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1400年もの歴史を誇り、
今も大人気の兵庫県・城崎温泉
飛鳥(あすか)時代の舒明(じょめい)天皇の御代(629~641年)、コウノトリが湯に浸かって足の傷を癒やしたのが兵庫県・城崎(きのさき)温泉の始まり、というのが「鴻(こう)の湯の伝説」です。また、道智上人(どうちしょうにん)が難病に苦しむ城崎の人々のため千日間お経を唱えたところ、霊湯が湧いて病が治ったのが始まりという説も。こちらは養老4(720)年のことといいますから、いずれにしても1300年以上前のお話です。
嘉永4(1851)年の「諸国温泉功能鑑」という番付によると、西の大関・関脇・小結に、有馬・城崎・道後温泉が(横綱不在)。外湯と宿が立ち並び、江戸時代にはすでに温泉街としてにぎわっていた証です。
〝共存共栄〟で震災からの復興!
温泉街の情緒を受け継ぐ「西村屋本館」
しかし、大正14(1925)年5月23日11時9分ごろ、マグニチュード6.8の地震が円山川(まるやまがわ)の河口付近で発生。城崎は焼け野原と化しましたが、幸いにも源泉に大きな被害は出ませんでした。そこで町民を奮い立たせ城崎を復興へと導いたのが、当時町長を務めていた「西村屋」の4代目、西村佐兵衛(さへえ)です。
町のシンボルでもあった大谿川は水害に備えて嵩(かさ)上げし、大八車の行き交いがやっとだった湯の里通りは車社会を見越して道幅を広げるなど、町を再構築しました。その際に掲げたのが「町全体でひとつの宿」というコンセプト。駅が玄関、通りは廊下、旅館が客室で外湯が大浴場、土産物屋が売店……。こうして町一丸となっての共存・共栄という理念が、たぐいまれな温泉街をつくりあげたのです。
【湯宿DATA】
西村屋本館(にしむらやほんかん)
住所:兵庫県豊岡市城崎町湯島469
電話:0796-32-2211
宿泊料金:2名1室利用時1名48,830円~(1泊2食付)
アクセス:JR山陰本線「城崎温泉駅」より徒歩約15分(旅館組合運営の無料送迎バスあり)
公式サイト:https://www.nishimuraya.ne.jp/honkan/
撮影/篠原宏明 構成/小竹智子
※本記事は雑誌『和樂(2023年2・3月号)』の転載です。
※表示の宿泊料金は税金・サービス料込みの金額です。別途入湯税や、入浴料などがかかる場合があります。また、連休や年末年始など、特別料金が設定されている場合もあります。
※お出かけの際には宿のホームページなどで最新情報をご確認ください。