有斐斎弘道館
-文/和樂スタッフ石塚晶子
(食の世界に精通。日本文化全般も担当)-
江戸時代の文人・皆川淇園(みながわきえん)の学問所だった「有斐斎弘道館」は、御所近くにある屋敷。ここは取り壊される寸前に助けられた建物だ。マンションになる計画を知った有志が公益財団法人をつくり、茶会やセミナーなどを行う場所として再生したことで、生き延びることになった。江戸時代後期から大正時代にかけて建築された茶室がふたつと30畳ほどの広間があり、茶会、煎茶会、各種の講座が可能なつくりになっている。
淇園は江戸時代中期の開物学(かいぶつがく)を修める学者で、詩文や書画にも優れていた。絵は円山応挙にも劣らないという評価もあり、門弟が3000人いたといわれている。有斐斎は、淇園の号のひとつだ。
弘道館では、「京文化教養講座」をはじめ、「京菓子講座」「英語で茶道」「能のワークショップ」などのイベントが開かれている。日本の文化を知る講座を行うことでこの屋敷に人が集まり、淇園時代のようなサロン的存在になることを目ざしている。
たとえば、「能のワークショップ」では、現役能楽師の講師と一緒に謡の一節をうたったり、扇を使った基本的な所作を習う。謡を習っていなくても、多少の知識があれば、舞台の見え方が変わってくるのが実感できる。
御所の西側、テレビ局KBS京都の近くにあり、あたりにはこんな京屋敷が多かったのかと思うと、昔の京都を少し想像できる気分になる。
有斐斎弘道館(ゆうひさいこうどうかん)
住所/京都市上京区上長者町通新町東入ル元土御門町524-1 地図
ホームページ/http://kodo-kan.com/
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