非常に複雑な色合いが絶妙な塩梅で配合されています。


重要文化財 古伊賀花入 銘 寿老人 陶製 安土桃山時代(16世紀~17世紀)

古伊賀は、古備前などと同様に地元で採れた土を組み合わせ、釉薬をかけずに制作されます。高温の窯の中で焼き締められる時の粘土の化学変化や、藁などから出た灰などの作用による窯変によって、胎土本来の質感をベースに陶器表面に様々な文様が立ち現れますが、恐らくまだ本作が制作された桃山時代には、職人が狙ったとおりの色合いを計算通り再現するのは難しかったはず。「寿老人」の長い頭を想起させる本作の激シブな美しさは神がかり的だと感じました。


宝船置物 伝野々村仁清作 陶製 色絵 江戸時代(17世紀)

続いては、野々村仁清の工房作品と見られている、松竹梅や鶴などおめでたいモチーフで埋め尽くされた、陶製の宝船状のオブジェ「宝船置物」を見てみましょう。野々村仁清といえば、国宝・色絵藤花文茶壺(MOA美術館蔵)色絵月梅図茶壺(東京国立博物館蔵)など、風流な絵付けをされたツボが有名ですが、国宝・色絵雉子香炉(石川県立美術館蔵)など、動物を形どった立体造形も非常に得意としています。本作は高さ約60cm、長さ約50cmと非常に大きくインパクトのある優品でした。

茶道具で最後に見ておきたいのは、17世紀頃に中国・明で制作された茶の湯用の香合「交趾大亀香合」です。この大亀を形どった香合は特に珍しく、現存するのは本作ただ一つだと言われています。
重要文化財 交趾大亀香合 陶製 中国・明(17世紀)

本作は順路に従って展示室に入ると、一番最初の作品として展示されていますが、実は本作は藤田傅三郎が最後に収集した作品ということでも有名です。本作が9万円(当時の金額)で落札された時、すでに藤田傅三郎は病床の身で、作品が手元に届く前にこの世を去ったと言われています。しかし病床においても最後まで美術品収集に余念がなかったというエピソードからは、藤田の数寄者ぶりがよくわかりますね。

 

みどころ2 クオリティの高さと抜群の状態の良さ! 仏像・仏画が凄い!


圧巻の仏画コーナー。古い作品でもに状態が良いものが多く、藤田美術館の実力がよくわかる展示。

そして、次に目を引いたのが藤田美術館の所蔵する豊富な仏画コレクションです。それも、桃山~江戸時代といった比較的新しめの仏画だけでなく、平安・鎌倉期の状態の良い優れた仏画群を多数所蔵しているのです。

古代~中世の仏画鑑賞での最大の難点は、画面が傷んで真っ黒に焼けてしまっていて何が描かれているのかさっぱりわからない作品が多いことでしょうか。目を皿のようにして観るのは本当にしんどいですよね。筆者も疲れていると、ついついサーッと流してしまったりしがちです。

しかし、藤田美術館の所蔵する仏画群は違います!どれも本当に状態が良い!!これは嬉しいサプライズでした。クオリティが高い上、どの作品も単眼鏡などの器具がなくても、詳細に至るまで鑑賞できました。


聖徳太子勝鬘経講賛図 鎌倉~南北朝時代(14世紀)※前期展示(~5月12日)/どの作品も非常に状態が良いのが嬉しいところ。

中でも特に目を引いたのが、南北朝時代の絵仏師・詫磨栄賀(たくまえいが)が描いたとされる「十六羅漢図」。全十六幅がワンセットで、釈迦が亡くなった後の世界を託された16人の高僧たちを一幅に一名ずつ描いています。羅漢一人ひとりのユニークな表情や徹底した描き分け、動物や山水の表現の面白さなど、中世ならではの素朴さやゆるさが絶妙で、非常に目を奪われました。


重要文化財 十六羅漢図 詫磨栄賀筆 絹本着色 南北朝時代(14世紀)※前期展示(~5月12日)

14世紀に描かれた作品なのに、この圧倒的な状態の良さ!江戸時代や明治時代といった近世~近代の仏画とは明らかにテイストが違い、描かれた16名の尊者や動物たちの表情がマンガのような大仰さで描かれていました。

重要文化財 十六羅漢図 詫磨栄賀筆 部分図 絹本着色 南北朝時代(14世紀)※前期展示(~5月12日)
重要文化財 十六羅漢図 詫磨栄賀筆 部分図 絹本着色 南北朝時代(14世紀)※前期展示(~5月12日)
重要文化財 十六羅漢図 詫磨栄賀筆 部分図 絹本着色 南北朝時代(14世紀)※前期展示(~5月12日)

もちろん、仏画だけでなく仏像にも良い作品が多数出展されています。特にその中から大型でわかりやすい優品をいくつか紹介しますね。まず、展示室の中で絶対に見ておきたいのが、快慶が制作した「地蔵菩薩立像」


重要文化財 地蔵菩薩立像 快慶作 木造 彩色・截金 鎌倉時代(13世紀)

地蔵菩薩の優美な佇まいや、繊細な截金模様を始め、顔から足先に至るまで徹底的にディテールまでこだわり抜いて描きつくされた超絶技巧ぶりは、さすが快慶です。全体的に彩色もまだ結構残っていて、衣の截金文様などもよくわかる優品でした。

続いて目を引いたのが、「空也上人像」です。空也上人といえば、口から6体の「化仏」を出しながら「南無阿弥陀仏」と唱える様子が表現された彫刻が有名ですね。特に、六波羅蜜寺が所蔵する運慶の四男・康勝が制作したものは歴史の教科書や資料集にも掲載されているので見たことがある人も多いかと思います。


空也上人立像 木造 彩色 南北朝~室町時代(14~15世紀)

本作も、胸をはだけて首から鉦鼓(しょうこ)を吊るし、右手には鉦鼓を叩くための撞木(しゅもく)を持つなど、六波羅蜜寺バージョンとほぼ同じスタイルで丁寧に制作された優品。そして、やはり視線は空也上人の「口」に自然と向きますよね。

空也上人立像 頭部拡大部分図 木造 彩色 南北朝~室町時代(14~15世紀)

よく見ると、口の中からは銅線が出ており、その銅線の先には雲の上に乗った六体の木製の化仏が乗っかっています。ディテールまでしっかり作り込まれた非常に丁寧な作品でした。

そして、次に驚いたのが、白雲に乗る鹿が収められた室町時代に制作されたゴージャスな厨子「春日厨子」です。


春日厨子 木製 黒漆塗 彩絵 室町時代(15世紀)※前期展示(~5月12日)

奈良国立博物館では、春日大社をテーマとした特別展や特集陳列などで、「神鹿」を描いた春日曼荼羅が展示されることも多いですが、本作のように「厨子」に納められた3Dでのゴージャスな神鹿は非常に珍しいのではないでしょうか?図録には、”春日野に降り立った神鹿を表した立体曼荼羅ともいうべきもの”と解説されていますが、まさに平面での表現に比べインパクトは絶大です。

厨子の内部に描かれた三笠山・春日山をバックにした春日大社の情景もみどころの一つ。金泥で描かれた道や桜が満開の野原は幻想的で、これを見た人は信仰心を掻き立てられたに違いありません。細部まで美しさが体感できる作品でした。

みどころ3 絵巻物の注目は国宝「玄奘三蔵絵」


国宝・玄奘三蔵絵 巻第二 部分図 絹本着色 鎌倉時代(12~13世紀)※前期展示(~5月12日)

藤田美術館が所蔵する国宝9点のうち、曜変天目の次におすすめしたいのが、国宝絵巻物「玄奘三蔵絵」です。孫悟空伝説で有名な「三蔵法師」にまつわる奇想天外な伝説を高級な和紙や岩絵の具をふんだんに使ってまとめられた贅沢な絵巻物なのですが、これは絶対オススメ!

中世の絵巻物といえば、「鳥獣人物戯画」「一遍聖絵」「蒙古襲来絵巻」「春日権現絵巻」など物語絵巻、軍記物、寺社縁起絵巻、高僧の伝記絵巻など質量ともに非常に多くの優れた作品が残っていますが、筆者は本作が一番のお気に入りです。なぜなら、この「玄奘三蔵絵」は、歴史に名を残す高僧の伝記物でありながら、ダイナミックな風景美やファンタジー色豊かな絵柄に加え、登場人物の見せる様々なコミカルな表情など、見ていてストレートに面白さが伝わってくるからなのです。


国宝・玄奘三蔵絵 巻第一 部分図 絹本着色 鎌倉時代(12~13世紀)/満月に照らされて、荒海の中に敷き詰められた蓮華座を一歩ずつ踏みしめながら伝説の須弥山へと向かう三蔵法師。非常にファンタジックでスペクタクルなシーンが印象的。


国宝・玄奘三蔵絵 巻第一 部分図 絹本着色 鎌倉時代(12~13世紀)※前期展示(~5月12日)/雷神のコミカルな表情と、雷神の体からオーラのように発生している電気エネルギー(?)がマンガのように描かれています。


国宝・玄奘三蔵絵 巻第一 部分図 絹本着色 鎌倉時代(12~13世紀)※前期展示(~5月12日)/旅の途中で玄奘についていけなくなり、苦々しい表情でリタイアするお供の僧侶。なんとも言えない苦渋の表情にぐっときました。

その上、描いた絵師の力量も素晴らしく、作品も大切に守り継がれてきたため、とても800年前に制作された絵巻物とは思えないほど状態も素晴らしく良いのです。

本展では、奈良国立博物館の広大な展示空間を生かして、前後期に分かれて「玄奘三蔵絵」を巻一~巻四までじっくりと観ることができます。解説のキャプションも細かく添えられているため、絵だけを見て「何が描かれているのかサッパリわからない」と途方に暮れることもありません。鎌倉時代に描かれた屈指の国宝絵巻物を心ゆくまで楽しんでみてくださいね。

みどころ4 意外な古代の名品も味わえます

藤田傅三郎は、茶の湯や仏教美術だけでなく、奈良時代以前の「考古学」分野における古代の美術品蒐集にも余念がありませんでした。展示後半にさりげなく置かれているので見逃してしまいそうになりますが、この「考古分野」における展示品にも非常に面白いものが含まれています。

たとえばこちらの「埴製枕(はにせいまくら)」。奈良県天理市の燈籠山古墳からの出土品で、埴輪を制作するために使われたものと同じ粘土を使って焼かれている、非常に珍しい土製品の「枕」です。同時代ではわずか数例しか出土例がない非常にレアな考古資料なのです。


重要文化財 埴製枕 埴製 古墳時代(4世紀)

よく見ると、被葬者の後頭部を受け支えるためのΩ型のくぼみや、同じく肩がフィットするように、肩が当たる部分になだらかに傾斜がつけられていたりと、芸が細かいのですよね。古代の職人達の意外な技術力の高さが読み取れる展示でした。


重要文化財 伎楽面・力士 木造・彩色 奈良時代(8世紀)※前期展示(~5月12日)

そして、こちらの「伎楽面」。神社や仏教美術、あるいは能・狂言・歌舞伎といった伝統芸能を特集した美術展では、こういったお面もわりとよく見かけますよね。しかし、大抵の展覧会では、桃山~江戸初期以降に制作された物が多く、平安後期~鎌倉時代のものが出ていたら「おっ、凄く古いな。」となることが多いような気がします。

しかし、藤田美術館展で出品されているお面は、なんと奈良時代に制作された、日本最古クラスの伎楽面なのです!!!裏面には「東大寺」と明記されており、752年の大仏開眼会で使われたと推測されている他、正倉院に収められている「金剛面」との関連が指摘されています。

過去何度も実際に祭礼や儀式で使われ、かなりボロボロになりつつも、約1300年もの間大切に受け継がれてきた本作。眉が釣り上がり、やや歯を出して口角を上げながら口を真一文字に広げた意志の強さが感じられる精悍な表情には、一度見たら忘れられないインパクトがありました。きっと多数の人々が参列した東大寺の法会において、遠くから見ても強烈な印象を残したことでしょう。

図録を見てみると、鎌倉時代に慶派仏師の棟梁として活躍した運慶の父・康慶が、伎楽面を制作した際に、本作を参考にしたのではないかとの記述も。一流の作品が、一流の職人によって守られ、受け継がれていく。まさに伝説級の伎楽面であることがよくわかります。

藤田傅三郎の凄すぎる審美眼は本物! 優品揃いの展覧会を堪能できました

「国宝の殿堂」と展覧会名で謳われている通り、本展は藤田美術館の「全て」魅力が詰まっているといっても過言ではありません。展示は茶道具や仏教美術、考古資料に至るまで非常に多岐に渡りますが、どれも稀少性が高く、状態の良い優品揃いでした。数寄者・藤田傅三郎の古美術蒐集にかける情熱と慧眼に敬服せずにはいられませんでした。

特設ルームで曜変天目をじっくり観られるだけでも十分観る価値はありますが、それ以外の展示も負けず劣らず見どころ満載の藤田美術館展。良いものをじっくり観ると美術鑑賞での審美眼が鍛えられるといいますが、屈指のコレクター、藤田傅三郎が生涯をかけて集めたコレクションをじっくり見ることで、作品を観る「目」が確実に鍛えられるはず。ぜひ、珠玉の名品をじっくり味わってみてくださいね。

展覧会情報

展覧会名 特別展「国宝の殿堂 藤田美術館展」
会場 奈良国立博物館 東新館・西新館
会期 2019年4月13日(土)~6月9日(日)
公式サイト

書いた人

サラリーマン生活に疲れ、40歳で突如会社を退職。日々の始末書提出で鍛えた長文作成能力を活かし、ブログ一本で生活をしてみようと思い立って3年。主夫業をこなす傍ら、美術館・博物館の面白さにハマり、子供と共に全国の展覧会に出没しては10000字オーバーの長文まとめ記事を嬉々として書き散らしている。