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そこかしこに〝茶の心〞が宿っていました!
京都で愛される伝統の店、新しい店の秘密
「茶味がある」。
褒め言葉のようですが、茶の湯のことを知らない人にとってはちょっとわからない言葉です。「わび・さび」に代表されるような、茶の湯で確立された美意識、と聞けば想像しやすいでしょうか。
京都を訪れるたびに、ハッと感じるあれこれを思い出してみます。
朝一番の掃き清めた寺社の庭、打ち水に濡れた石畳、客を迎え入れるために薫(た)きしめた香り……。大人になってあらためて「日本はいい、京都すごいな」と心が動くとき、私たちはそこにある「茶味」を感じているのですね。
京都は茶の湯のふるさと。だからこの町には茶味が、ときめきがあふれている。さあ、茶味を巡る京都の冒険へ出かけましょう。
名店と呼ばれる店には茶味があった!
「京都でいい店だと思うのはどんなところ?」。
和樂編集部の京都班が集まり、意見を寄せ合いました。
「フランソア喫茶室のお給仕さんの制服。あの空間にクラシックなワンピースという選択がいい。
レアチーズケーキにはブルーベリーソース、それをのせるお皿はコレと店の〝決まり事〟がひとつひとつにあってそこに説得力がある」とはインテリア担当の視点。
「辻留(つじとめ)のお弁当。一か所が隅切りなのは、茶の湯菓子をのせる銘々皿にも使われている不朽のデザイン。手ぬぐいのひざ掛けがつく心遣いにもグッとくるのよ」とは茶の湯担当。
食担当は「年末になると翌年の干支の型抜きがコーナーの前列に置かれる有次(ありつぐ)。金属類ばかりが並んでいるのに、季節をちゃんと感じる」などなど、それぞれの目のつけどころを束ねて、「茶味」というふるいにかけて選んだのが、「茶味こそが京都!」特集で紹介するお店です。
※本記事は雑誌『和樂(2018年4・5月号)』の転載です。