Gourmet
2020.05.28

旬の和ハーブで気分爽快!江戸時代に人気を集めた「シソ飯」と簡単レシピ

この記事を書いた人

ピリリとした爽やかな香りを持つ、シソ。和のハーブの代表であり、身近な香味野菜としても親しまれていますが、実は、古くから薬草として用いられるほどにパワーを秘めた食材であることをご存知でしょうか。

例えば、食中毒にかかった人を蘇らせたという昔話や、江戸時代に人気を集めた「シソ飯」など。最近はアンチエイジングにも役立つとも言われ、時を越えて注目を集めています。また、独特の香りはお酒との相性も抜群! 家呑みにもぴったりの食材なんです。

そこで今回は、シソの歴史や効能とともに、香りを存分に楽しめる簡単レシピなどを紹介したいと思います。ではさっそく進めていきますね。

食中毒にかかった若者がよみがえった!

シソの原産地は、中国からヒマラヤにかけての地域と言われ、中国では古くから薬草として使われてきました。その後中国から日本に伝わり、全国の縄文遺跡からもシソの種が発見されています。

シソの栽培が始まった時期ははっきりと分かっていませんが、平安時代の書物などにすでにシソについての記述があることから、この頃には栽培が始まっていたのではと言われています。

6〜7月頃になると赤ジソが出回るようになる。

さて。シソは漢字では「紫蘇」と書きますが、これは中国の昔話と深い関係があります。

食中毒にかかり生死の間をさまよっていた若者に、シソの葉を煎じた紫色の液体を飲ませたところ、一名をとりとめました。このことから「紫」と「蘇(よみがえ)る」を組み合わせて、「紫蘇」と呼ばれるようになったのだとか。

シソの効能は?


食中毒にかかった人を復活させるほどのパワーを持つ、シソ。一体どんな栄養があるのか、気になるところですね。

・βカロテン…体内でビタミンAに変化し、免疫力アップや健康維持、皮膚や粘膜を正常に保つ働きなどが期待されている。シソに含まれるβカロテンの量は、野菜のなかでもトップクラス。
・ビタミンE…細胞の酸化防止に役立つビタミンで、別名「抗酸化ビタミン」とも呼ばれる。エイジングケアに欠かせないビタミンで、シソに豊富に含まれている。

シソ独特の香りは「ペリアルデヒド」と呼ばれる芳香成分によるもの。強力な殺菌作用があると言われています。刺身のツマなどにシソを添えられることも多いですが、その理由もよく分かりますね。

この芳香成分には、胃液の分泌を促す作用も期待されています。食欲増進や消化力アップにも役立つので、食欲が落ちたり胃腸の不調を感じたりしやすい梅雨~夏の食事にも、ぜひ取り入れたい食材なんです。

また薬膳では、シソは身体の冷えを取り、胃腸の働きや身体の巡りを良くする食材とされています。花粉症やアレルギー対策などにもよく用いられています。

江戸時代に人気を集めた「シソ飯」

青ジソは一年中出回っていますが、旬は6~9月。この時期のものは、香りも味も抜群なので、シンプルな食べ方でたっぷりと味わいたいですね。

江戸時代の料理本『料理伊呂波庖丁(りょうりいろはぼうちょう)』には、夏の人気メニューとして「シソ飯」が紹介されています。

試しに作ってみましたが、シソの香りが美味~! ごはんはちょっと重たいなという時でも、さっぱりといただけます。お酒を呑んだ後に「一口ごはんが食べたい」という気分の時にもおすすめです。

作り方は、とっても簡単。刻んだ青ジソを塩もみして、炊きあがったごはんに混ぜるだけ。私は、温かいごはん一杯に対して、シソの葉は2~3枚を目安に使ってみましたが、量はお好みで。

味噌を包んで焼いた保存食「シソ巻き」

私はシソの生産量全国一の愛知県に住んでいますが、スーパーなどへ行くと「シソ巻き」という保存食をよく見かけます。これは、甘辛い味噌をシソで巻いて香ばしく焼いたもので、ごはんやお酒、お弁当との相性もばっちり。シソがたくさん手に入ったら、ぜひとも作ってみたい一品です。

〈材料〉作りやすい分量
青ジソ 10枚
味噌 50~60g
はちみつ 小さじ1
黒すりごま 小さじ1
ごま油 小さじ1~2

*砂糖の代わりにはちみつを使った、市販品に比べて甘さ控えめのレシピです。甘さの加減は、お好みで調整してくださいね。

〈作り方〉
1. ボウルに味噌・はちみつ・黒すりごまを入れて、よく混ぜ合わせる。

2. シソの上に、1の味噌を乗せてくるくると巻いていく。


3. フライパンにごま油をひいて熱し、2を香ばしく焼けば出来上がり。すぐに食べない場合は、保存容器などに入れて冷蔵庫で保管してくださいね。

シソ茶やデトックスウォーターにも

シソと聞くと刺身や冷奴などに添える料理をイメージする方も多いかもしれませんが、実はお茶にするのもおすすめ。「レモングラスティー」や「ミントティー」などのハーブティーのような感覚で楽しむことができます。

作り方は、青ジソの葉をちぎってカップに入れ、熱湯を注ぎ、数分間待てば出来上がり。青ジソの葉は濾していただきます。1人分につき、青ジソ1~2枚が目安です。

私はシソ茶が大好きでよく飲みますが、気分転換をしたい時や胃腸が疲れている時にもぴったり。手軽に作れるのも魅力!

これからの暑い時期には「デトックスウォーター」にシソを使うのもいいですね。デトックスウォーターとは、ミネラルウォーターに果物や野菜、ハーブなどを入れて数時間~半日程度置いたもののこと。素材の香りや甘味が水に移るので、ヘルシーながら風味豊かなドリンクになります。

青ジソを一袋購入すると、最後の数枚が余ってしまいがち。時間が経つと、香りがどんどん落ちてしまいます。そんな時には、ぜひシソ茶やデトックスウォーターを作ってみてはいかがでしょうか。

今が旬の和ハーブ「シソ」。素材の持つパワーを美味しくいただいて、身体の内側から健やかに過ごせますように。

書いた人

バックパッカー時代に世界35カ国を旅したことがきっかけで、日本文化に関心を持つ。大学卒業後、まちづくりの仕事に10年以上関わるなかで食の大切さを再確認し、「養生ふうど」を立ち上げる。現在は、郷土料理をのこす・つくる・伝える活動をしている。好奇心が旺盛だが、おっちょこちょい。主な資格は、国際薬膳師と登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。https://yojofudo.com/