前半で紹介した高千穂神巡りの後は、食と伝統神事を心ゆくまでお楽しみください!
美宿で味わう本当の心地よさ
旅館神仙
日本旅館のよさは残しながら、時代とともに進化していく宿でありたいという『旅館神仙』。創業は昭和40年代と古くはありませんが、こまめに客室をメンテナンスしたり、庭にバーベキュー設備を用意したことがあったり、離れを増設したりと、少しずつ変化してきました。けれど変わらないのは、女将はもちろん、仲居から料理人まで全員でこの宿を育てているという意識。たとえば、松の芽摘みや杉苔の手入れなどを自分たちの手で行うことで、責任感も誇りも強くなるといいます。従業員のほとんどは高千穂出身。年に一度、海外や国内のリゾートなどでの研修を行うのは、宿泊先での心地よさを体験することで、ゲストの側に立ったもてなしを身につけるため。京都や大阪で修業した料理人が腕をふるう料理は、仕事も過ぎず、品数も量もほどよい加減。天然温泉ではない宿ですが、その評判は確かです。
ご神水で打つそばと田舎料理
千人の蔵
穀物や野菜などを貯蔵する石の蔵を移築し、天岩戸温泉近くに3年前に開店した『千人の蔵』。広島のそば名人、『達磨 雪花山房』の高橋邦弘氏に習った店主の児島佐代子さんが、毎朝汲みに行く秋元神社のご神水で打つ、のど越しのいいそばが評判。さば節やしいたけ、昆布、濃口醬油でとったすっきりとした辛さの麺つゆで提供しています。
宮崎の地鶏とごぼうを甘辛く煮てのせた地鶏そばをはじめ、地元産の食材による料理が並ぶ定食も人気(写真のセットで2,000円)。だんご(そばがき)とコーヒーでひとやすみ、といった利用もできます。
神話を舞い語り継ぐ
夜神楽
高千穂が「神話と生きる土地」といわれる所以のひとつが、各地区に伝承される神楽。11月末から2月にかけて、村々で33番(話)の神話のエピソードなどを神楽として上演。住民によって夜を徹して行われる、秋の実りへの感謝と、翌年の豊穣を祈願するもので、重要無形民俗文化財指定の神事です。
高千穂神社の神楽殿では、一年中夜神楽を上演。天岩戸開きに関連する物語など4番を、毎晩20時から楽しめる(観覧料500円、予約不要)。