Craft
2020.01.02

欧米産チーズが安くなる!純金メッキの「国産チーズナイフ」を手に入れろ!

この記事を書いた人

円形の大きなチーズが、日本でも「当たり前のもの」になる日が近づいている。

それは欧米産のチーズの関税が安くなるからだ。

今年の初め頃に発効されたEUとの経済連携協定(EPA)では、種類にもよるがEU域内産チーズの関税が段階的に撤廃へ向かう。さらに日米貿易協定でも、日本はアメリカ産チーズの関税撤廃に合意した。

これは革命的な出来事だ。だからこそ、今のうちにチーズを切るためのナイフを用意しておきたい!

関税を巡る各国の思惑

関税というものはあったほうがいいのかないほうがいいのか、これを語ると政治問題になってしまう。

ただ、ひとつ言えるのは関税のない世界ほどビジネスチャンスが生まれるということだ。もちろん、そこには熾烈な競争もある。

また、国によって「得意分野」が異なる。日本の場合は自動車産業が十八番だが、オーストラリアやニュージーランド、そしてアメリカは大規模農業国である。肉や穀物、乳製品を他の国の人々になるべく多く買ってもらいたい。だから「日本車の関税を安くするから、代わりに乳製品の関税を撤廃してくれ」という交渉に移行する。

この提案を受け入れた場合、日本の食文化が大きく変化するのは間違いない。

そして現に、EUやアメリカから輸入されるチーズの関税は今後撤廃されることが決まっている。ワインなどが一番分かりやすい例だが、日本では今まであまり馴染みのなかった食品でも値段が安くなった途端に注目され、食卓のレギュラーメンバーに昇格するということが多々ある。

しかし、チーズの場合はそれをカットする道具がなければならない。

純金メッキのお洒落なナイフ

もっとも、チーズを切るだけなら肥後守でもいいかもしれないし、それよりもブレードの薄いオピネルでやっても構わない。

だが、これらは筆者の認識では「工具」である。食事とは、美味を求めると同時に多少の「格好つけ」も必要だ。

そこで今回取り寄せたのは、このナイフ。岐阜県関市の志津刃物製作所が生産している『pomme チーズナイフ』である。

何とも洒落た化粧箱である。同じナイフでもボウイナイフなどは、錆止め油をベタベタに塗りたくった状態で適当にビニール袋に包まれているくらいなのだが、やはり食品を切るためのナイフは梱包も繊細だ。このチーズナイフはステンレス製だが、表面は純金メッキが施されている。見た目はかなり上品な雰囲気で、徹頭徹尾平民育ちの筆者がこれを手に取っていいのかと一瞬躊躇ってしまうほど。しかしながらこのナイフは、筆者も散々お世話になった関市で生産されたものだ。

さて、早速使ってみよう。

エダムチーズを切ってみよう!

今回の記事のために購入したチーズは、オランダのエダムチーズ。

なぜエダムチーズか。それは単純に、エダムチーズが好きだから。

もし明日にでもエダムチーズの関税が撤廃されたら、すぐさまスーパーマーケットに行ってそれを買い占めるだろう。毎日食べても飽きないはずだ。が、エダムチーズは硬い種類のチーズだから、それを食べるにはナイフが欠かせない。

pomme チーズナイフの刃は、いわゆるセレーション(波刃)である。これで肉を切ることはできない。指で触っても怪我をすることはないから、子供でも扱えるだろう。

だがそれよりも気になるのは、かなり特殊な形状のクリップポイント。これは切ったチーズを取り分ける際、フォーク代わりに使うための工夫らしい。

ところで、この製品の説明書きには「ソフトタイプからセミハードタイプのチーズのカットに適しています」とある。今回のエダムチーズは、もしかしたらセミハード以上の硬さかもしれない。だからそれを切る前は不安な気持ちもあったのだが、いざ刃を進めてみると不安は一気に吹き飛んだ。セレーションがエダムチーズの中まで食い込み、それを両断している。その様が、見ていて結構面白い。

ひとつの食器として見ても、このナイフはいろいろと思案されている。筆者のグローブのような手でも持ちやすく、ストレスはまったく感じさせない。

点と点を接続する

面白い時代になった、と筆者はつくづく感じている。

Web物書きとは、つまるところ情報と情報をつなげてそれを文脈に仕立てるのが仕事だ。EPAとチーズナイフは、一見して関係がないように見える。しかし、点と点を接続する細長い線をどうにか探し出し、そこに光を当てることでWeb物書きは米を取っている。

もしこの記事を読んで「今夜はエダムチーズでも食べてみようか」と思ってくれたのなら、とりあえず筆者の仕事は一段落ついたことになる。