Craft
2019.08.27

これどうやって作ったの? 和時計に秘められた江戸時代の知られざる超絶技巧

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ものづくりは楽しい! モチベーションの源泉は、「美しいものが作りたい」

江戸時代、それは人々の粋な遊び心を源泉に、後に「日本代表」と呼ばれることになる一級品がたくさん生まれた時代です。和時計は、決して趣味娯楽から生まれたものではなく、「不定時法」で生活していた日本独自の時計が必要だったために生み出された、立派な必需品です。しかしその技術は、機械としての正確性が求められた西洋の時計とは少し違った発展の系譜をたどりました。作品のオリジナリティや美しさに非常な重きが置かれた和時計には確かに、江戸時代特有の「趣味娯楽に対する情熱」が息づいているのです。

また、独自の技術発展を遂げた和時計は、現在美術的にも技術的にも、この時代のどこにも類を見ない一級品として評価を受けるに至っています。「ものづくりは楽しい」「美しいものが作りたい」。本当にすごいものというのは、そんな「粋な」モチベーションを糧に生み出されるものなのかもしれません。

文/笛木あみ

「江戸時代の趣味娯楽が生んだすごいもの」連載記事一覧
・第1回 浮世絵を大発展させたのは江戸の「おもしろカレンダー作り」だった?! 大小暦が、世界に誇る日本美術「錦絵」になるまで
・第2回 江戸のやりすぎ? 園芸ブーム! 変化朝顔のディープな世界
・第3回 人の魂生き写し?! 効率化とは無縁の江戸時代「からくり人形」の世界

書いた人

横浜生まれ。お金を貯めては旅に出るか、半年くらい引きこもって小説を書いたり映画を撮ったりする人生。モノを持たず未来を持たない江戸町民の身軽さに激しく憧れる。趣味は苦行と瞑想と一人ダンスパーティ。尊敬する人は縄文人。縄文時代と江戸時代の長い平和(a.k.a.ヒマ)が生み出した無用の産物が、日本文化の真骨頂なのだと固く信じている。