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2019.11.21

ストレスは水に流せ!現代日本の救世主「ストレス流せるメモ」ってなんだ?

この記事を書いた人

ストレス社会とも言われている現代日本。厚労省の調査によると、今や労働者の2人に1人は、強いストレスを抱えているそうです。仕事量、職場の人間関係、不安定な雇用……労働だけでもさまざまな悩みがつきまといます。
ストレスは心身に大きな影響を与えますが、だからといって「そんな悩み、水に流してさっさと忘れましょう」と言われたらすぐに頷けるでしょうか? 「そう簡単に心の整理ができたら苦労はしない」と思う方もいるかもしれません。気持ちをリセットするのって、なかなか難しいものですよね。
でも、もしも物理的にストレスを水に流すことができたら、ちょっと試してみたくなりませんか?

本当に水に流せる「ストレス流せるメモ」

「ストレス流せるメモ」は、水に溶けやすい素材を使ったメモ用紙です。
心に生まれたモヤモヤを書き出して水に浸ければ、あっという間に溶けていきます。
内容量は1日1回(7日分)。

こうしたストレスに向き合うための面白いアイディアが生まれるのも、ストレス社会の一面かもしれません。

「ストレス流せるメモ」開発秘話

水溶紙で大人が楽しめる商品を

メーカーの株式会社マルアイのご担当者に、メモが生まれたきっかけをお伺いしてみました。

「弊社は131年前に紙問屋として創業して以来、さまざまな紙製品を作ってきました。このメモ用紙は、医療用やコピー用紙として使用されている水溶紙を使った製品を作ろうという考えから生まれたものです。水に溶ける紙を使ったアイテムは、昔から子ども用のおもちゃとしては存在していたのですが、大人が楽しめるようなものを企画したいと思いました。そこで素材の特徴に注目し、水に溶けて流せるならイヤな事も文字通り『水に流す』と面白いという話が出たことから開発に至りました」

コンセプトは「お薬」

開発にあたっては、大人が楽しめるものとして成立するように、コンセプトやデザインに気を配ったそうです。

「大人用のものとして成立するように、『ストレスが消えるお薬』をイメージしてサプリメントのパックのようにしています。サプリメントなので『○○日分』と記載するとより面白さが伝わるのではと考え、ちょっと気軽に手に取ってみようと思える『7日分』にしています」

「水に溶けて早く効くかも!」の一言も、いい味を出しています。

確かに、メモ用紙のパッケージに「1日1回7日分」と書かれていると不思議に思ってつい目を留めてしまいますし、1週間お試しと言われるとつい手に取ってみたくなる消費者心理をうまく突いていますね。

笑顔のコミュニケーションツール

そんなストレス流せるメモは、「オフィスコミュニケーション」という製品シリーズのひとつとして扱われています。この「オフィスコミュニケーション」とは、どのようなカテゴリなのでしょうか?

「このシリーズはいずれも、オフィスで馴染みのあるモチーフを使いつつ、普段のコミュニケーションに遊び心をちょっと足すことのできるものです。素材となっている水溶紙は、機密文書のプリンタ用紙として活用しているオフィスもありますが、一般ではあまり馴染みのない紙だと思われます。しかし、2015年の開発当時にオフィスにおける『ストレス』というキーワードをよく耳にしたこともあり、シリーズのラインナップに加えました」

シリーズの他の製品には、辞令や申請書に似たデザインの付箋、「ほんの気持ち在中」「有難う在中」といった在中印があります。
先述のとおり、労働者の半分以上がストレスを溜めている現代の日本ですが、そんな社会だからこそ働く大人同士がクスッと笑い合えるアイテムが必要かもしれませんね。

「弊社は封筒や祝儀用品、レターなど、人と人の心をつなぐ商品を得意とし、『こころ くらし 包む』をモットーに人々の暮らしに笑顔を広げることを目指した商品づくりを続けています。ストレス流せるメモも、オフィスの素材を用いているとはいえ、家庭でもお友達同士でもお使いいただけたらと思います」

ネガティブなストレス以外にも?

マルアイのHPでは、ちょっと気になる同僚への素敵なモヤモヤを水に溶かして気持ちを落ち着ける……という使い方も紹介されています。
せっかくなので、ストレスを書く以外におすすめの使い方もお聞きしてみました。

「例えば、試験やプレゼンなどの前や後に、不安と期待でドキドキする気持ちを落ち着けるために書いてみてはいかがでしょうか。『社労士試験、絶対合格!』や『コンペ受注!』など……。水に入れて、溶けていく様自体が楽しいので、何を書いたとしても流しているうちにモヤモヤがいつの間にか消えているかもしれません」

これは素敵な使い方ですね!
確かに、メモ用紙が水に溶けていく様子を無心で見つめていると、肩に入った力や緊張が取り除かれそうです。

こうしたポジティブな言葉だと、絵馬を書いているような気分に。

ストレスを水に流してみよう

人間にとっての「水」

体を水で洗って清める沐浴の文化は世界各地に存在し、日本でも遥か昔から穢れを水で清めるという行為が根差しています。
例えば、日本神話には、黄泉国から逃げ帰った伊邪那岐命が日向国で禊として穢れを洗い流したエピソードがあります。また、雛祭りのもとになったとされる流し雛の行事では、自分の罪や穢れを移した人形を川や海に流しますし、現代でも神社には参拝前に手や口を水ですすぐために手水舎が設けられています。
水は人間の生命維持に欠かせないだけでなく、清潔を保って疫病を防ぐうえで重要な存在でした。だからこそ、目に見えない穢れや心のわだかまりすらも、水が全て洗い流してくれるように思えるのかもしれません。

実際に水に流してみた

文具や紙を愛してやまない筆者の個人的な感想ですが、あっという間に水に溶けていく様子は実に爽快でした。
数秒で解読しづらくなるほどよく溶け、指で崩してみたところ瞬時に形が失われてしまいます。
物理的に溶かすと、自分のストレスが消えていくイメージを持ちやすいと感じました。

朝の通勤ストレスも、給湯室やトイレでささっと溶かしてしまえばすっきり。

ストレスや自分の感情を紙に書くとストレス軽減に有効だという説がありますが、アウトプットするとすっきりする人、客観的に問題を見つめると冷静になれる人へ特におすすめしたくなります。
インタビューで伺ったとおり使い方は自由なので、1日1回じっくり7日間かけて水に流してもいいですし、思いつくまま7個のモヤモヤを一気に溶かしてみるのもよいでしょう。

ストレス社会を生きていくために

仕事だけではなく、この社会にはさまざまなストレスのもとが存在します。
だからこそ、ストレスとどう付き合って解消していくか、自分に合った方法を知っておくことが大事です。
ストレスの向き合い方はいろいろありますが、まずは7日間、この「ストレス流せるメモ」を試してみるのはいかがでしょうか?

書いた人

日本文化や美術を中心に、興味があちこちにありすぎたため、何者にもなれなかった代わりに行動力だけはある。展示施設にて来館者への解説に励んだり、ゲームのシナリオを書いたりと落ち着かない動きを取るが、本人は「より大勢の人と楽しいことを共有したいだけだ」と主張する。