京都の瓢亭主人、高橋英一さんが考える和食とは何か?

京都の瓢亭主人、高橋英一さんが考える和食とは何か?

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料理を取り巻く器、建物、庭。すべての技が日本の味を支えています

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髙橋英一(たかはしえいいち)さんは、瓢亭(ひょうてい)先代の長男として生まれ、小学生のときから店の厨房を遊び場にして、家業を自然に身につけていきました。「『京料理は素材をいじくったらあかん』というのが父の教えでした。素材の持ち味を生かすことをまず心がけます。それから季節感ですね。季節を大切にするのが京料理の大きな特徴です」
 
瓢亭はほかの料亭とはずいぶん違った印象の店です。茶屋だったという成り立ちを彷彿(ほうふつ)させる入り口と古い座敷は、長い歴史を感じさせます。「瓢亭の玄関はどこや、と言われるほどで、玄関らしいもののない店です。路地を伝っていつの間にかお部屋に入っていただくんです。庭の木や石は、どこにでもあるごく普通のものですし、部屋も余分なものが何もない茶室のような部屋で、古いですから華やかなところもない。そこで出す料理ですから、料理屋にしたら地味だと思います」料亭なのに地味だという瓢亭の料理には、どんな特徴があるのでしょうか。
DMA-DSC_7736だしをひく。瓢亭では、鮪節と利尻昆布を使っている。「調理場の電灯は、素材が自然に見えるよう、白熱灯にしています。レトロに見えますか」

「ひとことで言えば、お茶の心のある料理でしょう。旬の材料をおいしく料理する。あたりまえのことですけれど、懐石とはそういうものです。いつも懐石を基本にして、新しいことに取り組んでいかないといけないと思っています」

瓢亭のお造りといえば鯛。専門業者に毎日明石の鯛を持ってきてもらっています。「昔はほかの魚と盛り合わせたりもしていました。ですが、鯛の品のよさ、味の奥深さを知るようになって、鯛だけになりました。醬油は土佐醬油【鰹節とともに火を入れたもの】と息子が提案したトマト醬油をお出ししています。トマトのうまみはグルタミン酸ですから、鯛のイノシン酸とよく合うんです」
DMA-DSC_7911長男の義弘(よしひろ)さんと、調理場で今日の料理の打ち合わせ。

日本の料理には、器や室礼(しつらい)も重要です。瓢亭の器は京好み。永楽(えいらく)などきれいな色が印象的な京焼の器や、古染付(こそめつけ)、ときには大胆な魯山人(ろさんじん)の器も使います。床の間には季節の軸と花が飾られます。

「花は自分でいけています。子供のころから花を育てるのが好きで、よく母親が花をいけるのも見ていました。ですから、自分流です。利休さんの教えに『花は野にある如く』とありますが、その気持ちでいけています。庭に150種類くらい花があります。自然に咲いている姿を見るとどういけるかわかるように思います。手入れは夜やることが多くて、とうとう庭の端に電灯のつく作業場をつくりました」
 
髙橋さんは、京都府無形文化財保持者。料理人が無形文化財に認定されたのは全国で初めてだといいます。「10年くらい前までは、『日本料理は文化です』と言っても、お役所に相手にしてもらえなかった。それを思うと、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたのは感慨深いことです」
DMA-DSC_7790若い料理人が下ごしらえ中。当日の料理の指揮だけでなく、年に一度しか仕込めない素材の料理や催事のお弁当、打ち合わせなど、休む暇がない。

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