え゙~!こんなところに大きな滝がある!!
通常、滝といえば、山の中にあるものですが、この滝があるのは、大分県にある緒方平野のど真ん中!
周囲には田畑が広がっており、人々が普通に暮らすのどかな田園地帯に、突然、川が切られて「でーん!」と出現したかのようにあるんです。
その周囲も珍しく、滝が落ちる寸前にある沈下橋、滝の上にある田んぼに囲まれた大きな鳥居など不思議な珍しい光景でフォトジェニックな要素もふんだんに溢れています。
今回は、そんな不思議な見どころも満載の大分県豊後大野市にある「原尻の滝(はらじりのたき)」をご案内いたします。
原尻の滝とは?
原尻の滝は、大分県豊後大野市緒方町原尻に位置している大野川水系の緒方川にある滝です。この滝の大きさは、高さ20m、幅120mもあり、特に大きな弧を描いたような形状の横幅の大きさに圧倒されます。
そして、この滝の最大の魅力は、何といっても「滝が存在する場所」の神秘です。
なぜ、こんな所に滝ができた?
原尻の滝の誕生は、9万年前に発生した阿蘇山の大噴火で大量に流れ出た火砕流が大きく関係しています。
「九州のへそ」とも言われている阿蘇山の大噴火は、九州全域に渡り多大な影響を色々な形で与えたことでも有名です。
現在「原尻の滝」がある大分県豊後大野市緒方町原尻にも、数十メートルにも及ぶ大量の火砕流が積もりました。時間の経過で温度が下がって固まる際に、「柱状節理(ちゅうじょうせつり)」という現象によって縦方向の割れ目がこの火砕流の塊にたくさんでき、その結果、岩柱のような形状のものがたくさん並んだような形状になっていきました。
やがて岩柱の隙間にも川から流れてきた水が流れはじめ、弱い岩柱が次々に水の力で押し流されていき、長い時間をかけて現在の形の「原尻の滝」が誕生しました。
つまり、「原尻の滝」は、阿蘇山大噴火による巨大火砕流の痕跡の1つなわけです。
不思議さと珍しさいっぱい!名実ともに素晴らしい「原尻の滝」
そんな理由で出現した珍しい立地にある「原尻の滝」は、「日本の滝百選」、「大分県百景」、「日本ジオパーク・ユネスコ認定エコパーク」などにも選ばれており、こうした側面からも名実ともに素晴らしさを認められているのが分かります。
さらに、幅120mもある大きな弧を描くような形状による雄大さから「東洋のナイアガラ」とまで呼ばれています。増水時の滝に水が流れ落ちる迫力は、そんなキャッチフレーズの迫力にも迫るものがあります。
原尻の滝のみどころ
「原尻の滝」周辺は、遊歩道が完備されているので、美しい景色を楽しみながらのステキなお散歩をしたい方にもおすすめ。この遊歩道からは、上からも下からも右からも左からも様々な角度から、この滝を鑑賞できます。
滝の上の沈下橋
まず、最初に驚かされるのが、滝の水が落ちる間際付近にある沈下橋。
この橋の高さ自体が低いので、橋の下を速いスピードで流れる緒方川の水との距離も近いことに加えて、滝の水が真下に落ちる切れ目がすぐ目の前なので、橋の上からも鑑賞でき、ドキドキ感も半端ないです!
この沈下橋は、滝の水が落ちる間際の崖付近までつながっているので、この付近から滝つぼを見下ろす迫力満点な体験もできます。
「滝の上を車が通過している」不思議な光景が見える河原
「原尻の滝」の横には、滝つぼがある河原へ降りられる階段があります。
滝つぼのほとりから間近に見上げる迫力のこの滝の光景も見逃せません。マイナスイオンたっぷりの滝のミストも浴びられます。
この滝は、「虹がよくかかる」ことでも有名なので、ラッキーであれば滝つぼのほとりで虹に遭遇できるはず!
そして、先程いた沈下橋は、車が通過することもあるので、この光景を滝つぼへ向かう階段の下の方から見上げてみると、「滝の上を車が通過している」という普段の滝では見られないような不思議な光景にも遭遇!
この光景を写真におさめる人も少なくありません。
上から全体を眺められる「滝見橋」から楽しむ
「原尻の滝」から200m位、下流へ行くと「滝見橋」という長いつり橋がかかっています。橋好きの私は大喜びで当然、このつり橋を渡り、ここからもじっくり鑑賞。
このつり橋の長さは90m、高さは22mで、幅は狭く、揺れるので、スリルも楽しめます。
のどかな田園風景の中に出現している原尻の滝全体の不思議な光景を上からを眺めることができます。
なぜ、こんなところに大鳥居が建っている?
田んぼに囲まれた「原尻の滝」の上には、大きな鳥居が建てられています。この光景も見逃せないおすすめのフォトジェニックなスポットの1つです。
この鳥居は、この川の両岸に位置する緒方三社(久土知にある一宮八幡社、原尻にある二宮八幡社、上自在にある三宮八幡社)の3つのお社のお祭りである「緒方三社 川越しまつり」の際に使用されます。お神輿が川を渡る時に、神様が通過される道として鳥居が建てられているとのことです。
「緒方三社 川越しまつり」
緒方三社は、遡ること今から800年ほど前の鎌倉時代に緒方三郎惟栄(これよし)が創建したとされています。緒方三社の一の宮社には、惟栄の父にあたる仲哀天皇、二の宮社には、この子どもにあたる応神天皇、三の宮社にはこの母にあたる神功皇后が祀られています。
ところが、源 頼朝の命令で大友能直(おおともよしなお)が二宮八幡社がある原尻に地頭として着任することになったので、郷土の武将である緒方三郎惟栄の一族である大野泰基が寺に立てこもりこの着任に抵抗を続けました。
その結果、能直が泰基を討つと、原尻の滝では暴風雨や洪水などが頻発し住民はさんざん悩まされました。
このため、能直は、緒方三郎惟栄と大野泰基の霊を二宮八幡社に祀ることにしました。
これがきっかけとなって、「緒方三社 川越しまつり」が始まったとのことです。
このお祭りは、毎年、旧暦の10月14日、15日付近の土曜日と日曜日に行われます。
たいまつに照らされながら、夜の気温が下がった寒い中、ふんどし姿の勇敢な若者達にかつがれた一の宮社と三の宮社のお神輿が、鳥居の建てられた神の道を通りながら川を渡って二の宮社に集合します。
一の宮社にいる父と三の宮社にいる母が二の宮社にいる子どものもとへ来て、一緒に楽しく過ごすことができるように開催されているのがこのお祭りなのです。
「原尻の滝」では開催されるイベントも色々!
沢尻の滝では、年間を通して、季節ごとに様々なイベントも開催されています。
春は、毎年4月に大人気イベントの「チューリップフェスタ」が行われます。10種類30万本もの色とりどりの満開のチューリップが広大な敷地内に一斉に咲き誇っている姿は、圧巻の美しさ!
そして、夏は、8月にボートクルーズが開催されるので、滝つぼまでボートで漕いで滝付近まで接近することもできます。
さらに秋や冬にはライトアップ・イベントも開催されているので、昼とは異なる夜の「原尻の滝」の幻想的な美しさも味わえます。また、11月に毎年開催される前述でもご紹介の「緒方三社 川越しまつり」も珍しい郷土祭りとして見逃せません。
「原尻の滝」の周辺施設 & 見どころ
藁葺きの水車小屋
「原尻の滝」のすぐそばには、水車がある茅葺き屋根の趣深い建物の古民家カフェ&雑貨店「花水車」があります。この建物の前は人気のフォトスポットの1つにもなっています。
原尻橋
「原尻の滝」へ来た人が意外と見逃してしまっているのが「原尻橋」。
原尻の滝から上流へ500m位の場所に位置しています。
実は、私も原尻の滝を訪れた時にはこの橋のことを全く知らなかったのですが、次の場所に向かう最中に偶然発見! 他とは異なるオーラを放つ美しい橋だったので写真にもおさめていたわけです。
後で調べたら、「緒方橋」、「鳴滝橋」と並んで、豊後大野市を代表する「3大石橋」の1つにもなっている橋とのこと。
見逃してしまってはもったいない橋です。
建造されたのは、1923(大正12)年。石でできた5連の橋で、全長73mあります。
地方へ来ると、この様な現役で活躍してる年代物の美しい橋に遭遇できることも多いので、この様な幸運も是非、見逃さないでください。
道の駅 原尻の滝
この滝に車で来た人が駐車場としても利用している「道の駅 原尻の滝」。この道の駅には、200台収容可能な駐車料金無料の大駐車場も完備しています。
この駐車場から、徒歩ですぐの場所に原尻の滝があるので、山の中にある滝とは異なり、年配の方や小さな子どもにも優しいアクセスしやすい立地も嬉しいポイント!
この道の駅では、地元の特産品や新鮮な農産物をはじめ、色々なお土産も揃っています。お食事を楽しめる「レストラン白滝」では、名物の豊後牛を使用した絶品料理や郷土料理なども楽しめ、軽食コーナーでは、特産品のカボスを使用したソフトクリームが大人気。
さらに、この道の駅内で見逃せないのが、屋根付きのオープンスペースにあるテラス席。お茶やお食事を楽しみながら、ここからも原尻の滝を鑑賞することができるんです。天候の良い日や温かい日などに、こちらからの眺めも是非、のんびりと楽しんでみてください。
「道の駅 原尻の滝」基本情報
住所:大分県豊後大野市緒方町原尻936
営業時間:レストラン 9:30~17:30、喫茶・軽食 10:00~17:00