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2024.04.19

「鳩尾」なぜ「みぞおち」と読む? 鳩との関係を調べてみた

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「鳩尾」は、なぜ「みぞおち」と読むのでしょうか? 漢字で書いたら誰も読めない(であろう)言葉について調べてみました!

「鳩尾」の由来

実は、漢字と読みとに直接的な関係はないのだとか。
「みぞおち/みずおち」とは胸と腹の境にあるへこんだ部分、肋骨が胸の骨と接している下端のすぐ下の骨がない部分で、ここに飲んだ水が落ちる「水落ち(みずおち)」が変化した言葉なのだそう。

「心窩(しんか)」「水月(すいげつ)」とも呼ばれる人間の急所の1つで、武術や格闘技でも、ここが重要な攻撃ポイントとなっているそうです。

そして、この漢字を使う理由は、形が鳩の尾に似ているため、というのが有力な説です。

漢字と読みには関連がない。じゃあ知らなければ読めるはずがないですね。
こういうところにも昔の日本人の「ま、いいか♡」的なファジーさが垣間見えるような気がするのですが……。音が同じな別の漢字表記を使うのは、たくさん字を知っているんだぞ、と知識をひけらかす目的だった、なんて話も聞きますが、固有名詞にまでそれを適用しちゃうんですから、わずかでも間違えると指摘されてしまう現代とは、ちょっと感覚の違いはあったのかもしれませんね。

みぞおち、いろいろ

みぞおち(みずおち)には、いろいろな方言があります。

代表的とされるのは「ムシノクチ」「ミズオトシムナモト」「キムグチ」など。

この単語は意味の上から前半と後半に分けられるのですが、前半部分は大きく分けて「水」「胸」「肝(心臓)」という3パターン、後半部分は基本に「落ちる」があってそこから変化した「打ち」「口(くち)」という3パターンがあるとされます(※沖縄は独自のパターンであるとも)。

ミドオチ、ミズオテ、ミドーテ、ミッオトシ、ミッゴトシ、ムナウチ、ムニウトゥシ、ンニグチ、チムウチ、キムグシ、ツィムングッティタライッティ、ムナシタ、オチクボ  など

その他の鳩尾

鎧のパーツにも、鳩尾という漢字が使われているものがあります。

「鳩尾の板(きゅうびのいた/はとのおのいた)」といい、左側の胸のすき間を保護するための革で包まれた細長い鉄板です。
ここでは「きゅうび」あるいは「はとのお」と読まれていますが、これも鳩の尾と形が似ていることからの命名。鳩が昔の日本人にとてもなじみ深い存在だったことが分かる言葉ですね。

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アイキャッチ画像:蹄斎北馬『花鳥六番ノ内 下野宇都宮』メトロポリタン美術館より

主要参考文献:
・『世界大百科事典』平凡社
・『デジタル大辞泉』小学館
・『日本国語大辞典』小学館
・『日本方言大辞典』小学館

書いた人

人生の総ては必然と信じる不動明王ファン。経歴に節操がなさすぎて不思議がられることがよくあるが、一期は夢よ、ただ狂へ。熱しやすく冷めにくく、息切れするよ、と周囲が呆れるような劫火の情熱を平気で10年単位で保てる高性能魔法瓶。日本刀剣は永遠の恋人。愛ハムスターに日々齧られるのが本業。