手仕事を買う旅1日目は、京都駅から歩いて、食卓の宝物探しをしました。2日目は京都一の手仕事天国、三条から四条界隈を歩きます。
このあたりは、創業100年超えの老舗がずらり。気になる店を行きつ戻りつ、迷いながらの買い物もいいものです。
2日目は、老舗がひしめく三条から四条へ
朝いちばんは三条大橋そばの「内藤商店」へ。入荷してもすぐ売れてしまう棕櫚の箒は、なるほど工芸品のような美しさ。「掃きやすく埃が立たず音も静かです」という女将さんの言葉に、京都人が守ってきた暮らしの美意識を感じます。骨董店が並ぶ縄手通の「たる源」では、半年待ちはあたりまえという、さわらのおひつが目当て。錦市場にある庖丁の名店「有次」でも、庖丁を買った若い夫婦や外国人客にスタッフが研ぎ方を説明する姿が。ものを大事にする心を知る、それも手仕事旅の喜びです。
内藤商店
左/内藤商店の女将さん 右/棕櫚の箒
たる源
たる源の一合おひつ
有次
左/有次の職人さん 右/柳刃包丁
苺専門店のショートケーキでエネルギー補給!
錦界隈でランチを済ませたら、四条の路地裏にある「竹笹堂」へ。手摺り木版和紙の一筆箋やブックカバーなど、胸がキュンとなる逸品が並びます。柳馬場通の「京うちわ阿以波」は、宮廷で使われた御所うちわの伝統を唯一受け継ぐ老舗。見目麗しい琳派柄の透かしうちわにうっとりした後は、苺の専門店「メゾン・ド・フルージュ」で休憩です。真っ赤な完熟苺のショートケーキは、たまらないおいしさ。ひと口ごとに、懐かしくも濃厚な甘酸っぱさが広がります。
竹笹堂
左/竹笹堂の外観 右/木版和紙ブックカバー
京うちわ阿以波
京うちわ阿以波の飾りうちわ
メゾン・ド・フルージュ
全国を巡って選んだ、完熟苺を使用したショートケーキ
かわいくて使える日用品を求めて
裁縫道具の「三條本家 みすや針」をのぞき、竹製品の「公長齋小菅」で軽くて美しく通気性のいい手編みの竹籠を求めたら、そろそろ夕暮れ。今宵の夕食処、先斗町へと向かいましょう。
三條本家 みすや針
三條本家 みすや針の裁縫セット
公長齋小菅
公長齋小菅の手編み竹籠
最終日は御所南から丸太町で「小さな逸品」めぐり
3日目はインテリア界隈として人気の御所南から丸太町へてくてくと。鴨川沿いの散策も兼ねて楽しみます。このエリアには、買いやすく荷物にならない小さな逸品がたくさん。
茶こしや手鏡はお土産にも
スタートは堺町通の「辻和金網」。店の戸を開けると、指先で銅線をねじりながら、茶こしを編む店主が目に飛び込んできます。「手間と時間をかけてつくったものは、長くもつし愛着もわくんです」そんな考えから生まれる金網かごや焼網は、細部まで美しく堅牢。多くの料理人が愛用していることでも有名です。「象彦 寺町本店」で思わず「かわいい!」と声をあげてしまったのは、漆塗りの小さな手鏡。雅な手仕事は、海外へのお土産にも喜ばれそう。
辻和金網
左/辻和金網の外観 右/手編みかご
象彦 寺町本店
左/象彦 寺町本店の艶消しの漆器 右/手鏡
京のうつわ文化を感じる
旅の終盤は、爽やかな秋風を楽しみながら鴨川沿いをぶらぶら歩いて丸太町へ。日本や韓国などの古ものセレクトにセンスが光る「Kit」をのぞいたら、目ざすは京都大学の南。手仕事のうつわと道具を扱う「テノナル工藝百職」です。陶磁器に木工、漆など、実力ある若手の作品がずらり。価格は抑えめなれど、クラフト通をも満足させる質の高い品揃えに、京のうつわ文化の奥深さを知る思いです。
テノナル工藝百職
左/テノナル工藝百職の店内 右/木の器
大人のプリンで旅の余韻に浸る
ラストは、鴨川近くのカフェ「kátte」でのんびり。丁寧に手づくりされたプリン ア・ラ・モードに頰ゆるませるもよし、ワインやビールで乾杯するもよし。夕日に染まる川を眺めながら、京都を後にいたしましょう。
kátte
kátteのプリンア・ラ・モード