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Culture
2019.12.12

三味線とは?種類・選び方・用途・購入方法・教室の選び方などポイントを紹介!

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日本の伝統楽器は沢山ありますが、身近なものといったら三味線もその一つ。三味線は、弦楽器で木製の胴の表面に猫や犬の皮を貼り、胴を貫通した長い棹(さお)に張られた弦を撥(ばち)で引いて演奏するものです。元々は中国から伝来した「三弦」ですが、現在では、落語や漫才などの寄席で効果音として使われる場合もあれば、お座敷などで芸者さんが踊りに合わせて奏でることもあります。また最近は吉田兄弟などの三味線演奏家も出てきて、人気を集めています。

こうした落語家などの影響から、「三味線を習いたい」「自分で演奏したい」という人も増えてきましたが、三味線にも種類があるのをご存知でしょうか。三味線の種類は大きく分けて3つ、「太棹」「中棹」そして「細棹」で、それぞれジャンルが変わります。今回は知っているようで知らない…三味線について先生に伺いました。

音も大きく迫力があるのは「太棹」

胴体(太鼓)が一番大きな三味線が「太棹」です。その名の通り棹が太くなっています。前述の吉田兄弟が弾くのが、この太棹の津軽三味線です。和楽器バンドが演奏するボーカロイドの『千本桜』でも使われていて、多くの人から人気があります。何と言っても低く唸るような音は魅力的。絃楽器と打楽器の要素を持っている楽器とも言えます。

津軽三味線を習いたいと思っても、その知名度に反して意外と教室は少ない印象です。これは津軽三味線がその昔大道芸の一つだったことにも起因するのでしょう。大道芸は「演奏して気にいって貰えたら、お金をいただける」というものですから、演奏者は他の人よりも少しでも目立つように技術を高め、大きな音を出せるよう、津軽三味線のような太棹を選んだようです。その結果が、今のような華やかなパフォーマンスにつながりますが、それは「お稽古ごと」で習う三味線とは異なるものとなっていきました。

「習いたいと思ったら、まずは楽器購入」とばかりに、教室へ通う前に三味線を買おうとする方もいるかもしれませんが、この太棹は注意が必要です。というのも、太棹は太鼓が大きいことなどから、他三味線に比べて高価になることと、お稽古事としての歴史も浅いために中古で楽器が出回ることも少ないからです。興味があるなら、まずは「習える所」を探して、そちらの先生に購入方法を教えて貰いましょう。

その他、「太棹」で使う三味線の代表的なものというと、人形浄瑠璃などで使われる義太夫三味線があります。人形劇に合わせて語り手(太夫)の伴奏や劇中の効果音を作り出す義太夫三味線は、人形浄瑠璃ではなくてはならないもの。江戸時代は庶民の娯楽として人気でしたが、現代では大阪を中心に「鑑賞する芸術」となってきているため、個人が習うのは難しいようです。

「中棹」は一番ポピュラーな三味線で応用も効く

「民謡」や浄瑠璃の流れをくむ語り物の「常磐津」、心中などを哀調のある題材を扱う「新内(しんない)」などは「中棹」の三味線を使います。また、日本各地の三味線を演奏するお祭りでは、中棹が用いられることが多いようです。箏曲・生田流で弾かれる地唄も、この中棹となります。

棹も太鼓も、太棹よりも小さく細くなるため、太棹よりも高音域となります。一般的に、「三味線」というと、この中棹を示すことも多く、幅広く使われている楽器です。

漠然と「三味線を弾いてみたい」と思ったら、まずは色々な演奏会・発表会を聞きに行ってみましょう。三味線を扱う音楽を知ると、自分が好きなジャンルを見つけることができるので、「自分がやってみたいのはコレ」とイメージしてから、教室を探すと、いざ習ったときに自分が思っていたものと違ったということを防げます。楽器は先生と相談して最初に購入するのも良いですが、中棹はポピュラーな楽器で、過去に習っていたという人は少なくありません。「今は使っていないけれど持っている」という方も多いので、親戚・知人・友人に相談してみるのも一つの方法です。

なお、譲り受ける際に「民謡の三味線だけど……」と言われても大丈夫です。撥(ばち)や駒(こま)などは交換しなければいけない場合もありますが、同じ中棹を使うジャンルであれば三味線はそのまま使えます。

「細棹」は繊細な音色が魅力

「細棹」を使うジャンルといったら「長唄」です。歌舞伎の伴奏として発達した長唄ですが、今では長唄だけで演奏することも増えてきました。甲高い音でカンカンと弾く細棹は、お座敷で聞けば艶っぽく、劇場や舞台なら迫力ある楽器となるので不思議です。街中で「杵屋」の看板があれば、それは「長唄の教室」であることがほとんど。

長唄でのお稽古は「唄」と「三味線」のふたつに分かれます。どちらか片方を習うというのが一般的なので、最初に習いに行く時に「三味線を弾きたい」旨を先生に伝えましょう。

箏曲・山田流で使う三味線も「細棹」だと言われていますが、「中棹」でも問題ありません。弾く曲によって撥や駒を替える必要がありますが、もし中棹がお手元にあるなら、先生と相談してみましょう。

 

まとめ

三味線には、打楽器の要素を含む激しいものから、艶っぽい繊細なものもあります。三味線を自分で弾きたいと思ったら、まずはご自分の習いたいジャンルを探してから、それが習えるお教室や先生を決めてみましょう。そこから楽器を選ぶのでも遅くはありません。

三味線は絃が3本しかないので、音を作り出すのは難しい楽器ですが、使いこなすために研究や試行錯誤を繰り返すため奥が深く面白いものです。自分の音色を見つけた時は、きっと感動しますよ! 是非チャレンジしてみて下さい。