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使いやすい、見つけやすい、
客主体につくられた生活道具店「有次 錦店」
京都といえば手仕事の宝庫。都が置かれていたときから、ものづくりを続けてきた職人の子孫が残っているなんて!
永禄3(1560)年創業の有次はその代表、刀鍛冶に始まり仏像彫刻の小刀を長く扱う背景をもちます。
主力の包丁、明治末ごろに手がけるようになった料理道具にしても、「ひとつひとつの手間を惜しまぬように」職人と共に、有次の刻印を入れるに値する品質に仕立てていくことがすべてで、気が抜けないところだと。
「職人さんがひたすら手を動かしても、1日にたくさんはできません。そこをなんとか、とお願いするのが僕らの役目。工房の作業を見ると、あんなに一生懸命つくっているものなのだから、きちんとお客様に届けなければと身が引き締まります」と専務の寺久保吉雄(てらくぼよしお)さん。
手わざにこだわるため、新商品の登場は稀。同じ顔ぶれが並ぶのに、新鮮に目に映るのは、見せ方の工夫を常にしているのだとか。
最近では槌で名入れを行うコーナーの棚の下を空ける工事をしたそう。「最近はキャリーバッグのお客様が多くて。ここに収めてもらえば、みなさん歩きやすいから」。
何百年と続く店の理由がひとつわかった気がしました。
有次 錦店 ありつぐ にしきみせ
住所:京都市中京区錦小路御幸町西入ル鍛冶屋町219
電話:075-221-1091
営業時間:10時~17時 水曜、1月1日~3日休
撮影/篠原宏明 構成/藤田 優 ※本記事は雑誌『和樂(2018年4・5月号)』の転載です。