「欠氷」は、酷暑の時期に人気の食べ物です。冷たくて、ふわっとして口の中に入れると、さらりと溶ける美味しいスイーツ!
そう!「かきごおり」ですね!
かき氷はここ数年ブームが続いていて、夏以外の季節にも、かき氷を出すカフェや喫茶店が増えてきました。今ではかき氷専門店もあり、人気店には遠方からわざわざ訪れる人がいるほどです。
氷は貴重な物だった
かき氷の歴史は古く、平安時代、清少納言の『枕草子』に出てくる削り氷(けずりひ)が最初と言われています。現在とは違い氷は貴重な物でした。その氷を刃物で削った削り氷は、貴族など高貴な人しか口にできなかったようです。奈良時代にはすでに氷室(ひむろ)※があり、天皇への献上品として氷を利用する制度があったことが、出土した木片の記録から知ることができます。
氷を祀る神社で、お下がりのかき氷が食べられる?
奈良県奈良市には、全国から氷業者やかき氷店の店主が参拝する、氷を祀る氷室神社があります。和銅3(710)年に、𠮷城川(よしきがわ)上流の春日奥山に造られた氷室に、氷の神を祀ったのがはじまりと伝えられています。
氷室神社では全国でも珍しい、かき氷を奉納する「献氷参拝(けんぴょうさんぱい)」があります。夏の期間(6月中頃から9月中頃)に社務所で申し込むと、お布施の代わりでもあるかき氷が出てきます。そのかき氷を神前にお供えをしてお賽銭を入れて拝礼をします。その後に、お下がりのかき氷を食べることができるのです!食べる時には、自分でシロップをかけて美味しく頂きます。
おみくじも、この神社ならではの「氷みくじ」。社務所でおみくじを買うと、紙には何も書かれていません。境内にあるブロック型の氷の上におみくじをのせると、あら、不思議!文字が浮かび上がってきます。何が書いてあるんだろうと待つ時間も、氷のそばで清涼感が味わえるのがいいですね。
斬新な漫画『さんすくみ』の舞台にも!
氷室神社は、宮司の息子、住職の息子、牧師の息子の3人が繰り広げるコメディタッチの漫画『さんすくみ』の舞台にもなっています。宗教法人の裏側を描いた異色作で、跡継ぎとして奮闘する若者たちの心情をリアルに描いています。主役の1人相澤恭太郎が、氷室神社の跡取り息子という設定。物語の中では鹿も重要な役割を果たしていて、奈良らしさが感じられます。氷室神社は奈良公園の中央部、奈良国立博物館周辺にあるため、付近に鹿がたくさん生息しています。漫画を読んでから、氷室神社を訪れても面白いかもしれません。
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