冷たい北風にさらされると、「ああ、飴色の大根が食べたい……」と思います。限界までお出汁を含み、かろうじて形を保ったおでんの大根の贅沢さ、想像するだけでたまりませんよね。
最近、気付いたのが冬と春の間のおでんが好きなこと。大根やコンニャクに、ふきのとうで作った甘くてほろ苦い蕗味噌を付けて食べると、旬の良いところを一度に味わって思わず笑みがこぼれてしまいます。
そう、おでんの季節はまだまだこれから!
おでんを更にご馳走にしたくて、夢中になっているのが巾着作りです。冷蔵庫の余り物を入れたり、特別な素材を使ったり、楽しさも無限なのです!
「白子と春菊の巾着」
(材料)
鱈の白子、春菊
ボウルに水を張り、白子を静かに洗います。血やぬめりを洗いましょう。濁ったら時々お水を変えると良いですよ。
フライパンにお水を入れ、沸騰させ火を止めて日本酒を大さじ2入れます。白子の匂いが抑えられます。白子を入れて、全体が白っぽくなるまで約30秒ほどお湯にさらしましょう。
ざるにあけ、ハサミで食べやすい大きさに切ります。
半分に切ったお揚げに、生の春菊と詰めて、爪楊枝で止めます。
おでん鍋でお出汁が含むように煮たら出来上がり。食べるときに少しポン酢をかけても。
白子がお出汁を含んで、プツンと噛んだ後にトロトロととけちゃう!優しい春菊のほろ苦さが後味を爽やかにします。これはたまりません……! 最高!
白子を見つけるとおでんを作りたくなるという逆転現象も起こってしまいます。しかし、巾着の底力はまだまだ! 簡単に出来る巾着をご紹介します。
「お餅と桜海老」
(材料)
切り餅、桜海老、万能ねぎみじん切り
薄切りしたお餅、桜海老、万能ねぎのみじん切りをお揚げに詰めます。お出汁を含んだ桜海老がまるで釜揚げのように瑞々しく。クリーミーなお餅に絡んで美味しい!
「アボガド」
(材料)
アボガド
皮と種を取ったアボガドを半分に切り、更に1/3ほどの大きさをお揚げに入れます。
なんで、もっと早くしなかったのだろうという相性の良さ! アボガドは溶けず、ほっくりしてお出汁がしみます。切って詰めるだけなのにこの美味しさったら!
「ロールキャベツ風」
(材料)
鶏胸ひき肉、ちぎったキャベツ
おでんのロールキャベツも巾着に一緒に詰めれば大丈夫。簡単にできちゃいます。
お肉を練ったり、味付けもいりません。お揚げを広げ挽肉をスプーンで入れて、ちぎったキャベツで表面を覆うようにし、楊枝で止めます。
胸肉の挽肉であればギュっとしたお肉感、モモ肉の挽肉ですとジューシー。マスタードや辛子をつけて。
例えば、きのこだったり、青菜だったり、そういう半端に余っているものを入れても良いんです。新玉ねぎもいいかもしれません。トマトやモッツァレラチーズも美味しそう。
色々と考えて想像すると楽しいですよね。
創作お料理やさんのようにいろんな素材で、自由におおらかになると、おでんはもっと美味しくなります。これからの季節も、まだまだ楽しんであなたのオリジナルの巾着を見つけてくださいね。
(写真 今井裕治)