旅先では、とにかく歩く! ガイドブックに載っていないものに出会うため、私はそう心がけています。今回歩いたのは北海道釧路市阿寒湖温泉。そこでみつけたのは、偉大な作家たちによる街中の彫刻、阿寒湖ならではのデザイン、観光地ならではのゆる〜い創作物の数々でした。
街歩きの前に、地図を確認!
国立公園・阿寒湖の南部に位置する阿寒湖温泉街。湖畔に面したホテルや商店街を中心に、1日あればぐるりと歩ける小さな街です。まずは阿寒湖のアイヌ文化にふれられる「阿寒湖アイヌコタン」を歩いてみましょう。
阿寒湖アイヌコタンを歩く
こちらが「阿寒湖アイヌコタン(集落)」。36戸、約120人が暮らす北海道最大のアイヌの集落です。
集落の中央にあるトーテムポールは、2007年に彫刻家・床ヌブリさんの指導のもと、阿寒湖アイヌコタンの人々が制作したもの。姉妹都市であるカナダのブリティッシュコロンビア州バーナビー市の釧路公園の方角を向いています。
木彫や刺繍の民芸品店、カフェなどの飲食店が約20店立ち並ぶこのエリアは、国内外の観光客で常に大にぎわい。
お買い物も楽しいのですが、注目ポイントは、各店舗の外観。阿寒湖を代表する彫刻家たちの制作した看板や屋根の装飾は、見応えがあります!
ちなみにこの政満さんの作品は、このほかの場所でも観ることができます。
意外な場所で発見!瀧口政満さんの作品
1941年満州生まれ、木の曲りやこぶを生かした像を数々生み出してきた政満さん。その作品は、幻想的で愛くるしい表情が特徴です。
阿寒湖アイヌコタンから歩いて3分ほどの場所にある小学校の看板も、政満さんの手がけたもの!
実は、阿寒湖には街の看板や建物のレリーフなど、偉大な彫刻家による作品が多くあるのです。
街中で出会える藤戸竹喜さんの作品
もうひとり、阿寒湖を代表する彫刻家の作品を街中で観ることができます。その作家の名は、藤戸竹喜さん。1934年旭川に生まれ、阿寒湖で活動していた竹喜さんの作品は、熊をモチーフにしたものが多く、今にも動き出しそうな表情やリアリティあふれる毛並みとポーズが特徴です。
商店街の一角にある、図書室や観光インフォメーションセンターの入った「阿寒湖まりむ館」。この入り口に設置された熊も、実は竹喜さんの作品。
「阿寒湖まりむ館」から歩いて15分ほどの場所にあるお寺「正徳寺」には、竹喜さんの手がけた仏像もあります。やわらかな表情に珍しいかたちをした光背(こうはい)は、一見の価値ありです。
まだまだあります、阿寒湖の街中アート
偉大な彫刻家の作品のほかにも、街中にひっそりと、見逃せないアートが散りばめられています。
例えば、こちらは湖畔に面した「阿寒イオマプの庭」。アイヌの人々は愛を告げるとき「イオマプ(あなたのまわりにあることすべてを大切にします)」と表現するそう。そこから名づけられたこの庭は、縄文文化×アイヌ文化×阿寒湖の自然というコンセプトのもと、ユニークな空間がつくられています。
アイヌの文様が散りばめられた「カムイニ(トーテムポール)」の横には、花のドレスを着ているかのように見えるドレスガーデン。阿寒湖と雄阿寒岳(おあかんだけ)をバックにこんな写真が撮れます。
商店街を歩けば、こんなものも。こちらはマンホール。数種類ありますが、デザインの多くにまりもが使われています。中には釧路市と合併する前のものも! 冬はマンホールのところだけ雪が積もらず、あたたかいため、猫が丸まって眠っていることもあるんだとか。その姿も見てみたいものです!
商店街でもうひとつ、小さなアートをみつけました。
こちらは花壇。
よ〜〜〜く見ると…
そう、阿寒湖名物「まりも」をモチーフにしているんです。
大きなものから小さなものまで。阿寒湖の街には、雄大な自然に育まれたアートの数々が散らばっています。観光で訪れた際にはぜひ街を歩いて、気になる作品をみつけてみてください!