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大人だけが知っている!「静寂の京都」

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Gourmet
2019.12.02

牛乳の味やコクは季節で変わる?酪農の現場からかわいいパッケージまで牛乳の世界をガイド!

この記事を書いた人

しゃきしゃきの食感が楽しいレタス。
そんなレタスの語源が「牛乳」に関係してるって知っていましたか?なんでも、切ったときに出るのが乳状の液だったことから、ラテン語の牛乳という言葉「ラク」が語源となっているそうです。

わたしたちの暮らしに密接な関わりを持つ牛乳。
食文化の移り変わりやヘルシー志向などで消費が減り、アメリカでは大手の牛乳メーカーが会社更生手続きを申請するなど、危機感のある牛乳界隈。個人的に、牛乳もバターもチーズも大好きなので、ちょっと不穏なニュースです。日本の牛乳は大丈夫なんだろうか…?

そんな中、20年近くにわたって日本の牛乳を愛する“ミルクマイスター®️”から、牛乳の知られざる魅力から現在の日本の酪農家の状況に至るまで、たっぷりと教えていただきました。さぁ、牛乳を片手にどうぞ!

こんなにカワイイの?思わず集めたくなる日本の牛乳パッケージ5選

“ミルクマイスター®️”として活躍する高砂さんは、企業のポスターなどを製作するグラフィックデザイナー。そんな彼が今まで飲んだ日本の牛乳は315種類以上。公式Instagramでは、そのコレクションの一部を閲覧できます。

取材で事務所へお邪魔したところ、ずらりと並ぶ牛乳パッケージコレクションが!

デザインを専門とする“ミルクマイスター®️”に、特にイチオシのパッケージデザインを5つ紹介していただきました。

北海道くんねっぷ牛乳

まず1つめは、北海道訓子府(くんねっぷ)産の牛乳で作られた〈北海道くんねっぷ牛乳〉。

ミルクマイスター®️高砂さん:「これは僕が思うパッケージの理想形です。牛乳に関連するものでイラストがつながっているんですよ。温かみのあるイラストとシンプルなロゴで洗練されつつ、優しい印象がいいですよね」

田村牛乳


レトロ好きな女子のハートを鷲掴みにするパッケージがやってきました…!〈田村牛乳〉は、山形県酒田市で作られている牛乳です。

ミルクマイスター®️高砂さん:「レトロなイラストと赤いドットが特徴で一目見ただけで印象に残りますよね」

塚田牛乳


新潟の塚田牛乳は、レトロなイラストとフォントが気になるパッケージ。

ミルクマイスター®️高砂さん:「ロゴの雰囲気も、牛のイラストも懐かしい雰囲気で配色も良いです」

佐渡牛乳


新潟は佐渡島で作られる〈佐渡牛乳〉。大きな目がキュートです。

ミルクマイスター®️高砂さん:「佐渡島のトキをモチーフにしたパッケージ。トキ自体をパッケージ化するのは新鮮なアイデアですね。側面の羽のイラスト部分を切り取ると、飛んでるように見えて、工作も楽しめますよ」

那須牛乳


栃木県の〈那須牛乳〉が京急電車とコラボレーションした、スペシャルパッケージ!京急創立120周年と、京急ストア85周年を記念して発売された、特別パッケージ。

パッケージのてっぺんもカワイイ

ミルクマイスター®️高砂さん:「このコラボレーションは、電車好きに大人気。今は黄色バージョンが売ってますよ」

全国のパッケージを集めるコツは、旅行や出張先で牧場の直売所や地元のスーパーに立ち寄ること。スーパーは地域の特色が現れるので、見ていて飽きないのだとか。

そもそも、“ミルクマイスター®️”って何者?

「牛乳ってオシャレだなって思いません?」

牛乳を我が子のように見つめる高砂さん

そんな衝撃の問いかけに固まる筆者。どう回答すればいいのか、ちょっと戸惑ってしまいました。「なめらかな乳白色が美しくて、こんな飲み物ほかにないなって」と興奮気味に話すのは、牛乳の魅力を届ける伝道師“ミルクマイスター®️”高砂航さん。

「自分の好きな牛乳をリブランディングしよう」という活動の始まりは、大学生の頃の課題がきっかけだったと話します。

大学を卒業し、3年でデザイン会社を辞め、世界各国の牛乳雑貨を集めた店を2年運営。現在はグラフィックデザイナーの仕事と並行し、牛乳をテーマにしたイベントやSNSでの発信に力を注いでいます。

牛乳はこんなに楽しめるコンテンツ!ミルクマイスター®️が届ける牛乳の楽しみ方


ミルクマイスター®️高砂さんが主催する、牛乳をアートとして楽しむイベント〈ミルクサーカス〉では、まるで海外のスーパーのようなオリジナルデザインの牛乳パッケージや全国の牛乳パッケージの展示を始め、東京産の牛乳を使ったバナナミルクの提供や、オリジナルのミルクグッズの販売まで、ご自身で手がけました。

(イベントの様子:300種類以上もの牛乳を飲み比べたデザイナーによる、ミルク愛ほとばしるイベントレポート! [PR]/かもめと街


また先日開催されたイベント〈ミ道〉では、佐賀県のミルン牧場とテレビ電話をつないで、東京にいながら牧場の空気を感じつつ、現地で販売されているご当地牛乳を味わうイベントを開催し、生産者と消費者を直接つなげる架け橋となる活動にも精力的です。

牛乳の魅力を多角的に表現し、飲むだけでない楽しみを届ける、まさに「牛乳界の伝道師」とも言える活動を続けています。

身近なスーパーの牛乳でも、季節は感じられる?


かわいいパッケージや全国にあるおいしい牛乳を飲みたくなった皆さん。しょっちゅう旅に出る人以外で、実際に様々な種類の牛乳を楽しむのは、なかなか難しいですよね。

ミルクマイスター®️高砂さん:「実は、スーパーで販売されている身近な牛乳でも、季節によってコクや味わいが変わります。パッケージに書いてあるグラフ、見たことありませんか?」

「そういえば、グラフ書いてあったな」くらいの認識しかありませんでしたが、実はこのグラフこそ、季節によって変わる乳脂肪分の推移を示しています。

一般的に、夏の牛乳はあっさりした味わいだと言われています。牛は暑いのが苦手なため、夏は食欲が落ちて乳脂肪分が下がるそう。反対に冬の牛乳は、乳脂肪分が高く、コクのある味わいに変化します。その理由は、冬の方が牛が食欲旺盛になることや、牧草と穀物を食べるバランスが変わるからとのこと。

乳脂肪分が約3.8%を超えるとコクがあると言われているので、パッケージに書かれたグラフを見て、自分の好きな味わいの数値を覚えておくと、好みの味の基準が見えるかもしれません。牧場によっては夏と冬でパッケージを変えるところもあるそうなので、季節で変わる牛乳の味わいを楽しむのもいいですね。

1年を通して同じパッケージで並ぶ、いつもの牛乳にも新たな発見ができそうで、真冬の牛乳を飲むのが楽しみになりました!

日本の牛乳の今後について


シンプルなのに目を惹くデザインで、日本の牛乳界に衝撃を与えた、佐藤卓さんデザインの〈おいしい牛乳〉。この商品の誕生以後、日本の牛乳も名前にこだわる商品が増えてきたそうですが、牛乳はもっと自由であってほしいと語ります。

ミルクマイスター®️高砂さん:「おつかいを頼むときに『牛乳買ってきて!』って言いますよね。『牛乳』と一括りにするのではなく、将来的に『ここの牛乳が飲みたい!』と商品名で名指しする人が増えたらいいなと思っています」

例えば、米なら「コシヒカリ」「ひとめぼれ」「ななつぼし」など、あえて米だと主張せずとも商品名で呼ばれ、固定ファンがいます。そんな風に、牛乳にも個性ができていくと面白いのでは、と語る高砂さん。

現在、日本の酪農家が急激に減っています。2000年には約34000戸だったのが、2019年で約15000戸以下まで減少しているとのこと。たった19年で半数以下になっている現状は、少なからずも危機感を覚える人も多いのではないでしょうか。

ミルクマイスター®️高砂さん:「そんな厳しい状況の中でも、頑張っている酪農家さんがいて。そういう生産者さんと消費者さんの架け橋になれたらいいなと思って活動しています。グラフィックデザイナーでもある僕ができるところは、牛乳のイメージ作りだと思っていて。『酪農や牛乳っていいよね』っていう雰囲気を作れたらいいなと。」

牛乳を味覚だけではなく、視覚的なデザインやコンテンツとして多角的に楽しむ方法を教えてくれる、ミルクマイスター®️高砂さん。

小さな頃から当たり前の存在になっていた牛乳、ちょっと新しい目線で楽しんでみませんか?

ミルクマイスター®️高砂
公式サイト
https://milkmeister.jp/
公式Instagram
https://www.instagram.com/milkmeister/
公式Twitter
https://twitter.com/kevin0601

書いた人

浅草育ちの街歩きエッセイスト。『いつかなくなる まちの風景を記す』をコンセプトに、年間500軒の店巡りで好きな店を語るWebマガジン〈かもめと街〉の執筆を中心に活動。喫茶店などレトロなものに惹かれる。消えゆくタイルを集めた写真集『まちのタイル』を自主製作で販売。散歩好きなのに地図が読めない方向オンチ。 ■Webマガジン〈かもめと街〉https://www.kamometomachi.com ■写真集『まちのタイル』https://kamometomachi.booth.pm/items/3904655