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2019.08.15

「東京都立中央図書館」の魅力を案内!豊富な資料がそろう、まるで大人の遊園地?

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「旅行やレジャーもいいけれど、室内で知的に過ごしてみるのも悪くないかな。」なんて思っている方におすすめしたいスポット、東京都立中央図書館。

206万冊にも及ぶ豊富な資料あり、ゆったりと過ごせるカフェテリアあり、楽しいイベントあり。大人の遊園地ともいえる「東京都立中央図書館」の魅力と、これさえ読めば迷子にならない、各階の案内をお届けします!

東京都立中央図書館とは?

東京都立中央図書館は、昭和48(1973)年、東京都立日比谷図書館の蔵書を引き継ぎ、港区南麻布の有栖川宮記念公園内に開館しました。最寄り駅は、東京メトロ日比谷線・広尾駅。1番または2番出口から、有栖川宮記念公園を目指して歩きます。

公園の横の、ドイツ大使館側の急な南部坂、六本木方面のゆるやかな木下坂から都立中央図書館に行くルートもありますが、公園の木々の間を抜けていくのが一番近い?

公園の中を通って、東京都立中央図書館に到着。

地上5階の白い建物が都立中央図書館です。(東京都立図書館ホームページより転載)

東京都立図書館は2館ある

東京都立図書館は、港区にある「東京都立中央図書館」、国分寺市にある「東京都立多摩図書館」があります。この2館は、機能を分担しながら、一体的に運営されています。

東京都立多摩図書館では、「東京マガジンバンク」として、雑誌の特性を生かしたサービスと児童・青少年資料のサービスを行っています。子ども・青少年向けの資料は東京都立中央図書館ではなく、東京都立多摩図書館にあります。また、雑誌は、東京都立多摩図書館のみで所蔵している場合もありますので、ご注意ください。

公立図書館としては、国内最大級を誇る豊富な資料を所蔵しており、来館される方へのサービスのほか、調べたいことや探している資料などのご質問について、必要な資料・情報をご案内する「レファレンスサービス」にも力を入れています。

東京都立中央図書館を楽しむための5つのポイント

それでは、具体的に、おすすめポイントを見ていきましょう。

1.話題のあの本も読むことができるかも!? 圧倒的な資料数

東京都立中央図書館の蔵書数は、なんと約206万冊。そのうち、新しい資料や各分野の事典類などの基本的な資料、約36万冊が1階から3階の閲覧室内の書架に並んでいて、自由に手にとって見ることができます。利用者登録などは不要。東京都内にお住いの方だけではなく、どなたでも利用することができます。

探したい資料が決まっている方は、蔵書検索パソコンを使って、資料が館内のどこにあるか調べてみましょう。書名や著者名のほか、キーワードなどでも検索することができます。

東京都立中央図書館の蔵書のうち、約80%は書庫の中にあります。
書庫にある資料が見たい場合は、蔵書検索用パソコンから利用申し込みをします。
資料の準備ができたら、電光掲示板に入館証の番号が表示されますので、1階の資料お渡しカウンターで受け取ります。

区市町村立図書館との大きな違いは、資料の個人貸出をしていないこと。その代わり、話題のあの本を、館内で読むことができるかも?

2.約900席の座席

座席数は約900席。その日の目的や気分に合わせて、様々な座席を選ぶことができます。電源付きの席も多く、ほとんどの座席でパソコンが利用可能。「Free Wi-Fi & TOKYO」も使用できます(要登録)。

一番人気は1階から3階にあるキャレル席(個人席)で、開館と同時に埋まることも。

5階の「調査研究ルーム(19席)」は、セカンドオフィスとして利用できます。

5階・調査研究ルームを利用する時は、1階のフロア案内で利用申込をします。実は、この記事の原稿作成は、調査研究ルームで行いました。

3.司書が調べ物の悩みを解決!

「調査をしたいんだけれど、どうやって探せばいいかわからない。」「目当ての資料が見つからない。」そんな「困った! 」時は、図書館のスペシャリストである司書に相談することをおすすめします。

東京都立中央図書館では、1階に総合案内・相談カウンターがあり、司書が調べ物の相談に対応しています。自分が探している本があるかどうかだけではなく、関連する資料のご紹介もしています。もしかしたら、思いがけない資料を紹介してもらえるかも?
資料の探し方や、新聞記事・雑誌記事・論文などの探し方もご案内しています。

調べ物の相談は、1階に総合案内・相談カウンターの司書に!(東京都立図書館ホームページより転載)

また、事前に、電話やメールで調査の依頼をすることもできます(メールによる依頼は、東京都に関するもの等を除き、東京都在住または在勤・在学の方のみ可能です)。

実は、東京都立図書館のレファレンスサービスは、仕事に関する調査で利用する方が一番多いことをご存じですか? 図書館の資料は情報やアイデアの宝庫です。仕事に限らず、何かヒントが欲しい時は、ぜひ東京都立図書館のレファレンスサービスをご活用してみてはいかがでしょうか。

4.オンラインデータベースが無料で使える

東京都立中央図書館では、調べものに便利なオンラインデータベースが無料で利用できます(要申込。一部、有料のデータベースもあり。記事のプリントアウトは有料)。

オンラインデータベースは30種以上あり、特に、新聞記事や雑誌記事を探したり、企業や市場の情報、法律情報や判例を探すのに便利です。
データベースの内容は、東京都立図書館ホームページをご参照ください。

 オンラインデータベース

オンラインデータベースの使い方をご案内するショートセミナーも、定期的に行っています。

5.平日は21時まで開いています! 開館時間が意外と長い

東京都立中央図書館の開館時間は、平日は午前10時から午後9時まで、土日祝日は午前10時から午後5時30分までです。月に2回、原則として、第一木曜日と第三金曜日が休館日です。図書館の開館時間が長い・休みが少ないのは、利用者としては助かりますよね。

利用の際は、念のため、事前に東京都立図書館ホームページで開館日と開館時間を確認することをおすすめします。

イベントもやっています! – 8月はイベントが目白押し

東京都立中央図書館では、様々なイベントも行っています。しかも、無料! 
気になった方は参加してみてはいかがでしょうか? 
実施日時、申込方法等は、東京都立図書館ホームページでご確認ください。

企画展示「世界中の国のこと、もっと知ろう!~東京2020大会まであと1年~」

4階の企画展示室では、企画展示「世界中の国のこと、もっと知ろう!~東京2020大会まであと1年~」が開催中です(2019年10月2日(水)まで)。

  企画展示「世界中の国のこと、もっと知ろう!〜東京2020大会まであと1年〜」が始まりました!

これまでのオリンピック・パラリンピック大会に選手団を派遣してきた約200の国と地域に関する本や情報を、東京都立中央図書館の資料で紹介しています。
国旗の由来やその国に関する豆知識など、知ると楽しい情報が満載。それぞれの国や地域別の資料リストも展示しています。
併せて、これまでに開催された夏季オリンピック・パラリンピックをより深く知るための資料も展示しています。

上映会

東京2020大会に向けたイベントとして、オリンピック・パラリンピック関連映像の上映会が4階の多目的ホールで行われます(入場無料、当日先着順)。
いずれも、午後2時上映開始です(開場1時30分)。
上映日時、上映作品は、東京都立図書館ホームページでご確認ください。

 東京2020大会に向けた企画展示、講演会、上映会を開催します!

謎解きイベントLive-Rally

昨年度実施して、好評だった謎解きイベント「Live-Rally-運命をつなぐ物語2-」が、現在、再演中です(2019年8月12日(月・祝)まで)

図書館を舞台に繰り広げられるミステリアスな物語を、参加者自身が館内に隠された様々な暗号やパズルを解き明かしながら進めていく体験型のイベントです。参加は無料で、どなたでも参加できます。
参加を希望する方は、1階の総合案内・相談カウンターでお申し込みください。

謎解きは気になるけど参加したことがない方、ぜひチャレンジしてみませんか!

 【再演】謎解きイベント「Live-Rally(ライブラリー)ー運命をつなぐ物語2ー」を開催します

図書館ツアー(要事前申込)

東京都立中央図書館では、バックヤードや特徴的な資料をご案内する「図書館ツアー」を定期的に開催しています。
普段は入ることのできない地下書庫も見ることができます。
図書館ツアーは、事前申込制となっています。開催日時・内容等、詳細は東京都立図書館ホームページをご確認ください。

 令和元年8月〜11月開催の図書館ツアー参加者募集中!
 

東京都立中央図書館の各階のご案内

5階建ての東京都立中央図書館。その日の目的に応じてさまざまな使い方ができます。また、各階で、旬な話題のテーマの本や雑誌を紹介するテーマ展示やトピック展示も行っているので、「どんな本があるのかな?」と書架の間を散策してみるのも、思いがけない素敵な本との出合いがあるかもしれません。

3階のミニ展示「オリンピック・新競技」。2020年東京オリンピックに追加された5つの競技–スポーツクライミング、スケートボード、サーフィン、空手、野球・ソフトボール–に関する入門書を展示しています。

1階・調査のスタートはここから!

1階には、蔵書検索用パソコンのほか、企業の財務情報、判例、新聞記事などのオンラインデータベースが検索できるパソコンがあります。

資料の複写も、1階でできます。

都市・東京情報コーナー

東京に関する様々な分野の資料がたくさん。東京都の行政資料(東京都、区市町村発行)及び東京に関する資料を収集・所蔵しているほか、明治期以降の東京の地図なども所蔵しています。

東京名所や博覧会などをとりあげた明治期から昭和初期の絵葉書、写真帖や近代の地図、東京府・東京市関係資料など、所蔵資料の一部は「TOKYOアーカイブ」で画像を公開しています。

国内の主要都市や「都市」に関する資料もあります。

ビジネス情報コーナー

ビジネス情報コーナーには、企業情報や業界・市場動向等を調べるための会社録や業界年鑑等が並んでいます。


法律情報コーナー

身近な法律問題から法令の専門的な解説書まで、法律に関する資料がずらり。

健康医療情報コーナー

病気や薬等、医療に関する一般向けの資料から専門的な医学書があります。患者さんやその家族等が書いた手記を集めた「闘病記文庫」なども。


健康医療情報コーナーでは、介護に関する本の紹介も行っています。

新聞コーナー

主要全国紙のほか、地方新聞、業界新聞等が。奥の書架には、縮刷版が置いてあります。

2020年に向けた情報サービスコーナー

オリンピック・パラリンピックに関連した情報や、国際相互理解に役立つ情報を集めているコーナー。東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて、関連の資料を展示する「オリンピック・パラリンピックコーナー」、江戸・東京の歴史や文化、日本の伝統文化に関する資料を展示する「伝統・文化コーナー」、日本について書かれた外国語の図書を集めた「Books on Japan」の3テーマで構成されています。

2階・社会・自然科学系資料・閲覧室

2階の閲覧室の書架に並ぶのは、情報科学、政治、経済、統計、社会学、教育、数学、物理、化学、生物、工業、農林水産業、商業、交通などの社会・自然科学系の本です。

3階・人文科学系資料・閲覧室

哲学、宗教、歴史、地理、伝記、芸術、スポーツ、語学、文学などの人文科学系資料は、3階の閲覧室の書架に並んでいます。

地方史コーナー

戦前から現代まで、全国各地の自治体が編集発行した都道府県史・市町村史などの史誌類約5万冊が揃っています。

中国語、韓国・朝鮮語資料コーナー

中国、香港特別行政区、台湾などで発行された現代中国語図書と大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国で発行された現代韓国語・朝鮮語図書があります。歴史や地理、政治、経済、風俗風習、伝統芸能、文学など、幅広い分野の図書が。

美術情報コーナー

美術全集や展覧会の図録などが並んでいます。

コミックコーナー

東京都立中央図書館には、実は、マンガもあります。「気分転換に読んだら、はまってしまった…。」という人も多いそう。

「コミックコーナー」は、1階の新聞コーナーそばにもあります。併せてご利用ください。

4階・閲覧室、企画展示室、多目的ホール

4階の閲覧室は、ほとんどの座席に電源が。企画展示室、多目的ホールもあり、イベントなどはこちらで開催されます。

5階・特別文庫室からカフェテリアまで

5階はさまざまな使い方ができるフロア。江戸時代後期を中心とした古典籍・古地図・錦絵などを所蔵する特別文庫室、調査研究ルーム、交流ルーム、カフェテリアなどがあります。

特別文庫室

江戸時代後期から明治時代中期の資料を中心に、約24万3千点の貴重な資料を所蔵しています。ここには、大正天皇即位礼に際し、東京市に下賜された10万円を基金として東京に関する資料を収集した「東京誌料」のほか、第二次世界大戦中に東京都が民間の学者や蔵書家から買い上げ、疎開させることによって戦災を免れた戦時特別買上図書などが。

資料は刊本、写本、古地図、錦絵、漢籍、書簡、拓本、書画、写真など多岐にわたり、都立中央図書館でしか所蔵が確認できない資料も多く含まれています。それらの資料のうち、甲良家伝来の江戸城造営関係資料646点は、1987年、国の重要文化財に指定されました。
特別文庫室の所蔵資料は「TOKYOアーカイブ」で画像が公開されているものもあります。

特別文庫室前の廊下のミニ展示「特別文庫ギャラリー」

交流ルーム

学生のアクティブラーニングや社会人の勉強会などにも利用できます。

(東京都立図書館ホームページより転載)

カフェテリア

5階にあるカフェテリアからの眺めは素敵です。東京タワーや六本木ヒルズが目の前に!

(東京都立図書館ホームページより転載)

この秋は、東京都立中央図書館で過ごす!

東京都立中央図書館は、有栖川宮記念公園の緑に囲まれた素敵な図書館でした。

東京都立中央図書館の詳しい情報は、東京都立図書館ホームページでご確認ください。ご自宅などから、東京都立図書館に資料があるかどうかを調べることができます。
また、様々なイベント情報は、Facebookでも発信されています。

今年の読書の秋は東京都立中央図書館で、“知的”に過ごしてみてはいかがでしょうか。

1階の利用者用入口横のcafé「有栖川珈琲」。(東京都立図書館ホームページより転載)

東京都立中央図書館 基本情報

施設名: 東京都立中央図書館
住所: 106-8575 東京都港区南麻布5-7-13(有栖川宮記念公園内)
開館時間: 平日 10:00-21:00 (特別文庫室:10:00-17:30) 
      土日祝 10:00-17:30
休館日: 第一木曜日
     設備等の保守点検日 毎月1回
     特別整理期間、年末年始(12月29日~1月3日)
webサイト(東京都立図書館): https://www.library.metro.tokyo.jp/
                https://www.facebook.com/tmlibrary

書いた人

秋田県大仙市出身。大学の実習をきっかけに、公共図書館に興味を持ち、図書館司書になる。元号が変わるのを機に、30年勤めた図書館を退職してフリーに。「日本のことを聞かれたら、『ニッポニカ』(=小学館の百科事典『日本大百科全書』)を調べるように。」という先輩職員の教えは、退職後も励行中。