あゝすばらしき、意味不明な縄文土器の世界!
縄文人が何を思い、どういう考えでこの地に大集落を築き、1,000年もの間暮らしたのか? それを知りたかったら、まずは縄文土器をゆっくりじっくり見ることです。縄文土器には、縄文人の「世界観が表現されている」とも「神話が描かれている」とも言われるからです。ではまいります。
わ、わからない・・・! しかしこの躍動感、「これでもか」と執拗に施された文様、鍋として使うには邪魔すぎる、上方に向かって延びる縁部分!!「作ってたら楽しくなってきちゃって、無駄に派手になっちゃった」という可能性が全くないわけではありませんが、見る側に訳のわからない興奮を強いるこんな形の土器が、この辺りの遺跡からはわんさか出土するのです。確かに神話を読み解くのは難しいですが、あふれる生命力と彼らの創造性の高さは確かに伝わってきます。
大型の中空突起がつけられた土器(左)と、「使えない」取手付土器(右)。(いずれも尖石縄文考古館蔵)
左の土器は、重心が上になってしまって使いづらい上に、巨大な中空の突起が明らかに無駄だし、右の土器についている「取手」は、確かに掴みやすそうではありますが、実際に取手として使ったらすぐに壊れてしまうでしょう。しかしどちらも文様は丁寧に施され、とても「失敗作」だとは思えません。きっと、「こうでなければならなかった」彼らなりの物語性が秘められているのです。