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2019.10.18

熊本河原町繊維問屋街の「BOW」はどんなお店?普段着物の羽織をセミオーダーできる

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着物の羽織を普段着として着る。今の日本でそれはなかなか難しいかもしれないけれど、身幅や袖を少し変えたり、素材を変えてみたらどうだろう?
熊本市の河原町繊維問屋街にある「BOW」は、羽織やダボシャツなどの日本らしい形を着やすい洋服へ改良し、お客様に合わせた素材やサイズで展開、提供している。普段着としては珍しい、セミオーダーができるお店「BOW」を運営している井上優子さんにお話を伺った。

服作りのきっかけは出産だった

平成29(2017)年10月、熊本市の河原町繊維問屋街に「BOW」のお店がオープンした。井上さんは、子育てをしながら「BOW」を運営している。

アトリエ兼お店でお話を伺った井上優子さん

井上:子供が生まれる前は、熊本市街のインポートブランドを取り扱うセレクトショップで販売員として働き、時には買付でパリに行く機会も何度か頂きました。その頃は全く洋裁をしておらず、服を作り始めたきっかけは、出産です。

出産を機に販売員をやめ、初めて生まれた自分の子供に着せる服を探し回った。

井上:自分の子供に可愛い服を沢山着せたいとお洋服を見にいったのですが、いいものは高い。半年でサイズが変わって着ることが出来なくなるのに。逆に安い物だとクマやウサギなどのマークが付いていて。自分の好きなデザインで、程よくお手頃な服が無かったので、それなら自分で作ってみようと洋裁教室に通ったのです。

洋裁教室で縫製の技術を教えてもらいながら、2年ほど家で子供服を作っていた。

井上:自分の子供に作っていたら、周りの友人達から売ってよ、と言われ始めて、ちょこちょこと子供服の注文を頂いていたら、次第に自分の服も作りたくなって。作って自分で着ていたら、買いたいと言ってくださる方が増えていった。そこから次第に大人服を作るようになっていきました。

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子供用のダボシャツが「BOW」の始まり

日本らしい形の服を作り始めたきっかけは、子供用のダボシャツを作ったこと。自分の子供にダボシャツを作り着せていたら、大人のサイズでも作って欲しいと友人に依頼され、メンズのダボシャツを作った事が今の「BOW」の始まりだった。

「BOW」の始まりとなった子供用のダボシャツ

井上:祭り用のダボシャツって、袖が細くて七分袖なんですよね。襟のVも深くて、身幅も細い。普段着として着るにはちょっと恥ずかしい。それをパターンで改良して、街でお洒落に着れるように作ってみたら、沢山の人に興味を持って頂けるようになりました。

ダボシャツをさらに改良したカンフーシャツも人気の定番商品となった。

井上:息子が今8歳なので、服を作り始めて8年が経ちました。今のBOWらしさがでてからは5年くらいが経ちました。

なんで「BOW」?

不思議な音の響きがする「BOW」という屋号の由来は何だろうか?

井上:店名、ブランド名は、短くて、可愛くなくて、誰でも読めるものに。何回聞いても覚えられないようなものだけはやめようと。メンズも作っているので、綺麗な響きより、濁点が入ってた方が言いやすいかなと感じて、男性が言って恥ずかしくないブランド名でありたかった。

そこで井上さんが子供服を作り始めた頃、当時作成していた服によく付けていた蝶ネクタイ=ボウタイから「BOW」と名付けた。

レディースは自分基準で作る

母は朝から忙しい。服のコーディネートは考えずに、でもちゃんとお洒落している服装で保育園に送りたい。そんな自分のためにワンピースやつなぎなど1枚でも着れる女性服を作っている。

井上:ただ単に自分が便利、着たい服という基準だけでレディースは作っているかもしれない。それなのに、共感して買って下さる方がいて本当に有難いです。やはり同じように子育てをしているママさんからは1枚でバッと着れる服には共感されますね。

井上さんのお気に入りは?

お気に入りのやっこジャケットを羽織る井上さん。中に着ているつなぎもダボシャツを改良した新作商品

井上:やっこジャケットです。その名の通り、やっこさんの形をしています。袖口の広いトップスに合わせられる羽織がなくて作りました。
沢山紐がついていて、裾を絞ったり変形させることが可能です。寒い時には中に着込んで、重ね合わせにして紐で結んで、しっかり留めて防寒できます。

普段着をセミオーダー出来る店に

井上さんへこの先の目標をうかがった。

井上:今は一部のスワッチしか置いてませんが、麻やコットン、ポリギャバなど人気の生地は小さく切った生地だけでなく、広い幅で全色見れるディスプレイをして、ここの店は普段着のセミオーダーが出来る店だと浸透すればと思います。洋服屋さんに行って、自分の好みのサイズが在庫切れだったり、元々作ってなかったり、色かサイズのどちらかを妥協して仕方なく買う人も多いと思います。デザイン、生地、色、サイズ、全て出来るだけ自分の理想に近い服を、自分も着たいと思うし、お客様にも提供していきたいと考えています。
紳士服や婦人服でオーダーが出来る店といえば、スーツやドレスが多く、カジュアル服で生地が選べて、色、サイズも選べるお店は少ないので、生地やサイズ展開などしっかりと体制を整え、長く続けていきたいです。

洋服を作っているけど、反物から自分の着物を仕立てる日本の和装文化のような空気感があった。
女性であり、母親である視点から作る普段着は、無理せずお洒落ができる服。
この街の幅広い方々から愛用されている「BOW」の普段着を、より多くの方々へ届けて欲しいです。

BOW 店舗情報

営業時間:完全アポイント制
E-mailもしくはインスタグラムのDMより来店のご予約をお願いします。
E-mail: bow.yukoinoue@gmail.com
インスタグラム:https://www.instagram.com/bow_yukoinoue/
住所:〒860-0023 熊本市中央区河原町2丁目

撮影/田中慎一朗

書いた人

商品の企画やらデザインやら相談やらを受けている他、おもいでのはとばコレクションを運営している。そんな経歴上、絵を描くことが得意と見られがちだが、新聞記者の最終面接で敗戦した過去を引きずる。人、場所、ものに興味があって、繋げることを企てる。 http://omoide-no-hatoba.com