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2026.03.10

海を越えた交流の歴史、民衆による傑作。全国のご自慢「国宝」大調査【part9:長崎、熊本、大分、鹿児島、沖縄】

令和7(2025)年4月1日現在、国宝総数は1144件。好評だった本誌記事・全国のご自慢「国宝」大調査シリーズ最後となるPart9は九州4県と沖縄。それぞれ個性的な国宝がそろっていますが、天孫降臨の地で古代遺跡の多い宮崎に国宝がないのは不思議です。

長崎県(国宝:3件)

異国情緒あふれる長崎らしい中国の趣が色濃い黄檗宗寺院
■「崇福寺 大雄宝殿」

読み:「そうふくじ だいゆうほうでん」

©長崎県観光連盟

全体が朱塗りの、中国風建築様式が目を引く「崇福寺」は黄檗宗(おうばくしゅう)の寺院。長崎市に現存する最古の建物で国宝の「大雄宝殿」は、中国で図面を引き、それに合わせて加工した木材を運び、日本の大工が組み立てたもの。また、崇福寺では「第一峰門(だいいっぽうもん)」も国宝。中国の縁起物、瓢箪(ひょうたん)や蝙蝠、桃などの建築意匠を探すのもおすすめです。
●つくられた時代:正保3(1646)年
●見られる場所:「崇福寺」 長崎県長崎市鍛冶屋町7-5
●公式サイト:https://www.at-nagasaki.jp/spot/96
旧暦の正月(春節〈しゅんせつ〉)に長崎市内で開催される「長崎ランタンフェスティバル」では、崇福寺でもランタンが灯され、幻想的な雰囲気になる。

熊本県(国宝:2件)

民衆が協力して完成させた土木建造物で初の国宝!
■「通潤橋」

読み:「つうじゅんきょう」

©熊本県観光連盟

四方を河川に囲まれた白糸台地(しらいとだいち)に、農業用水を送るための「通潤橋」は、近世で最大級の石造アーチ水路橋。写真は放水中の様子です。江戸時代に民衆の手でつくられた水路は、強度を高めるために城郭の石積(いしづみ)技術などを用い、2016年の熊本地震でも損壊は一部のみ。2023年、土木構造物として初の国宝に指定されました!
●つくられた時代:嘉永7(1854)年
●見られる場所:所在地:熊本県上益城郡山都町長原 所有:山都町、通潤地区土地改良区
●公式サイト:https://tsujunbridge.jp/
長さ約78.0×幅約6.6×高さ約21.3ⅿの通潤橋は優れた技術により完成。

大分県(国宝:4件)

雄大なスケールの磨崖仏をひとつずつ確かめてみたい!
■「臼杵磨崖仏」

読み:「うすきまがいぶつ」

平成7(1995)年より、磨崖仏として全国初、仏教彫刻として九州初の国宝に指定。平安時代末期から鎌倉時代にかけて、中央の仏師が自然の岩盤に彫ったとされる4群61体の磨崖仏群の彫刻の美しさは、京都、奈良にある同時代につくられた木彫の仏像にも負けないほど。他に類を見ない規模と美しさを誇る国宝です。
●つくられた時代:平安~鎌倉時代
●見られる場所:所在地:大分県臼杵市深田・中尾地区に4群が点在 所有:臼杵市
●公式サイト:https://sekibutsu.com/
臼杵磨崖仏が国宝に指定されて、今年で30年。周囲の自然と調和した、スケールの大きな磨崖仏の数々を、すべて拝してみたい。

鹿児島県(国宝:2件)

朱塗りの社殿を持つ神宮は、県内随一のパワースポット!
■「霧島神宮(本殿、幣殿、拝殿)」

読み:「きりしまじんぐう(ほんでん、へいでん、はいでん)」

霧島神宮は2022年、建造物として県内で唯一の国宝に指定。境内は、勅使殿(ちょくしでん)から登廊下(のぼりろうか)を通り、急勾配(きゅうこうばい)の階段でつながる拝殿から幣殿を経て、最も高い位置に本殿があります。現在の社殿は江戸時代に復興されたもので、丸彫(まるぼり)彫刻や絵画などの装飾が豪華絢爛。本殿の凝った「龍柱(りゅうちゅう)」は南九州に伝わる建築意匠です。
●つくられた時代:正徳5(1715)年
●見られる場所:「霧島神宮」 鹿児島県霧島市霧島田口2608-5
●公式サイト:https://kirishimajingu.or.jp/
高低差を利用した境内は、起伏に富んでいて、風景も美しい。建物は朱を中心に極彩色に仕上げられていて、中国の建築様式のような華やかさが感じられる。

沖縄県(国宝:2件)

琉球時代の王家の人々が眠る贅を凝らした陵墓
■「玉陵」

読み:「たまうどぅん」

©OCVB

玉陵は琉球国王・第二尚氏(だいにしょうし)の歴代の墓で、1501年、尚真王(しょうしんおう)が父・尚円王(しょうえんおう)の遺骨を改葬するために築かれました。墓室は破風墓(はふばか)形式として現存最古で最大規模。琉球の葬送(そうそう)慣習を伝え、墓室の建築表現や装飾彫刻などの代表的な陵墓として、歴史的意義を有し、2018年、県内の建造物として初の国宝に指定されました。
●つくられた時代:弘治14(1501)年
●見られる場所:「玉陵 奉円館(ほうえんかん)」 沖縄県那覇市首里金城町1-3
●公式サイト:https://www.city.naha.okinawa.jp/kankou/bunkazai/tamaudun.html
玉陵拝観は入り口の券売所(奉円館)から。ガイドブックなどがあり、B1Fの資料展示室では概要や内部の様子を展示解説。

都道府県別国宝件数TOP5

順位 都道府県 件数 (美術工芸品/建造物)
1位 東京都 292件(290/2)
2位 京都都 239件(186/53)
3位 奈良県 208件(144/64)
4位 大阪府 62件(57/5)
5位 滋賀県 56件(34/22)

上位は、現在の首都と、かつて都が置かれた関西の4府県。政治、経済の中枢には、文化財も多いことがわかります。注目したいのが1位東京の建造物で、わずか2件だけ。江戸時代からの建物は戦災の影響もあって極端に少なく、美術館・博物館が所蔵する美術工芸品が大多数を占めているのです。

全国のご自慢「国宝」大調査シリーズ一覧はこちら

※本記事は雑誌『和樂(2025年6・7月号』を再編集した転載です。
※件数に2025年3月に答申された「伎楽面」「物語下絵料紙金光明経巻第二」など4件は加えていません。
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和樂web編集部


構成/山本 毅、後藤淳美(本誌)
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※『和樂』2026年4・5月号 美術展カレンダーに誤りがありました。P.224で紹介しました、福岡県・久留米市美術館で開催中の「美の新地平ー石橋財団アーティゾン美術館のいま」の入館料は、正しくは一般1,500円となります。お詫びして訂正いたします。
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