わたしは食文化ジャーナリストとして日本各地の食の取材を行っている。沖縄の食のシーンが、極めて注目すべき進化を遂げているという噂を聞いて、現地を訪ねてみた。
ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄
2018年夏、沖縄県恩納村にオープンした「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」。ハイアットの国内初となるビーチリゾートは、沖縄本島から橋でつながった小さな島・瀬良垣島に位置し、360度を海に囲まれた最高のロケーション。
全客室に設けられたオープンエアのバルコニーから、「瀬良垣ブルー」ともいわれる、澄み切った青い海を満喫する極上のひとときが過ごせる。
ミシュラン三つ星「かんだ」神田裕行氏が手掛ける「沖縄料理」
ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄の魅力は、ロケーションのみなららず「食の愉しみ」がとことん謳歌できることだ。オールダイニング、イタリアンに加えて炉端、寿司、鉄板焼、日本料理の4ジャンルで構成されたスペシャリティレストラン「シラカチ」を備えている。
なかでも注目は「シラカチ・炉端」。12年連続でミシュラン3つ星を獲得する、和食の名店である東京・西麻布「かんだ」のオーナーシェフ・神田裕行氏が顧問・プロデューサーを務める。
「琉球炉端 by Kanda」と銘打ち、店内の炉端カウンターでは。神田氏が厳選したイセエビ、アワビ、山原地鶏など沖縄産を中心とした食材の炭火焼が堪能できる。
しかしそれだけではない。神田氏による「唯一無二の沖縄料理」を味わうことができるのだ。
「琉球スペシャリティ」として提供されるのは、ゴーヤーチャンプルー、ラフテー、沖縄そば……。メニューリストには沖縄ではおなじみの料理が並んでいる。沖縄フリークのなかには、「若干食べ飽きた」という人もいるかもしれない。しかし、そんなあなたにこそ、食べていただきたい。「驚きの連続」が待ち受けているからだ。
三つ星シェフがゴーヤーチャンプルーを作ったら?
「沖縄には、島野菜をはじめ、個性あふれる多くの素晴らしい食材があります」と語るのは総支配人の野口弘子さん。「パークハイアット」「東京ハイアット リージェンシー 箱根 リゾート&スパ」などの立ち上げに関わってきた野口さんは「景観だけに依存しない、その土地に根差した『唯一無二の魅力』があるホテル」を作り上げたい、と模索していた。
そのために、重要視したのが「沖縄の食」だ。
「この料理を食べるために『ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄』へ泊まりに行きたい、そんな『食のコンテンツ』を実現したいと思ったんです」。それも「どこにでもあるもの」ではない料理。野口さんは沖縄に住民票を移し、地元の食材に触れ、郷土料理を食べ歩いて研究を重ねるうちにふと思い立った。
「あの神田さんがゴーヤーチャンプルーを作ったら、どんな味わいになるんだろう?」って(笑)
もともと地元で親しまれている料理が、三ツ星シェフの手にかかったら、新たな魅力が浮かび上がるかもしれない。野口さんの想いを受け、メニュー作りに挑んだ神田氏。何度も沖縄に足を運び、食材を確かめ試作を繰り返したという。器、盛り付けまで吟味し、野口さんや現地スタッフとそれはそれは細かなやりとりが重ねられた。
そして誕生したのは、これまで誰も食べたことのない「沖縄料理」。