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大人だけが知っている!「静寂の京都」

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Gourmet
2018.11.22

茶の湯はもっと自由で楽しい! アバンギャルド茶会主宰 近藤俊太郎さんの抹茶人生

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茶の湯は、ちょっと難しい感じがして、身構えてしまうけど、「お気に入りの茶碗でお茶を飲むだけ」と考えたら、やってみたい! という気持ちになれるはず。ここでご紹介するのは、茶の湯という知的な遊びに魅入られた人たち。行き詰まってしまったときは別の世界に触れるのもいいんです。和樂webでは漆芸家、アバンギャルド茶人、サラリーマン陶芸家…それぞれのお茶との向き合い方に迫り、全3回「日常のお茶こそROCK!」を毎週木曜日に更新します。「なんだ、お茶ってこんなに自由なんだ!」と新しい発見が見つかるかもしれません。

「茶の湯は全然怖くない。はじめの一歩を踏み出す勇気」
第2回 アバンギャルド茶会主宰 近藤俊太郎さん

茶の湯密かなエネルギーを秘めた近藤さん。お茶に対する情熱は、人一倍熱い。

足がしびれて動けない。静かでオカタイと思われてきた茶の湯を前に、ロック魂全開で型破りなお茶をはじめたのが近藤俊太郎さんです。ハチャメチャぶりを発揮しながら、周囲を巻き込んで「アバンギャルド茶会」と名づけたコミュニケーション活動に邁進してきました。近藤さんに協力企業や支援者たちが次々と現れるのは、彼が大きな目標を掲げているからでした。

近藤さんの茶の湯ROCKその1
正座不要。いろんなアプローチの茶の湯があっていい!

茶の湯都内の近藤俊太郎さんのアトリエ兼事務所にお茶の生徒さんがやってきた。近藤さんが一服差し上げるために、サッと組み立てたのは、いつでもどこでもお茶の空間にしてしまう「ダンボール立礼卓」だ。

「近藤俊太郎さんを知ったきっかけは?」と撮影をのぞきに来た生徒さんたちに尋ねたら、「ネットです。検索サイトで、『茶道』『はじめたい』『怖くない』というワードを入れると、ヒットしたのが近藤さんのホームページ。実際お会いしてみたら、近藤さんが実践されるお茶にすごく共感できたんです! 教え方も理論的で、自然に納得できた。こんな雰囲気なら私もお茶ができるかも…と思ったんですね」近藤さんは“なんとなくハードルが高そう”という茶の湯のイメージを払拭するために、意欲的にカジュアルな茶会イベントやプロデュースを手がけている若手茶人のひとりです。自身のSNSでは、毎朝お気に入りの茶碗でお抹茶をいただく「朝の一服」写真を投稿。365日、違った茶碗を使ったお茶の記録は、国内外の人から100以上の「いいね!」を集めています。

茶の湯これはお茶のぐい呑みスタイル。片口の酒器に抹茶を点て、エスプレッソのように味わう。これも近藤さんの提案。

近藤さんの茶の湯ROCKその2
ひとつ、茶碗を持つと世界が広がる! だからプロデュース

茶の湯自作茶杓の筒は試験管! こんな発想にもビックリ。

近藤さんは、平成21(2009)年に「日中友好使節団(外務省主催)」の一員として、中国各地での文化交流プログラムへ参加。この体験を経て、お茶を楽しめる場をつくろうと、「茶団法人アバンギャルド茶会(通称アバ茶)」を立ち上げます。これだけたくさんの人がお茶に興味があるのに、みんなお茶に対する先入観がすごい。特別な人だけがするお茶じゃなくて、“こんなお茶もOKなの?”というかたちを提案してみたかった」と近藤さん。確かにお茶は「お金がかかりそう」「エライ人に叱られるんじゃないだろうか?」と、未体験の人ほど思い込みがちです。だからそんな妄想を取っ払うために、若手陶芸家に「茶碗をつくってもらえます?」と頼み、「自分も陶芸家のところで茶碗を焼いてみました。茶道具は自作アリの世界」と、ホームページにレポートを掲載。また、初心者のための茶道教室も開講し、はじめての方の緊張感を解きほぐすような楽しいお稽古を続けてきました。

茶の湯潮桂子さんに特注した素敵な茶筅立て。「ちょっとした小物がかわいいと、気持ちがあがりますよね」と語る近藤さん。ディレクションした茶道具が購入できる展覧会や茶会などの情報は、アバ茶のホームページで告知。茶碗も茶の湯まわりの小物も、実際に使って楽しめるものを提案する。

近藤さんの茶の湯ROCKその3
茶道具はコレクションではなく、使って楽しむ!

茶の湯見立ての茶碗3種。手前の備前は食器の向付。左の紅志野も湯呑みからの見立てで山田和さん作。奥の茶碗は、鈴木稔さん作。

茶の湯日常使いのお盆で、点前を披露してもらった。紫志野の薄茶器は鈴木伸治さんの作。

茶の湯写真左の茶入は、伝統的な釉裏紅という技法でつくられた潮桂子さんの作品。隣にあるのはビーカーを茶器に見立てたもの。木製の蓋をつけて薄茶器に。写真右の茶碗も釉裏紅でつくられた潮桂子さんの作品。

茶の湯茶道具をコンパクトに収めた「色紙箱」は、どこにでも持ち運べる。茶碗は名碗「馬蝗絆」のような傷跡をもつ大江憲一さんの作品で、銘は「フランケンシュタイン」。

インターネットの世界には、お茶に興味のある人がたくさんいました

インターネットの世界には、お茶に興味がある潜在人口が予想以上に多く、口コミは次第に輪を広げていきました。2011年より西武渋谷店で「現代茶ノ湯スタイル展 縁 enishi」という茶道具展を企画監修。2017年は世田谷区の「二子玉川水辺茶会」の茶会イベントも手がけるなど、今や近藤さんの活動は、とどまるところを知りません。「昔ながらの茶道も大切。でも、一方で“共感できるお茶”も必要なんです」同世代の人たちと何かを一緒に仕掛けていくワクワク感。それもお茶の本質です。

茶の湯近藤俊太郎さん。若い世代が茶道に親しむための「茶団法人アバンギャルド茶会」主宰。百貨店やギャラリーでの企画展プロデュースでも、熱い注目を集めている。

「日常のお茶こそROCK!」全3回

第1回 漆芸家・「彦十蒔絵」代表 若宮隆志さん
第2回 アバンギャルド茶会主宰 近藤俊太郎さん
第3回 メーカー勤務 平金昌人さん