Gourmet
2019.11.30

都道府県でおせちも違う?全国各地のおせちを比べて解説!意外な料理も?

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日本各地には古くからつくられ、受け継がれてきた伝承のおせち料理が数限りなくあります。地域の歴史や風土と結びついて生まれたこれらの郷土の味は、素朴ながら驚くほど豊か。今回は、そんな感動のおせち料理の数々をご紹介します。

1 おひら

大分県

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九州と四国に挟まれた豊後水道に面した大分県津久見市。なかでも古くから漁業でにぎわった日代、長目、保戸島、四浦などの地域で、大晦日にいただくご馳走が「おひら」です。大根、人参、里芋、こんにゃく、生揚、昆布などの材料に、塩をして保存していた塩鯖を加えて煮たもの。お正月のためにもたくさんつくるので、大晦日の台所は塩鯖のにおいであふれるといいます。おひらをつくり始めるとお正月はすぐそこ。

2 べっこう

富山県

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溶かした寒天に、卵を細く流し込んで冷やし固めた「べっこう」。昔からお正月をはじめ、祭りやお盆など、人がたくさん集まる場で親しまれてきた富山県の郷土の味です。「ゆべす」や「えびす」とも呼ばれますが、べっこうという名は、琥珀色や模様が鼈甲のかんざしに似ていることに由来します。寒天の食感がよく、ほんのり甘い醬油味。白い皿に盛り付けると琥珀色が映え、お正月の清々しい気分を伝えてくれます。

3 ぼうり

和歌山県

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紀伊半島の奥深い山中にある旧大塔村(現和歌山県田辺市)に伝わる正月料理「ぼうり」。里芋の親芋を皮つきのまま、濃いめの鰹だしで数日間煮たもので、その由来は南北朝時代にまで遡ります。後醍醐天皇の皇子、大塔宮護良親王が鎌倉幕府の追及から村に逃れてきて、村人にお餅を所望したとき、村人は親王と知らずそれを断りました。後にその人が親王だったとわかった村人は自分たちの行いを恥じ、以来600年間、お正月にお餅を食べず、ぼうりを食べ続けたといいます。親王を偲ぶ思いとともに受け継がれてきた伝承の味です。

4 耳うどん

栃木県

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栃木県佐野市の、仙波地区(旧葛生町)で、昔から暮れになるとどの家でもつくったのが「耳うどん」。耳のような面白い形は、こしのある地粉を水でこねて薄くのばし、マッチ箱の大きさに切って折りたたんでつくります。1年間悪いことを聞かずいい年になるという言い伝えから、年の初めに「耳」を食べる。具は本来、野菜のみで、鰹だしで煮た中に、ゆでて水にさらした耳うどんを入れ、味をしみこませます。昔はお雑煮の代わりで、米があまりとれなかったため、小麦で工夫したお正月料理でした。

5 芋串

茨城県

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茨城県北部の山間部、旧常北町(現城里町)や大子町、常陸大宮市などで正月三が日に食べたという芋串。やわらかく煮た里芋を竹串に刺し、味噌だれをつけて囲炉裏で香ばしく焼きます。里芋は親芋に寄り添うように子芋、孫芋ができることから、子孫繁栄の縁起物として喜ばれました。柚の皮を細かく刻んで入れた味噌だれは風味がよく、素朴なおいしさ。味噌だれの味つけは異なりますが、大子町の「袋田の滝」近くの売店で芋串が売られており、昔を懐かしんで買う人が多くみられます。

6 いかにんじん

福島県

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福島県北部に伝わるお正月に欠かせない料理「いかにんじん」。細切りにして酒に漬けておいたするめと、同じく細切りにした人参を、醬油仕立ての漬けだれに漬けたもの。今は年間通して食べられますが、昔はこれをつくるころになると、お正月が近いと感じたといいます。初冬に出回る長人参を使うと、よりおいしくできるそう。北海道の松前漬のルーツとも言われています。

7 のっぺ

新潟県

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里芋、人参、しいたけ、こんにゃくなど、たっぷりの野菜をことこと煮込むのっぺ。地域により具や味が異なるものの、里芋で自然なとろみをつけるのが特徴です。盆や祭りにもつくりますが、特に家族が大勢集まるお正月には、たくさんつくり置きして楽しみます。

8 赤貝の煮物

鳥根県

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島根県と鳥取県にまたがる中海の特産品だった赤貝。これを酒と醬油とみりんで煮た赤貝の煮物は、これがないと年を越せないと言われたほどお正月になくてはならない味でした。今は赤貝より小ぶりのサルボウガイを使うなどして伝えられています。

9 氷頭なます

北海道

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鮭の頭部の軟骨部分を薄切りにし、大根や人参と一緒に甘酢で和えたもの。軟骨のこりこりした食感が魅力で、北海道ではお正月の酢の物としてお雑煮に添えたり、また酒の肴としても喜ばれます。イクラをのせると彩りよく豪華に。

10 田芋田楽

沖縄県

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里芋同様、小芋を次々に増やすことから子孫繁栄につながるとして、沖縄のお正月料理に欠かせない田芋。砂糖やみりんなどで味をつけ、きんとん状になるように煮た田芋田楽は、とろりとした粘り気が持ち味。栗きんとんの代わりに食べられているといいます。