眺めるだけじゃない!鯉は細川勝元も絶賛した、縁起のいい滋養食材だった。

眺めるだけじゃない!鯉は細川勝元も絶賛した、縁起のいい滋養食材だった。

目次

鯉と言えば「鑑賞するもの」というイメージが強いかもしれませんが、実は昔から「薬用魚」とも呼ばれ栄養が豊富に含まれる魚なんです。

また、室町時代の武将・細川勝元が鯉を絶賛し、江戸時代には高級食材として将軍に献上されていたという云われもあるほど、奥深い歴史を持っています。

そこで今回は、鯉にまつわる歴史や、美味しい滋養食材としての魅力をお伝えしたいと思います!

細川勝元が絶賛した鯉

室町時代の武将かつ守護大名である細川勝元は、応仁の乱の東軍総武将としても知られています。さまざまな遊興を楽しんでいた人物としても有名ですが、なかでも鯉は大好物。その家来たちは、勝元の興味をひこうと数多くの鯉を贈っていたと言われています。

勝元と鯉に関するエピソードはたくさん残っていますが、「淀川で採れた鯉しか口にしなかった」「鯉の産地を言い当てた」とも。当時の鯉は大変高級な食材でした。そんな鯉の見分けがついた勝元は、とてもグルメな人物だったと想像できます。

鯉=強くて縁起のよい魚

身近なところでは「端午の節句には鯉のぼりを飾って祝う」という習わしがありますが、これは江戸時代に始まったと言われています。

古くからの伝説のなかに「鯉は急流を乗り越えて龍になって天に昇っていった」という話があります。ここから「龍のように強い男の子に育ちますように」という願いを込めて、鯉のぼりの習慣が生まれたのだとか。

と言うのも、江戸時代は病気や事故、人さらいなどで子どものうちに亡くなってしまうケースも多い頃。子どもの無事な成長を、鯉のぼりに託していたのでしょう。

また、鯉には「立身出世」という縁起のよい意味もあります。戦国時代以前は、鯉は最も高級な魚とされ、戦国武将への贈り物や祝いの席にはよく使われていました。最近では、仕事での成功を鯉に託す人も増えているようです。

「鯉=薬用魚」として愛されてきた

ビタミンが豊富に含まれ「栄養たっぷり」であることから、別名「薬用魚」とも言われる鯉。日本最古の医学書とされる「医心方」にも、鯉のことが記されています。この本は平安時代に宮中医官を務めた鍼博士が撰しており、中国を中心にアジア諸国に伝わる医学や養生、鍼灸、陰陽道などの書物をもとにしています。

例えば、加齢などにより目がかすんだ時の処方としては「鯉胆の一尾分から汁を取り、それを綿に含ませて目を拭う」(「医心方」筑摩書房刊より引用)など、鯉を使った具体的な対処法が書かれています。

また「出産したら鯉を食べるといい」「産後の母乳の出が悪い時には、鯉こくを」というのも、昔からよく言われています。中国の明の時代の薬学者・李時珍の著書「本草綱目」にも「乳汁を下し、腫を消す」と記されており、古くから鯉の生命力にあやかり「産後の女性が元気になりますように」という願いが込めていたことが伺えます。

他にも、鯉は昔からいろいろな不調を改善する薬用魚として重宝され、肝臓病や皮膚病、虚弱体質改善などの民間療法にもよく使われてきました。

いざ、鯉料理専門店「大黒屋」さんへ

鯉の歴史や効能などを知るうちに、「ぜひ味わってみたい」という気持ちが湧いてきませんか。ということで、美味しい鯉料理が食べられると評判の三重県桑名市多度町にある鯉料理「大黒屋」さんへ伺いました。

桑名は、東海道五十三次の42番目の宿場町として栄え、伊勢への玄関口としても知られています。また、戦国時代から江戸時代の面影が残るまちとして歴史が好きな方にも親しまれています。

大黒屋さんの近くに位置する、多度大社。鯉料理を食べに来る際には、ぜひ参拝を。

大黒屋さんは江戸時代中期に創業し、なんと280年以上の歴史を持つ料理屋です。少し行った先には「北のお伊勢さん」とも呼ばれる「多度大社」があり、かつてはその門前町として7~8軒の茶店が並んでいたそうです。現存するのは数軒になっていますが、歴史と趣のある佇まいが残っています。

今回お話を伺ったのは、大黒屋十三代目の蒔田誠治(まいた せいじ)さん。

「関西や関東など、遠方からはるばるいらっしゃるお客さまも多いですよ。お庭を眺めながら、鯉料理を個室でゆっくりと召し上がっていただいています。」


入り口をくぐると、多度山を背景に取り入れた歴史ある庭園が出迎えてくれる。池波正太郎の著書「雲霧仁左衛門」に登場したり、最近では戦前の男性を描いた映画「アルキメデスの大戦」のロケ地にもなったりするなど、歴史との関わりも深い。また、2019年にはミシュランプレートも取得している。

鱗から骨まで、丸ごといただきます

大黒屋さんにはランチコース(2種類)と会席コース(2種類)がありますが、特に人気の高い鯉料理は「鯉こく」と「鯉のあらい」。鯉こくは、輪切りにした鯉を味噌で煮込んだ汁物のこと。鯉のあらいは、一言で言えば刺身ですが、切った身をさっと冷水で締めることから「あらい」と呼ばれています。

鯉こくはトロリとした濃厚で、身体に染み込む味わいです。多度の天然水に鯉の頭や身を入れて、弱火でじっくり煮ていくことでこの濃厚な味が生まれるのだとか。「昆布などの出汁は使わずに、天然水だけで煮込んでいるんですよ」と蒔田さん。


鯉のあらいは、鯉の鮮度と美味しさが際立つ逸品。通常鯉と聞くと「川魚独特の臭みがある」とイメージする方も多いようですが、臭みは全く感じられません。身が締まっていて、コリコリとした食感が楽しめます。手前右側にある鯉の浮袋と皮は、他ではなかなか味わえない珍品!


他にも、鱗やすり身団子のから揚げなども人気メニュー。大切に育てた鯉、そして生き物の尊い命をいただくからこそ、頭から尾まで余すところなく使った料理が並びます。

多度山の天然水が育んだ鯉料理

蒔田さんとお話していて印象に残ったことのひとつは「多度山の天然水が、鯉料理を美味しくしてくれる」と繰り返しおっしゃっていたこと。「普通に淹れただけなのですが(笑)、食後のコーヒーが美味しいと言ってくださるお客様も多いですよ」と蒔田さん。

こちらでは料理に天然水を使うほか、仕入れた鯉をこの天然水を溜めた池に2週間ほど放しています。その間はエサを与えずにのびのびと泳がせることで、身が締まり、川魚独特の臭みも抜けていくのだとか。

ストレスの少ない環境で育てた鯉は美味しいだけでなく、「塩を振らなくても臭みが出ないし、揚げ物をしても油がほとんど汚れない」そうです。

人も空間も料理も、自然体で

細川勝元に愛され、縁起物としても古くから親しまれてきた鯉。

蒔田さんはこう語ります。

「人も空間も料理も、自然体が一番いいんです。大黒屋で鯉料理を作りながら、いつもそう思っています。」

今回の取材を通して、鯉料理の美味しさはもちろんのこと、大黒屋さん独特の古き良きものが持つ「包容力」や得も言われぬ「温かみ」を感じました。ゆっくり過ごすお客さまが多いという冒頭のお話も、その居心地のよさを表しているのかもしれません。

心身の疲れを感じた時や元気を付けたい時などに、ぜひ鯉料理を食べに行ってみてはいかがでしょうか。

◆鯉料理 大黒屋
住所:三重県桑名市多度町柚井1799番地
電話:0594-48-2018
営業時間:午前11時~午後6時(木曜日定休、祝日を除く)
参考サイト: https://retty.me/area/PRE24/ARE250/SUB25002/100000732047/

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