Art
2017.03.23

永徳にも負けない、海北友松って誰だ?その前に何て読むの?

この記事を書いた人

龍の名手として名高い、武家出身の知られざる桃山絵師

狩野永徳や長谷川等伯といった、天才絵師が画壇の覇を競った桃山時代。そんな彼らに勝るとも劣らない実力をもった絵師がいました。それが海北友松(かいほうゆうしょうって読むんです!)です。海北友松は天文2(1533)年、海北善右衛門綱親(かいほうぜんえもんつなちか)の五男としてこの世に生を受けます。実はこの父、近江国(現・滋賀県)の大名・浅井家の重臣という存在で、つまり友松は、いずれは武士となって戦乱の世を生きるかもしれないという境遇にあったのです。しかし3歳のとき、友松の父と兄は主君とともに争いに敗れて亡くなってしまいます。なんとか難を逃れた友松は、やがて狩野派に師事して絵師となるのです。

等伯も描いた「牧谿」模しの猿もお手のもの

スクリーンショット 2017-03-21 16.36.02海北友松『柏に猿図』二幅 紙本淡彩 各177.9×138.4㎝ 16世紀・桃山時代 サンフランシスコ・アジア美術館

狩野派に学んで以降、晩年に至るまでの伝記は定かではありませんが、その画風は武家の出身らしく、気迫と力感に溢れたものとして知られています。特に有名なのが、建仁寺に伝わる『雲龍図』。横に拡がる大画面を生かしたダイナミックな構図と縦2mにも及ぶ巨大さから見る者を威圧します。一方、桃山時代を象徴する金碧の『花卉図屛風(かきずびょうぶ)』では、友松の繊細なテクニックが光り、桃山画壇に「海北友松あり」を高らかに宣言しているかのようでもあります。

武家に生まれ桃山を生きた気概が伝わる大作!

DMA-P17-18-6左 ⑥雲龍図(建仁寺)左隻tunagi_lowDMA-P17-18-6右 ⑥雲龍図(建仁寺)右隻tunagi_low海北友松『雲龍図』八幅 紙本墨画 四幅(右)各186.0×133.0㎝、四幅(左)各198.0×187.0㎝ 慶長4(1599)年 建仁寺 重要文化財

背景の金地と花や葉の彩色のコントラストが鮮やか

DMA-P17-18-10右 ⑩花卉図屏風(右隻)海北友松『花卉図屛風』右隻 六曲一双 紙本金地着色 各178.1×361.4㎝ 17世紀・桃山時代 妙心寺 重要文化財

海北友松の特別展が京都国立博物館で開催されます!!

京都国立博物館
開館120周年記念
特別展覧会「海北友松」

会期/4月11日(火)~5月21日(日)
開館時間/9時30分~18時(金曜、土曜は20時まで)※入館は閉館の30分前まで
休館日/月曜
観覧料/一般1,500円
会場/京都国立博物館・平成知新館
住所/京都府京都市東山区茶屋町527 地図