Culture
2019.10.21

知ってた?KISSが!デヴィッド・ボウイが!愛した歌舞伎の化粧をお見せしましょう

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歌舞伎 Vale Tudo!
「Vale Tudo(バーリ トゥード)」とは、ポルトガル語で「何でもあり」という意味。いつの時代も観客を楽しませるために、歌舞伎はなんでもありの変化を遂げてきました。400年もの間、人々に愛されてきた理由こそ、まさに Vale Tudo!

また、観客だけでなく、世界中のアーティストにも大きな影響を与えたことは、あのメイクで合点が行くはず!

ロックが惹かれた歌舞伎の化粧

DMA-aflo_QKXB048463デヴィッド・ボウイ。1973年のロンドン公演のバックステージにてメーク中。(TopFoto/アフロ)

1973年、デヴィッド・ボウイが「さくら色の頬と、キューピッドのような唇」で巡った世界ツアー。何を隠そう、このメークは歌舞伎の女形の化粧からインスピレーションを受けたものでした。同年4月7日、当時26歳のデヴィッド・ボウイは、坂東玉三郎さん(当時22歳)の歌舞伎を観た後、化粧するところを見せてほしいと言って楽屋を訪ねました。鏡に向かう玉三郎さんを背後からじっと観察したそうです。

スクリーンショット 2017-10-26 16.07.22鳥居忠雅の錦絵「隈取十八番」。左上/「隈取十八番 市川流火焔隈」。右上/「隈取十八番 清忠案 忍隈 解脱ノ景清」。左下/「隈取十八番 松王二本隈」。右下/「隈取十八番 解脱景清ノ亡霊 三升工夫陽炎隈」。(早稲田大学演劇博物館所蔵)

「目の周りの紅のぼかしは海外の人にとっては特別なものだったのでしょう」と、玉三郎さん。「今思えば、歌舞伎を古典と認識しつつも、カブいているということが香りとしてわかったのだと思います。能楽のような古典ではなく、歌舞伎の女形は、珍しくて、人の目を引く、それでいながら歴史があるということに英国のアーティストは惹かれたのではないかと思います」

DMA-UICY93661_1767×17721979年に発表したKISSのアルバム「地獄からの脱出(DYNASTY)」のジャケット。ユニバーサル ミュージックより発売中

一方、アメリカのハードロックバンドKISSが1979年に発表したアルバム「地獄からの脱出(DYNASTY)」のジャケット写真は、歌舞伎の荒事の隈取を思わせるメーク。特にジーン・シモンズ(右上)は歌舞伎ファンだったらしく、眼の見開き具合がほかのメンバーとは明らかに違います。カブいていませんか?