讃岐うどんはのどで食う!「香川 高松」で、より道の旅しませんか?

讃岐うどんはのどで食う!「香川 高松」で、より道の旅しませんか?

目次

美味しいうどんと、優雅な城下町

近年、『うどん県』の愛称で香川県が盛り上がっています。一方で、「魅力はそれだけやないんやけどな」という地元の声も。県庁所在地の高松市に目を向ければ、高松藩主が整備した天下の名園あり、城下町で育まれた伝統の漆器や陶芸あり。街はコンパクトで平坦なため、そぞろ歩きも気楽です。
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早起きして、大名庭園を歩く。『一歩一景』。進むたびに『いいね』がある

高松の城下町は、戦国時代の生駒氏の入封に始まり、高松藩の治世で成熟を見せました。かつて瀬戸内海を望む沿岸部には、藩主執政の水城『高松城』、内陸の山のすそ野には、代々の藩主が愛でた別邸『栗林荘』。古の両者を結ぶ、直線距離で約3㎞の地が、今回の散策エリアです。
スクリーンショット 2017-06-29 15.13.25『史跡 高松城跡 玉藻公園』の月見櫓。県内の盆栽の里、鬼無町と国分寺町の小品盆栽がずらり。

『栗林荘』は、明治時代に県立の『栗林公園』として広く公開されました。300年以上の時を重ねた大名庭園を歩いてみましょう。数々の湖や築山、小川が見事に配されています。その美しさは『一歩一景』と評され、変化に富むもの。特に、なだらかな紫雲山を借景に、茶室や太鼓橋が点景として求心力を与える、視覚効果が見事です。

ここの開園時間は、『日の出から日の入りまで(季節によって変動)』。夏季は朝5時半(!)開門です。街の人々にとって、観光客の少ない朝の静かな散策が、営みのひとつとなっています。園内の茶室、花園亭で朝粥をいただけるのもうれしい。
スクリーンショット 2017-06-29 15.13.52『栗林公園』は、『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』の三つ星にも選定。

文化財保護法で『特別名勝』に指定されたここは、いわば『お庭の国宝』。何時間でも、飽かず眺めていられそうです。

園の北門を出たら、御用窯としての歴史ある『理平焼』の窯元へ。高松藩初代、松平頼重(水戸の黄門さまの実兄)が京都から招いた陶工を祖とし、代々茶陶を手がけた家柄です。現在は14代紀太理平さんが、京焼の技術で、瀬戸内の風物を色絵に。白い陶肌に、讃岐の風雅が浮かびます。
スクリーンショット 2017-06-29 15.14.34『理平焼』のぐい呑み

讃岐うどんは「のどで食う」。つるつるつるり。歩くと再びのれんが誘う

高松散策ではずせないのが、讃岐うどん店です。午前中から営業し、売り切れ仕舞いという店や、昼時に行列ができる店も。そのため早めの時刻に訪れるのが賢明です。栗林公園そばの『上原屋本店』は、活気がいっぱい。地元っ子に続いて早速席へ。

うどんは小盛りの『小』と、『大』が選べ、「讃岐の子は幼稚園児でも、大をぺろりと食べる子がいます」とご店主。
スクリーンショット 2017-06-29 15.25.49『上原屋本店』では、自分で麺をあたためて好みの温度に。おでんも気になる。

麺を箸にとってみると、その太さと量感に、あぁ讃岐に来たのだ、と感慨深い。元来、讃岐は降水量が少なく、小麦栽培の適地でした。うどんが存在感をもつのは、風土ゆえ。また、主役たる麺のコシを陰で支える塩も、古くから生産。地元が誇る『讃岐三白(砂糖、塩、綿)』のひとつです。

郷土の味で力をつけたところで、さらに街中へ。讃岐のかわいいものとの出合いが、セレクトショップ『イクナスギャラリー』で叶います。たとえば、讃岐の木綿糸を針で一本一本かがってつくる讃岐の手まり。素朴な郷土玩具で、草木染めの色彩が印象的。また、頼重公が奨励し、この地に根付いた香川漆器は、多様な技法が見ものです。
スクリーンショット 2017-06-29 15.26.39『イクナスギャラリー』で販売の『香川漆器 茶托桟俵 後藤塗』

高松市内は、第二次世界大戦で空襲を受けたため、古い建物などは少数です。それでも目をこらせば、歴史の面影は街角に。生駒家の霊廟を守る『法泉寺』では、蘇鉄が旺盛に繁茂しています。実は生駒親正が、豊臣秀吉の朝鮮出兵から持ち帰った株だそう。

「空襲で一時は焼けぼっくいになりましたが、生命力があるようで、再び芽吹いたんですよ」とご住職。スクリーンショット 2017-06-29 15.27.23『法泉寺』の樹齢400年以上の朝鮮蘇鉄。

道々に昔を偲ぶ老舗。人々が黙礼する古天神。営みが愛しい。

明治初年創業の瓦せんべいの老舗『くつわ堂總本店』は、珍しい屋号が気になります。

「お城から逃げた暴れ馬を、初代がくつわをとらえてなだめたため、藩主に屋号を下賜されたそう。あくまで口伝ですが」ご店主が、そう教えてくれました。昭和の情緒を残す喫茶室があり、ロールケーキも、よいお味。瓦せんべいにも使う、和三盆に精製される前の白下糖が、コクの素でした。
スクリーンショット 2017-06-29 15.36.02『くつわ堂總本店』の喫茶室は、1968年に、地元の桜製作所がインテリアを手がけた。壁には高松出身の洋画家、猪熊弦一郎の絵画が。

商店街を出ると、潮の香りが近づきます。かつて高松城は、海上から見ると海に浮かんで見えたそう。天守閣は失われましたが、『玉藻公園』として歴史を今に伝えています。重要文化財の月見櫓が美しく、海水を引き入れた濠には、鯉ではなく鯛が泳いでいます。

「この濠で、頼重公が泳いだともいわれています」と地元のガイドの方。まさか、というこちらの視線に、「平時には、家臣たちにも水泳の練習をさせたそうですよ」ふと、一生懸命に泳ぐお殿様の姿が見えたような気がしたのは、一瞬の風のいたずら。

波音に誘われて高松港を歩くと、備讃瀬戸の島々と、行きかう船の往来が、一幅の絵となり胸に沁み入ります。

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