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2026.03.09

ロマンあふれる、あの名宝も!全国のご自慢「国宝」大調査 【part8:香川、愛媛、高知、福岡、佐賀】

各自治体の文化財担当と和樂編集部が、都道府県ごとの「ご自慢国宝」を選定!Part8は四国3県と北部九州の2県。四国のもう1県の徳島には古くからの歴史を伝える文化財が多いのですが、国宝の指定はまだありません。

香川県(国宝:6件)

空海が唐より持ち帰った国宝に注目!
■「金銅錫杖頭」

読み:「こんどうしゃくじょうとう」

香川生まれの弘法大師空海(こうぼうだいしくうかい)は、2023年が生誕1250年。県内では関連事業が盛り上がり、「四国遍路」の世界遺産登録を願う声も高まっているとか。そこで注目されているのが、空海ゆかりの国宝「金銅錫杖頭」。空海が中国・唐(とう)に留学していたときに師と仰いだ、禅僧・恵果(けいか)より授かり持ち帰ったものと伝わります。
●つくられた時代:中国・唐時代
●見られる場所:「善通寺」 香川県善通寺市善通寺町 3-3-1 「宝物館」にて毎年6/13・14に特別公開予定
●公式サイト:https://zentsuji.com/
錫杖は僧侶や修行者が持つ法具のひとつ。環(かん)をゆらして音を出すと、邪を祓(はら)い空間を浄めるとされる。

愛媛県(国宝:12件)

密教寺院の本堂としては、全国でも屈指の規模を誇る!
■「太山寺本堂」

読み:「たいざんじほんどう」

四国遍路52番札所「太山寺」は、寺伝によると飛鳥時代からの歴史をもつ古刹。鎌倉時代後期に建てられた現在の本堂は、桁行(けたゆき)7間、梁間(はりま)9間と、中世密教の本堂では全国屈指の規模。入母屋造(いりもやづくり)の屋根、柱や組物(くみもの)なども大きく、圧倒的存在感。見どころは、正面の横木を支える本蟇股(ほんかえるまた)。鎌倉時代の様式の、ほっそりした形が特徴です。
●つくられた時代:嘉元3(1305)年
●見られる場所:「太山寺」 愛媛県松山市太山寺町1730
●公式サイト:88shikokuhenro.jp/52taisanji
本尊は十一面観音像(重要文化財)。伊予(いよ)を訪れた聖徳太子は太山寺と縁を結んだとされ、境内の聖徳太子堂には、法隆寺夢殿(ほうりゅうじゆめどの)と同様の像が祀られている。

高知県(国宝:3件)

土佐藩主山内家に伝わる仮名の美文字の写本
■「古今和歌集巻第廿(高野切本)」

読み:「こきんわかしゅうまきだいにじゅう(こうやぎれぼん)」

『古今集』の写本では現存最古のもので、一部が高野山に伝来したことから「高野切」と呼ばれます。平安時代の仮名書(かなが)きの完成形を示す書跡(しょせき)として、古(いにしえ)より名高く、紀貫之(きのつらゆき)の筆とされますが、実際は3種の書風が混在。土佐(とさ)藩主山内家に伝わるこの巻第廿は、抑制のきいた端正な筆遣いが特徴です。
●つくられた時代:平安時代・11世紀
●見られる場所:「高知県立高知城歴史博物館」 高知県高知市追手筋2-7-5
●公式サイト:https://www.kochi-johaku.jp/
本品は「高野切」の筆者3名のうち、最も格上の人物の筆とされる。
参考画像はこちら!

福岡県(国宝:13件)

歴史の教科書でおなじみ!ロマンに満ちた金の印
■「金印」(印文「漢委奴國王」/)

読み:「きんいん」(いんもん「かんのわのなのこくおう」)

天明4(1784)年に、志賀の島(しかのしま 福岡市東区)で農民の甚兵衛(じんべえ)が発見し、福岡藩主黒田家に代々伝わった印です。中国の歴史書『後漢書(ごかんじょ)』には、建武中元(けんむちゅうげん)2(57)年に、光武帝(こうぶてい)が倭奴国王に「印綬(いんじゅ)」を与えたことが記されていますが、それがこの金印と考えられています。わが国の古代史や対外交渉史を考える上で、極めて重要な資料です。
●つくられた時代:後漢・弥生時代後期・1~3世紀
●見られる場所:「福岡市博物館」 福岡県福岡市早良区百道浜3-1-1
●公式サイト:https://museum.city.fukuoka.jp/
一辺約2.3㎝、重さ約108g。つまみは蛇がとぐろを巻いた形状。
参考画像はこちら!

佐賀県(国宝:1件)

万葉仮名の筆遣いが美しい、楽譜の写本
■「催馬楽譜」

読み:「さいばらふ」

「催馬楽」とは宮廷歌謡のひとつで、日本古来の歌謡を、唐楽(とうがく)の拍子(ひょうし)・旋律(せんりつ)に合わせて編曲したもの。11世紀中ごろの温雅(おんが)な筆致(ひっち)の万葉仮名(まんようがな)で、57曲が記されています。「催馬楽譜」は旧佐賀藩主の鍋島侯爵家に、明治時代にもたらされたと考えられます。数多い写本のなかでも現存最古とされ、佐賀県唯一の国宝でもあります。
●つくられた時代:平安時代
●見られる場所:「鍋島報效会徴古館(なべしまほうこうかいちょうこかん)」 佐賀県佐賀市松原2-5-22
●公式サイト:https://nabeshima.or.jp/main/
参考画像はこちら!

都道府県別国宝件数TOP5

順位 都道府県 件数 (美術工芸品/建造物)
1位 東京都 292件(290/2)
2位 京都都 239件(186/53)
3位 奈良県 208件(144/64)
4位 大阪府 62件(57/5)
5位 滋賀県 56件(34/22)

上位は、現在の首都と、かつて都が置かれた関西の4府県。政治、経済の中枢には、文化財も多いことがわかります。注目したいのが1位東京の建造物で、わずか2件だけ。江戸時代からの建物は戦災の影響もあって極端に少なく、美術館・博物館が所蔵する美術工芸品が大多数を占めているのです。

全国のご自慢「国宝」大調査シリーズ一覧はこちら

※本記事は雑誌『和樂(2025年6・7月号』を再編集した転載です。
※件数に2025年3月に答申された「伎楽面」「物語下絵料紙金光明経巻第二」など4件は加えていません。
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和樂web編集部


構成/山本 毅、後藤淳美(本誌)
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※『和樂』2026年4・5月号 美術展カレンダーに誤りがありました。P.224で紹介しました、福岡県・久留米市美術館で開催中の「美の新地平ー石橋財団アーティゾン美術館のいま」の入館料は、正しくは一般1,500円となります。お詫びして訂正いたします。
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