虎屋の新しい歴史が始まる!? 進化し続ける和菓子屋“とらや 赤坂店”徹底レポート

虎屋の新しい歴史が始まる!? 進化し続ける和菓子屋“とらや 赤坂店”徹底レポート

目次

建て替えのため2015年から一時休業していた“とらや 赤坂店”が、2018年10月1日(寅の日)、リニューアルオープンしました。売場、菓寮(喫茶スペース)、ギャラリー、大きく分けてこの3つからなる新店舗には、「お客様に寄り添う居心地の良いお店にしたい」という虎屋の思いが込められています。さらに、虎屋にとってはじめての試みであるオープンな御用場(製造場)や、復活した赤坂店限定メニューも必見。今注目すべき“とらや 赤坂店”の新しい姿をご紹介します。

室町時代から常に和菓子屋のトップランナーとして走り続ける

とらや赤坂

室町時代に京都で創業し、御所御用を勤めてきた虎屋。明治2年には天皇陛下の東京遷都にお供し、東京へ進出。何度かの移転を経て、赤坂の地に店を構えます。それから150年、このゆかりある土地に元々構えていた“とらや 赤坂店”は、2018年に木のぬくもりを活かした低層の建物に生まれ変わりました。大通りに面したこの地には高層の建物も建てられたはずですが、虎屋が選んだのは和菓子屋としての機能だけに特化することでした。「おいしい和菓子を喜んで召し上がって頂く」という虎屋の経営理念をまさに体現した店といえます。今回リニューアルした“とらや 赤坂店”は、和菓子文化の担い手として、間断なく進化を遂げてきた虎屋の象徴。ゆえに、これは虎屋のみならず和菓子の新しい歴史のはじまりかもしれません。

“とらや 赤坂店”に目が離せない! 随所にこだわりを取り入れた、リニューアル後の姿をお披露目

とらや赤坂

“とらや 赤坂店”は、和菓子屋としては斬新な試みが随所につまっています。誰でもどの場所にいても居心地の良さを実感できる、新店舗のこだわりと居心地の良さの秘密をご紹介します。

吉野の檜をふんだんに使った美しい建築と開放的な空間

とらや赤坂

赤坂店は、地上4階地下1階の全く新しい外観の低層建築にリニューアルしました。店舗設計は、高知にある牧野富太郎記念館など、環境に溶け込んだ個性的な建築で知られる建築家の内藤廣さん。「とらや工房」「TORAYA TOKYO」など、話題を呼んだ虎屋の店舗の設計も手がけています。こちらの赤坂店は「簡素にして高雅」というコンセプトのもと設計されました。吉野の檜をふんだんに使って仕上げた空間は歴史ある赤坂という地にも自然に溶け込み、あたたかな温もりが感じられます。

とらや赤坂建築家 内藤廣さんが実際に描いた図面が商品のパッケージに起用されています。

店舗の外観もリニューアルによって開放的な空間に生まれ変わりました。「以前は、外の目を気にせずにゆっくりとお買い物していただきたいという思いを込めて、外からの視線を閉ざした空間にしていました。ですが今回のリニューアルでは全面にガラスを用い、入りやすい外観にしました」と話すのは、虎屋の広報担当の奥野さん。この「入りやすい」、「購入しやすい」店舗づくりは、虎屋が目指す和菓子の未来をも見すえているようです。

とらや赤坂店内の大きな階段は、横幅を広く、のぼりたくなる階段に仕上げています。

ショーケースはなし。お買い物を気軽に、ゆっくり楽しめる売場

とらや赤坂

赤坂御用地の豊かな緑を眺めながら階段を登り、2階にあがると、黒漆喰の壁面が目を引く売場が現れます。和菓子屋といえばショーケースがあり、その奥に店員さんが立っている…というイメージがありますが、ここにはショーケースはありません。その理由は「気軽に手に取って選んでいただきたい」という思いから。ショーケースの代わりに売場にはテーブルが並び、その上に色彩豊かな和菓子がまるで宝石のように置かれています。

とらや赤坂箱買いだけでなく、1つからでも気軽に購入できるようにと、近くにはトレイが添えられています。

もちろんここでは店員の方が、羊羹や最中などの定番商品からオートクチュールの和菓子まで、さまざまな和菓子の提案をしてくれます。さらに忙しい時には予約をすると、1階のエントランスで受け取りも可能です。

とらや赤坂赤坂店限定の“千里の風”が復活! 2人の職人が息をあわせて流し込んでつくるので、ひとつとして同じ柄のものはありません。

実はこの売場には、他にも虎屋のこだわりが込められています。たとえば商品テーブルは車椅子の方が、お菓子に近づいて見ることができるように、掘り込みを入れたテーブルを使用しています。テーブルの高さも、車椅子の方の目線が合うような高さに調整。また、店内の端には椅子が並べられているので、ゆっくりとお買い物が楽しめます。

とらや赤坂売場横の季節の展示。

売場横には季節ごとに展示が変わるスペースがあります。取材時は年末で、お歳暮やお年賀で贈られることの多い、虎屋の干支羊羹が展示されていました。そのほか、贈る楽しみの提案として、期間限定の干支風呂敷を使った風呂敷の包み方や、贈る相手や用途に合わせて水引飾りなどを自由に選ぶことができる、赤坂店限定のサービスの紹介などもありました。和菓子を販売するだけではなく、和菓子文化を提案する虎屋ならではの試みです。

とらや赤坂虎屋の象徴トラをモチーフにした水引が可愛い!

四季折々の風景、お菓子、食事も楽しめる菓寮

とらや赤坂

建て替え前、地下にあった菓寮は自然光が入る3階に移動しました。天井が高く解放的な空間で、窓からは御用地の自然を眺めることができます。こちらでは、生菓子や焼菓子以外に、あんみつやお汁粉などの甘味、旬の食材を使った季節の食事も楽しめます。席も半個室からカウンター席、テラス席までと幅広いので用途に合わせて利用可能。四季折々の風景を堪能しながらの一服は、とても贅沢な気持ちになれそうです。

とらや赤坂生菓子はその日の朝に作られ、開店と同時に並びます。

さらにこの3階には、和菓子づくりの様子をガラス越しにみることができる、御用場(製造場)もあります。実際に御用場のある店舗は赤坂店がはじめて。つくりたての美味しさを感じていただきたいという思いから、赤坂店の生菓子や焼菓子はここでつくられています。

とらや赤坂赤坂店限定の焼菓子“残月”も御用場でつくられています。

和菓子や日本文化を発信する地下1階の“虎屋 赤坂ギャラリー”

とらや赤坂初回に開催された「とらやの羊羹デザイン展」。

全く新しい空間になった赤坂店の売場と菓寮ですが、これだけではありません。地下1階には見逃せない、“虎屋 赤坂ギャラリー”があります。ここでは、和菓子や日本文化を発信する展示やイベントを期間限定で開催。オープン時、初回に開催された「とらやの羊羹デザイン展」は、大正時代の見本帖に残る羊羹のデザイン約450点が並びました。

とらや赤坂虎屋に古くから伝わる“御棹菓子見本帖”。(お菓子のデザイン帳のこと)

ギャラリー中央には、寒天を作る際の大きな釜も展示。これは実際に平成4年まで使われていたもので、“えんま”と呼ばれる大きな杓文字の重さからは結構な力作業だったことがわかります。そのほか、羊羹の意匠にまつわる日本の名所や、羊羹の原材料、希少な白小豆についてが解説付きで展示されていました。2~3ヶ月ごとに企画が替わるギャラリーには、発見や学びが盛りだくさん。入場無料なので、お買い物のついでにぜひこちらも一緒に覗いてみましょう。

とらや赤坂2019年1月12日(土)~2月24日(日)まで、第2回企画展「とことわの書―自然のことば―」が開催中。 とらやの商品パッケージに書かれている筆文字の菓銘を揮毫してきた、古郡達郎氏の書を展示しています。

さらに、こんな隠れスポットも!? 

とらや赤坂

なんと、ここ赤坂店には自動販売機があります。行かれた方は見つけることができたでしょうか? まさか、ここにあるなんて…。全く気づきませんでした。

とらや赤坂撮影時に販売されていたのは小形羊羹よりさらに小さいミニ羊羹の詰め合わせ「Yokan a là carte」。そのほかトラヤカフェの「あんペースト」なども。

赤坂店の隠れスポットである自販機は、1階のロビーと駐車場入り口の間にあります。青山通り側の入り口からはなかなか見つけにくい場所かもしれません。なんでこんなところに? と思うかもしれませんが、今日は接客なしでお買い物したい、誰とも話さずに買い物をしたい…。そんな方のための知られざる名スポット(?)とも言えそうです。

とらや赤坂

約3年の時を経て生まれ変わった“とらや 赤坂店”、いかがでしたでしょうか。赤坂店は和菓子屋にあまり慣れていない方でも、入りやすく、気軽にお買い物ができるのでおすすめです。ぜひ、“とらや 赤坂店”で四季折々の風情と心地良い時間を過ごしてみてください。

撮影/篠原宏明

◆とらや 赤坂店
住所 東京都港区赤坂4-9-22
公式サイト

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