馬場紀衣

文筆家。12歳で海外へ単身バレエ留学。University of Otagoで哲学を学び、帰国。筑波大学人文学類卒。在学中からライターをはじめ、アートや本についてのコラムを執筆する。舞踊や演劇などすべての視覚的表現を愛し、古今東西の枯れた「物語」を集める古書蒐集家でもある。古本を漁り、劇場へ行き、その間に原稿を書く。古いものばかり追いかけているせいでいつも世間から取り残されている。

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本日、往生致します。幸か不幸か自分の死期を知った者たち

自分はいつ死ぬのか。それが分かっていたら、生きかたも変わるだろうか。今よりもっとましな人間になれるだろうか。
馬場紀衣

鬼なのに虎のパンツ禁止?まるで人間界のような、世知辛い地獄の暮らし

絵で見たり話しに聞いたりする地獄はすさまじい場所だ。鬼に追われ、針山に落とされ、鉄の縄で焼かれる。生者は門前払いの闇世界。しかし、鬼たちはなにも好き勝手に人を苦しめているわけではない。傍若無人に見えるその裏で不自由を強いられているのだ。地獄行きの罪人にそれぞれの事情があるように、地獄の鬼たちものっぴきならない事情を抱えている。そう、地獄で働くのも楽じゃない。
馬場紀衣

美貌の悪女、お百の大罪。悪運が強すぎた生涯と謎の正体に迫る

どうしてか私たちは悪い女がとても好きだ。映画でも小説でも舞台でも、毒婦と呼ばれる女はいつの世も必ず生まれ、愛される。
夫のいる身でありながら、ほかの男性とよろしくしている、とか。とてつもない美貌で男をたぶらかす、とか。犯罪に手をそめるもなぜか逃げとおせる、とか。人はどうしてそんな面倒くさい女のことをわざわざ読んだり観たりするのだろう。
お百は、まさに江戸時代を代表する悪女だった。そして人間ではなかった、かもしれない。
馬場紀衣

え、それが原料…江戸の「怪しい」秘薬に込められた切なる願いとは?

いつの世も、人のいるところに病あり怪我あり。
江戸時代、薬といえば漢方薬だった。オランダ由来の薬もあったし民間療法もあったけれど多彩かつ雑多な薬のなかには、効能も成分も怪しい薬がたくさんあった。なかには現代人の感覚ではちょっと信じられない処方箋も。
現代ほど医療が発展していなかった時代だからこその薬、ちょっと覗いてみませんか。
馬場紀衣

まるで日本版『ガリバー旅行記』!異形異風の国を巡る珍道中『風流志道軒伝』

昔話に出てくるのは海底世界に地下の楽土、それから月世界。どれも魅力的だけど私には行ってみたい場所があって、それが『風流志道軒伝(ふうりゅうしどうけんでん)』に登場する異形異風の国々。旅先は「大人国」に「小人国」。
あれ、なにかに似ている? そう『ガリバー旅行記』(作ジョナサン・スウィフト)である。
しかし『風流志道軒伝』は日本生まれの物語なだけあって、どことなく和の雰囲気が漂う。旅人の名は、浅之進。いざ、浅之進と共に不思議の国を渡り歩いてみよう。
馬場紀衣

「浦島太郎」からの「鶴の恩返し」からの「竹取物語」?貝と人間のラブストーリー『蛤の草紙』がおもしろい!

むかしむかし主人公は助けた蛤に求婚され、蛤は美しい布を織りあげ、天からお迎えが……ん? この話どこかで読んだことがある。
御伽草子のひとつ『蛤の草紙』は、子どもの頃に読んだあれとかこの昔話を寄せ集めたような物語。しかし、唯一無二のおもしろさがある。なにしろ主人公に求婚してくる美女が、蛤(はまぐり)である。貝と結ばれた男の不思議な昔話をご紹介。
馬場紀衣

夢の世界は水の中、山の中にも。異世界を垣間見た昔話の人びと

昔話でもっとも有名な水中世界といえば、あの浦島太郎も訪ねた竜宮城を思いだすにちがいない。しかし水中には、もっと煌びやかな場所がある。そこでは瑠璃と珊瑚の玉が敷かれ、香しい花々が咲いている。
今回ご紹介するのは、知られざる夢のような世界。うっとりするほど華やかで、ぞっとするほど奇妙で、手土産まで頂ける。想像を超えた不思議な場所へご案内します。
馬場紀衣

Phantom Bottom-Pinchers and an All-Male Species? Unmasking the Mischievous Water Kappa Spirit

馬場紀衣

その幸せ太りには理由がある。食べられそうになった僧の華麗なる反撃

幸せ太り。それは、ただ太っているのとはちがう。心の満たされた、幸せな不幸である。でも、その幸せ太りにべつの理由があったとしたら?たとえば愛に満ちた、悲しくて恐ろしい理由が。
馬場紀衣

上から下から流しこまれる塩、塩、塩!江戸時代の罪人を震わせた塩漬けの刑とは?

前々から、これを超える残酷な刑はそうないだろう、と思っていたのがある。江戸時代に行われた「塩詰」である。口と肛門、ときにはえぐり出した目玉の穴から塩を詰めこみ、死体を塩漬けにするのだ。漬物みたいに人間を塩に漬けるなんて、とんでもない所業に思えるが江戸時代にはしばしば見られた。
いったいどんな罪を犯せば、塩漬けにされるのか。そもそも、なぜ塩なのか。大量の塩を詰めこまれた肉体は、どうなるのか。塩漬け死者が目を覚まさないように、すこしだけ記録を掘り起こしてみたい。
馬場紀衣

たかが石、されど石。「下を向いて」歩きたくなる、黙っていられない「石の伝説」

おもしろい石を見つけたとき、私の心はときめく。出合いは突然やってくる。だから私は下ばかり見て歩いている。
石は硬い。そして、もの言わない。もし石に性格があるとしたら、きっと寡黙で堅物な奴にちがいない。人間ならば信用に値するが、なにせ石なので恋の相手にはならない。が、道具にはなる。石をお守りにする人もいる。石は想像よりずっと役に立つ。石にまつわる物語を知れば、もしかすると石を相手に恋だってしたくなるかもしれない。
馬場紀衣

呪い?いいえ治療です。かつて人の隣にいた、いとしき化かし狐たち

あるときは妖怪。またあるときは神の使い。あるいは、ただのいたずら好きかもしれない。化けたり騙したりと古くから人間を翻弄してきた、狐。ずる賢くて意地悪、そんなイメージがあるのは狐のまわりで引き起こされる怪異のせいかもしれない。
とはいえ狐だって人間と同じで三者三様。良いのも悪いのも、変わった狐だっている。今回紹介するのは人の世と交わりたいと切望する、いじらしい狐たちの物語。
馬場紀衣

江戸人も歯が命?みがきすぎたり○○の腕を磨いたり、意外すぎる江戸の歯みがき事情

朝、歯をみがいた。昼にもみがくし、夜もきっとみがくだろう。私は心底、歯医者が嫌いである。子どもの頃の歯みがきは今よりずっとテキトーだった。わざわざ歯医者へ行く理由をつくっていたかつての自分を思うと、おそろしい。

それで、ずっと気になっていたことがある。昔の人は歯をみがいていたのだろうか。日本はかつてお歯黒の国だったと伝え聞く。歯を黒くすることと白くすることは、まったく反対のことのように思う。あの黒さは(といっても本物を見たことはないが)そんじょそこらの歯みがき粉で落ちるのだろうか。というか歯みがき粉は売っていたのか。そもそも、どこで買えたのか。
馬場紀衣

想いが募るあまり息絶える。純な心が招いた『松浦佐用姫』の悲恋

松浦佐用姫をご存知でしょうか。日本三大悲恋伝説といえば『羽衣伝説』『浦島伝説』そして『松浦佐用姫伝説』。松浦佐用姫は日本を代表する、恋する女なのである。悲恋といっても男が心変わりしたとか、ふられて捨てられたわけではない。それどころか男は、おそらく生きて幸せに暮らしている。永遠の悲恋物語と称される松浦佐用姫。清らかすぎる恋心が招いた悲劇とは。
馬場紀衣

怪しいほどに美しくとも、赤ん坊を連れていようとも…橋ですれ違う鬼女に気をつけるべき理由

私には絶対に会いたくない相手がいる。それも数えられないほどいる。まずは幽霊。そして死神。なにより、鬼である。幽霊なら見ないふりができる。死神は背後にいるからそもそも見えない。しかし、鬼はだめだ。アレは前からも後ろからもやって来る。藪をのぞいたら鬼、山中で迷ったら鬼、扉を開けたら鬼。鬼はどこにでも出没する。恐ろしい。それに、会いたくない相手にこそ出くわしてしまうのが世の常だということを私は知っている。

私のように鬼を避けて生きたいと望む人が気をつけるべき場所がある。橋だ。 今回紹介するのは鬼に出くわした不幸者たちの話。これを読んで、来たる鬼との邂逅に備えておきたい。「和樂web」は読者の安全を守ります。
馬場紀衣

妻の怨念を爆発させた江戸時代の三角関係。むつまじい夫婦に起きた悲劇とは

これは江戸時代のお話。あるところに、近所でも噂になるほどの仲むつまじい夫婦が暮らしておりました。ある日、主君の浮気相手が夫婦のもとへやってきます。そして引き起こされた流血沙汰、折り重なる小さな死体、祟りを起こす妻の怨念……仲良し夫婦にいったい何が?

「お綱のうらみ」として福岡県に伝わる有名なこの伝説。数々の伝承を読み解いてきた私には分かる。この話は作りものなどではない(ような気がする)。内容には諸説あるが、そのひとつをご紹介しよう。事件の真相にせまってみたい。
馬場紀衣

昼はこの世、夜はあの世でアルバイト。閻魔王にスカウトされた人間たちの忙しすぎる日常

働きたくない。仕事へ行きたくない。だって、職場が地獄なんだもの。いや、比喩的な意味ではなく、ほんとうに。世の中にはいろんな仕事がある。もちろん、地獄にだって仕事はある。働き方改革がうたわれる今こそ知っておきたい、知られざるあの世のお仕事事情をご紹介します。
馬場紀衣

かつお節を奪った犯人は海の底!? 竜宮城を目指した海女たちの物語

竜宮城。それは海の深い場所にある異郷。水を支配する竜王が住む宮殿である。とはいえ竜宮城と聞いてほとんどの人がまず思い浮かべるのは、浦島太郎が亀に連れて行かれた、あの竜宮城のほうかもしれない。
しかし竜宮城を訪ねたことがあるのは、浦島太郎だけではない。はるか昔、海底を目指した海女たちがいた。彼女たちの目的とは。有名な浦島伝説とは景色のちがう、もうひとつの海底昔話を紹介します。
馬場紀衣

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8,9月号2026.07.01発売

天才! 琳派オールスターズ

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