新型コロナウイルスの流行により、多くの美術館が打撃を受けていることをご存知でしょうか。美術館で大切に受け継がれてきた文化財は、長い年月を経ると修理が必要となります。しかし、入館料の激減などで修理費用の確保が困難に。なかでも企業などからの支援を受けていない、全国でも珍しい独立採算の美術館「永青文庫(えいせいぶんこ)」は、以前に増して厳しい境遇に立たされています。
そこで永青文庫では、国宝、重要文化財を含む大切なコレクションの修理費用を集めるため、クラウドファンディングを開始しました。
名宝を未来に繋ぐ「文化財修理プロジェクト第1弾」をご紹介します。
永青文庫とは?
肥後熊本54万石を治めた大名・細川家伝来のコレクションを保存、研究、公開している永青文庫は、細川家の広大な下屋敷跡(東京都文京区目白台)に佇む、東京で唯一の大名家の美術館です。
国宝8件・重要文化財34件を含むコレクションの総数はなんと9万点以上。ジャンルは武器武具・書画・彫刻・茶道具・能道具・歴史資料・古典籍など多岐にわたり、日本国内のみならず中国など東洋の美術工芸品も多くみられます。紀元前から近代まで、幅広い時代から収集されている点も特徴です。
南北朝時代の頼有(よりあり)を始祖に、現在の細川家は初代藤孝(幽斎、1534~1610)より戦国時代に始まりました。足利将軍に仕えた藤孝は、古今和歌集の秘伝を受け継ぐ屈指の文化人として知られます。さらに2代忠興は信長に仕え、信長から自筆の感状を受けるほどの武功を重ねました。また千利休高弟の一人としても名高く、明智光秀の娘・玉(ガラシャ)を妻に迎えたことでも有名です。
永青文庫は、およそ700年もの伝統が息づく細川家伝来の美術工芸品や歴史資料のほか、設立者・16代護立(1883~1970)の蒐集品を一般公開することで、細川家の歴史・文化の魅力を発信し続けています。
クラウドファンディング概要
永青文庫のクラウドファンディング、文化財修理プロジェクト第1弾のテーマは「近代日本画」。描かれてからおよそ100年の3作品を優先的に修復します。目標金額は10,000,000円。期日までに集まった支援総額は全て修理のために使用されます。
修理費用を募る作品
重要文化財 菱田春草「黒き猫」明治43年(1910)
菱田春草(ひしだ しゅんそう)の代表作の1つです。コレクションの中で最も人気が高く、まさに永青文庫の「看板猫」! 柏の葉は金泥(きんでい)と緑青(ろくしょう)を用いて平面的に描かれるのに対し、猫は墨のぼかしによってふんわりとした毛並みが見事に表現されています。
重要文化財 松岡映丘「室君」大正5年(1916)
民俗学者・柳田國男を兄に持ち、やまと絵の再興に努めたことで知られる松岡映丘(まつおか えいきゅう)の作品。2020年、新たに国の重要文化財に指定されました。「室君」は、やまと絵に新たな解釈を加えた作品として当時高く評価され、映丘の出世作になりました。
横山大観、下村観山、竹内栖鳳「観音猿鶴」明治43年(1910)頃
永青文庫の設立者・細川護立の依頼により制作されました。大観(たいかん)が鶴、観山(かんざん)が観音、栖鳳(せいほう)が猿を描いた三幅対。当時の日本画壇を代表する3人の画家が手掛けた貴重な合作です。
募集期間
2021年7月30日(金)~10月8日(金)23時
支援コース
3,000円~1,000,000円まで12コース
主な返礼品
ハッシュタグ企画「#文化財を未来へつなぐ」に参加しよう!
2021年10月8日(金)まで、ハッシュタグ企画を行っています! 期間は残り僅かですが、ぜひご参加ください。
参加方法
あなたの”推し文化財”は何ですか?おすすめポイントとあわせて教えてください。
Twitter、Facabook、Instagramなどご利用のSNSアカウントで、ハッシュタグ「#文化財を未来へつなぐ」とクラウドファンディングページのURLを付けてご投稿ください。